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これまでのお話
「四逆散」というお薬
「四逆散」というお薬 2
「四逆散」というお薬 3
「四逆散」というお薬 4
「四逆散」というお薬 5
「四逆散」というお薬 6 参照
さて本日も、また別の先生のご見解をみてみましょう。
今日は荒木性次(あらきしょうじ 1896-1973)先生です。
因みに号は荒木卜庵(あらきぼくあん)先生とも言います。
(この呼び名の方が有名かもしれません。)
この先生も、昭和を生きた、非常に有名な先生です。
実は私は、この先生の流れをくんだ先生と、ちょっとしたご縁がありまして、今ではその先生の漢方薬局に、清明院の患者さんをよく紹介させていただく間柄だったりします。(笑)
また、僕が尊敬している鍼の先輩も、この先生の薫陶を受けた先生から『傷寒論』の基本を学んだそうです。
そんなワケで、やや遠いけど、不思議な御縁を感じる荒木先生の『方術説話』に、このように書いてあります。
「四逆(四肢逆冷)する者には3通りあります。
1つ目は表面の陽気が弱っているもの、
2つ目は陽気が内(裏)に籠っちゃって外に伸びないもの、
3つ目は表裏の中間につっかえて、陽気が伸びないものです。
四逆散の場合は3つ目のパターンです。」
と述べ(1パターン加えた!)、そして、その籠った熱のことを”少陰の熱”と表現し、
「それ(少陰の熱)が肺に影響すれば、そこに水気が集まり咳となり、心に影響すれば動悸、肺腎両方に影響すれば小便不利、
腹中に影響すれば腹痛になり、腸中に影響すれば下痢となり、もともと腸の動きが悪い人であれば渋り腹になる。」
と述べています。
そして、上記のような診立てで、四逆散を使って、効果がイマイチの場合に、四逆散にさらにどんな生薬を加えたらいいかについても、丁寧に解説してくれております。
そして最後に、
「本章は少陰病血虚裏熱より四逆を生じたものの治し方を述べた章です。」
と締めくくっています。
なるほど、「表と裏の間に」籠る、ね。
裏に籠る、というのとはニュアンスが明確に違うのです。
(起こる現象も違う。)
咳や動悸など、上に出たり、下痢や腹痛、渋り腹など、下に出たりすることの、上手い説明になっていると思います。
そして”少陰の熱”とか、”少陰病血虚裏熱”という表現、これもサラッと言うけど、奥の深い説明だと思います。
他の先生のように、肝鬱+湿邪、とか、肝鬱+水邪とか脾胃の虚、とかで説明するのではなく、あくまでも
”熱(通じなくなった陽気)がどこに影響するか、そして、そこに集まる水気”
で論じる。
一つの立派なお立場だと思います。
・・・いやー、みんなスゲエなー (゜o゜)
「四逆散」というお薬 8 に続く
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柴胡桂枝湯に引き続き、四逆散もまとめたもののほんの一部をブログに書いときましたので、またご確認を!
廣田漢方堂薬局さん
おお!あざーす!
(四逆散シリーズの完結、待ちきれなかった?(笑))
そうそう、日本の漢方家ばっかりだったんで、中国の文献いこうか迷っていましたが、助かります!!
このシリーズ、完結する時にも、リンク張っときます。
http://ameblo.jp/inochi-kirameki/entry-12039221388.html
有先生
今回の四逆散シリーズの掲載、勉強させて頂いています。ミチロー先生の掲載と併せて拝読すると、これまでの四逆散に対して理解しやすくなりました。
特に、荒木先生の「少陰病血虚裏熱」を踏まえると、四逆散は少陽病の段階だけでなく、少陰病のある段階で熱結が生じての諸症状が発症したときに処方できるのではと愚考しました。つまり陰証という太極が小さくなった段階において、陽気の停滞が起きる可能性があって、それによって陽気の回復が妨げられないように四逆散で適応する場合があるということです。このことから、四逆散に黄芩が含まれていないことや、乾姜や附子といった温剤が加味される場合があることも理解できます。
因みに、原南陽先生や本間棗軒先生は、小柴胡湯合茯苓四逆湯の柴胡四逆湯を「治疫熱挾隂證」、起死回生の剤として処方されていました。その意味が今回の荒木先生のご見解を踏まえると、納得できます。
私の勝手な曲解もあるかもしれませんが、今後の学習課題として大変参考になる記事を、両先生に掲載頂き、ありがとうございました。今後とも、お二人のやりとりを楽しみにしております^^
かわかみ吉祥堂。さん
おお!読んでくれてましたか!!
コメントありがとうございます☆
>原南陽先生や本間棗軒先生
なるほど、そういうことを言っていますか。
また勉強しておきます。
卜庵先生の解説、いいですよねー。(笑)
妄想力を掻き立ててくれます。(*‘∀‘)