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これまでのお話
「四逆散」というお薬
「四逆散」というお薬 2
「四逆散」というお薬 3 参照
今日は、四逆散に関して、昭和の代表的な漢方医の一人である大塚敬節先生(1900-1980)の見解を聞いてみましょう。
大塚先生は、著書『傷寒論解説』の中で、四逆散のことを、康平本傷寒論(※)の記載に倣って”回逆散(かいぎゃくさん)”と呼び、
ここに書かれていることは、前段の玄武湯、通脈回逆湯の流れからすると錯簡ではないか、という意見を述べております。
(※)・・・康平本傷寒論(こうへいぼんしょうかんろん)は、昭和11年の秋に、大塚敬節先生が東大正門前の井上書店で見つけた、傷寒論のテキストで、
奥書に「康平三年(1060年)二月十七日 侍医丹波雅忠」とあることによって、“康平本”や“康平傷寒論”の名で知られ、一説には空海が長安にて筆写して持ち帰ったものともいう。
大塚先生は、康平本こそは宋代以前のものであり、現存する最古の『傷寒論』であると訴えたが、偽書であるという説も根強い。
〇
・・・まあ、四逆散の呼び名が本当は回逆散なんじゃないか、とか、ここに書かれていることが錯簡なんじゃないかとか、どれが現存する最古の本だとか、
正~直、んなこたぁどーでもいいんですよ、我々臨床家にとっては。(笑)
臨床現場で、患者さんに対して、その方剤が使えるかどうか、これに尽きるし、大体からして、僕ら鍼灸師は鍼でやるわけだから、四逆散の考え方が、
果たして鍼灸臨床で応用的に使えるかどうか、ここにしか興味なしなのです。
まあともかく、大塚先生は、
「臨床では、傷寒論に書かれているような症状ではなく、腹診をよく診て処方するとよい。肋骨下の緊張、腹直筋の過緊張がはっきりと表れているものに使うといい。」
と述べて下さっております。
大塚先生はこのように、「柴胡」という生薬を使ったいくつかの方剤を、患者さんの腹証に応じて使い分けていたようです。
(これはテーマからずれるので、いつか気が向いたら書きましょう。)
「柴胡」の使い方の上手い先生が、漢方薬の使い方のうまい先生、という話は、以前にしました。
「柴胡桂枝湯証(さいこけいしとうしょう)」という状態 参照
まあ、症状はともかくとして、腹の状態で見分ける、というのも、臨床家にとっては非常に重要な指摘ではあります。
患者さんは自分の主観に基づいて、症状その他を述べますので、それを全くの鵜呑みにしてしまうと、うまくいかない場合があります。
そんな時、体表観察に助けられます。
身体はウソつかない、ってやつね。
「四逆散」というお薬 5 に続く
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