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これまでのお話
「尺膚診(しゃくふしん)」について
「尺膚診」について 2
「尺膚診」について 3
「尺膚診」について 4
「尺膚診」について 5
「尺膚診」について 6
「尺膚診」について 7
「尺膚診」について 8
「尺膚診」について 9
「尺膚診」について 10 参照
では続きいきます!
◆『難経』13難における尺膚診の記載
ここまでで、『史記』『黄帝内経』における尺膚診の記載を引きながら、尺膚診という診察法の重要性を紹介してきました。
今日は、我々鍼灸師にとっての、もう一つの聖典と言っていい、『難経(なんぎょう)』という本の中の、尺膚診に関する記載を紹介したいと思います。
因みに、この『難経』という書物ですが、時代的には『黄帝内経』の後で、『傷寒論』の前、後漢の時代に書かれたと言われる本であり、
内容が多岐にわたり、様々な異なった立場や見地から述べられている『黄帝内経』とは違い、外邪に侵襲される病について詳細に論じた『傷寒論』とも違い、
薬でも灸でもない、鍼治療に関する内容に特化してスッキリとまとめられており、内容に非常に一貫性がある書物です。
日本の鍼灸師で、この本を知らないものはいないでしょう。
内容は『黄帝内経』と同じように81篇にまとめられ、1篇目から”1難、2難・・・、”と数え、最後は”81難”に至ります。
この本の”13難”に、尺膚診に関する記載があります。
どのような記載かというと、まず
五藏有五色.皆見於面.亦當與寸口尺内相應.
(五臓にはそれぞれ5つの色があって、その異常は顔面に出る。そしてそれは脈は尺内(前腕内側の皮膚の状態)と一致する。)
と出てきて、その後に
脉數.尺之皮膚亦數.
脉急.尺之皮膚亦急.
脉緩.尺之皮膚亦緩.
脉濇.尺之皮膚亦濇.
脉滑.尺之皮膚亦滑.
五藏各有聲色臭味.當與寸口尺内相應.其不相應者病也.
(脈が早ければ尺膚に熱感が現れ、脈が堅ければ尺膚も堅い、脈が緩んでいれば尺膚も緩み、脈が渋れば尺膚も渋る、脈が滑らかならば尺膚もなめらかである。
五臓にはそれぞれ声、色、臭い、味があるが、それらは脈、尺膚の状態と一致するものであり、一致しないのが病なのだ。)
と、出てきます。
※( )内は僕なりに平易に訳してみました。
ここの解釈なんですが、江戸時代中期にいた広岡蘇仙(1696-?)という人が書いた、『難経』の解釈本である『難経鉄鑑』という本の中に、
わざわざ”尺内”と書いてあることへの解釈がなされています。
”尺内”は前腕の内側を示し、外側でなく内側であることの理由として、前腕内側は陰経が流注する部位であり、相対的に陰であり、皮膚が和らかく、診やすいからである、
と述べ、尺膚よりも脈、脈よりも色が優位なのは、人体においては陽の方が優先されるからである、と説明しています。
一つの、参考にすべき考え方だと思います。
続く
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