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「不安」と「症状」(その2)

2010.09.23

・・・以前、このテーマついて、実例を挙げて少し書きました。

「不安」と「症状」 参照


西洋医学的に、「慢性」だとか、「難治性」だとか言われる病気というのがあります。

 


最初に断わっておきたいのは、それらが東洋医学的に見ても、必ずしも難治性か、慢性か、というと、そうではないことがあります。

 


西洋医学的に見たら慢性、難治性であっても、東洋医学的には意外とシンプルな病気、ということは、実際にあります。

 


なので東洋医学の場合は、一概に西洋医学的なそういう分類に、病を機械的に当てはめることはしません。

 

 

しかし、実際の臨床上、治癒するまで、あるいは症状の緩解をみるまでに時間がかかったり、また、ある程度まではよくなっても、途中から治りの伸びシロが停滞してくる病気がある、これは事実です。

 


なかなか症状が変わってこない、あるいは最初はよかったけど徐々に治療効果が停滞してきた、こういう時、患者さんに容赦なく襲いかかってくるのが、

「不安感」

というマイナス感情でございます。

 


正直な患者さんは、こうした時、ちゃんとこちらに訴えてきて下さいます。

「先生、だいぶ良くはなったけど、これ以上よくならないのかと思うと、不安で・・・。」

とか言ってネ。

 


この時、瞬間って、僕は個人的に、治療においてとっても大事なタイミングだな、と思っています。

 


なぜならば、ようやっと「不安→症状悪化」という”悪循環”から抜け出しかけた患者さんが、再び”悪循環”の渦に飲み込まれ「かけて」いる時だと思うからです。

 


そして、今度巻き込まれた時は、最初よりは助け出しにくくなります。

 


ですのでここは、何としてでも手を引っ張り上げてあげたい場面なんです。

(どんな言葉をかけるかは、完全にケースバイケースですので書きません。)

 


僕は多くの「治りにくい」病気の構造というのは、意外と単純だと思っています。

 

 

つまり・・・

1.「不安感」
    ↓
2.「症状」
    ↓
3.「治療効果の停滞、無効」
    ↓
4.「不安感増強」
    ↓
5.「症状増強」
    ↓
6.振り出しに戻る・・・ 

この悪循環が、あらゆる病を治りにくくする基本構造だと思っています。

 


この循環の中の3.のところに、「有効な治療」→「安心感」という流れが入ると、この悪循環から脱却することが出来ますが、

何かの拍子で、再び症状が出たりした場合、患者さんによっては再びこの悪循環の渦に飲み込まれそうになるケースがあります。

 


・・・短期間に治りにくい病気というのは、経過中に、患者さんを取り巻く外界の状況が様々に変化していきます。

 


即ち、四季の変化、社会環境の変化、家庭環境の変化、外的な精神的ストレスなどなどです。

 


こういう変化にもうまく対応しながら、なおかつ最も治したい症状を治していく、という場合に、こうした悪循環に「治る力」を邪魔されない、

 

ということが、極めて重要になってきます。

 


・・・では、そのためにはどうすればいいかというと、やはり、ベタなようですが

 

「その症状に対する過剰な執着心、拘りを捨てる。」


とか、


「感謝の心を大事にし、ポジティブにものごとを考える。」

ということ(心がけ)が、結果として「不安感」を忘れさせ、治癒への早道になる、というケースがすごく多いように思います。

 


・・・つまり、誤解を恐れず、大げさに言えば、大概の病気というのは、

 

「必ず治る!!」


と信じきったり、


「ここまで治ったんだ、なんてありがたいんだろう!」


と感謝しきって、そういうポジティブな感情で頭の中の「半分以上」を埋め尽くしたモン勝ちなんだと思います。


これは「心がけひとつ」の問題です。

 


・・・もしもその逆をいくと、ろくなことにならんのは、想像に難くないはずです。

 


そして、患者さんにそういう心がけを持ってもらいたい、と思うのであれば、僕(治療者)自身が、そういう心がけを常に持っている、ということが重要です。

 


僕は今なぜか、周りにひかれるぐらいプラス思考です。(笑)

 

 

もちろんまだまだ修行中の身ですが、この業界に入り、毎日毎日患者さんに接するうちに、不思議と、徐々にそうなりました。


(まあ、色々と辛い思いもしながらも、たくさんの大事なことに気付かせてもらった訳です。昔はもうちょい普通だったんですがネ・・・。(苦笑))

 

 



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この記事に関するコメント

“「不安」と「症状」(その2)” への6件のフィードバック

  1. 神戸の輝き より:

    臨床家として同感です。僕も毎日治療院で「大丈夫だぁ×2」と、患者さんに向かって連呼してます。ほとんど“志村けん”状態ですわ。

  2. いんちょう より:

    神戸の輝きさん
    コメント、ありがとうございます!
    > “志村けん”状態
    はは(笑)分かります。
    患者さんを、マーシー状態にしてはイカンのですよね!!(苦笑・・・あれも悪循環から抜け出せなくなっている、分かりやすいパターンですよね。)
    今度ああいう、”依存症”の構造についても考えてみたいと思っています。
    お互い、頑張りましょー!!!!!!

  3. カエコサマ より:

    鍼灸で治療を受けている者です。
     『不安→症状→・・・』は、本当に分かりやすいメカニズムの説明でした。そして、そこに『安心感』が入り込むのもなかなか容易ではないのもすごく良く分かります。 
    私の先生も、いつもポジティブな言葉をかけて下さいます。 「治りたい」「治るんだ」という信じる気持ちもとても大切、と説いて下さいます。
    鍼灸ブログではライバルですが、当たり前ですが鍼灸の芯は変わらないのですね。共通したものを感じました。

  4. いんちょう より:

    カエコサマさん
    コメント、ありがとうございます!
    >  『不安→症状→・・・』は、本当に分かりやすいメカニズムの説明でした。そして、そこに『安心感』が入り込むのもなかなか容易ではないのもすごく良く分かります。
    ありがとうございます 
    > 私の先生も、いつもポジティブな言葉をかけて下さいます。 「治りたい」「治るんだ」という信じる気持ちもとても大切、と説いて下さいます。
    大変いい先生におかかりのようですね。それはすごく大切なことだと、僕も思います。
    > 鍼灸ブログではライバルですが、当たり前ですが鍼灸の芯は変わらないのですね。共通したものを感じました。
    そうなんですね。(笑)・・・個人的には、鍼灸ブログはブログ自体の絶対数も、それを見ている人の絶対数も、まだまだ全然少ない、と思っています。
    もっともっと、世界中から注目されるべき医療だと思っています。
    僕はカエコサマがおかかりの先生(どなたか存じませんが・・。)とも、あらゆる同業の先生達とも切磋琢磨して、もっともっとこの業界を盛り上げたいと思っています。
    それが必ず患者さんのためになると信じております。

  5. カエコサマ より:

    いんちょう先生、お返事ありがとうございました。
    私もまだまだ鍼灸初心者ですが、かかりつけの先生の生き様や物事に対する姿勢などを見ていますと、本当に注目されるべき医療なのだろうなぁ、と私も偉そうにそう思います。
    いんちょう先生のご活躍も陰ながら応援しております。
    また楽しみにブログ、読ませて頂きます。

  6. いんちょう より:

    カエコサマさん
    > いんちょう先生のご活躍も陰ながら応援しております。
    > また楽しみにブログ、読ませて頂きます。
    ありがとうございます今後も清明院を宜しくお願いいたします!!

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