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これまでのお話・・・
「腎」って何ですか?(その11)
「膀胱(ぼうこう)」って何ですか?
「膀胱」って何ですか?(その2)
「膀胱」って何ですか?(その3)
「膀胱」って何ですか?(その4)
さーここらで、「膀胱の腑」シリーズをいったん終わりにしましょう!!
☆「下焦」という世界
「腎」って何ですか?(その3)で述べたように、東洋医学ではおへそから下の、下腹部のことを「下焦(げしょう)」と呼び、とっても大事な臓腑がしまわれている場所だ、と考えています。
すなわち「腎の臓」、「肝の臓」、「小腸の腑」、「大腸の腑」、「膀胱の腑」、「女子胞(じょしほう:子宮のこと)」が存在し、上焦、中焦と比較すると、
最も多くの臓腑が存在します。
それも、消化や排泄、泌尿生殖器といった、生命を維持する上で欠かせない、重要な臓腑ばかりです。
気功などでも、おへその下には臍下丹田(さいかたんでん)という、気を集める特別な場所があるとし、古来から非常に重要視しています。
このように人体の中で非常に大事なポイントに、さりげなく(でもないか。)存在する「膀胱の腑」・・・。
その膀胱の腑と最も関係の深い経絡に、「足太陽膀胱経(あしたいようぼうこうけい)」という経絡があります。
(経絡の話も、そのうち書きます。)
その経絡上に、「崑崙(こんろん)」という経穴(ツボ)があります。
今日はオマケで、その話をちょこっと書いて終わりたいと思います。
☆神秘の霊峰「崑崙山」と「崑崙」という経穴
ちょっと番外編になりますが、この「崑崙」・・・。
外くるぶしの後ろにあるツボでございます。
↑↑若干ムクミが気になりますが。。。
もともと、「崑崙山」という山の名前から取ったモノだと言われております。
(・・・まあ、カタチ的に外くるぶしが崑崙山で、そのふもとってとこでしょう。)
この崑崙山という山は、中国の太古の伝説にもよく登場する山でして、伝説では神様や仙人が住む、霊峰なんだそうです。
実際に現在も、チベット高原の北には同名の山脈が存在します。
(そこは普通の山脈のようですが。(笑))
古代中国で神秘思想が流行した時期、もともと山というのは神聖なものとして扱われていましたが、中でもこの崑崙山は特別扱いだったようです。
「コンロン」とは「渾淪」とも書き、こう書くと非常に深い意味を持ちます。
『列子』天瑞第一にこうあります。
「太初は、気の始めなり。太始は、形の始めなり。太素は、質の始めなり。気形質具わって未だ相離れず、故に渾淪(こんろん)という。」
(穴沢辰雄『列子』明徳出版社 P32 参照)
・・・ここでは、「渾淪」とは宇宙開闢以前の混沌(カオス)のことです。
また道教などでは「崑崙」という言葉はそのまま「脳」を示す、とあり、これまた深い意味があります。
近代日本の著名な鍼灸家も、このツボは非常に強力なツボだと認識しているようです。
(柳谷素霊先生の見解に、藤本蓮風先生も同意しています。藤本蓮風『経穴解説 増補改訂新装版』メディカルユーコンP226参照)
僕自身の臨床経験でも、診断点、治療点として、非常に使えるツボじゃないかな、と認識しています。
・・・まあ、あんまり書いてると止まらなくなりますが、個人的には「足太陽膀胱経」の中でも、非常に臨床における利用価値の高い、興味深い経穴だと思っております。(笑)
そして、そう思うに至るまでに、実践はもちろん、あらゆる着想のきっかけがあった、ということです。
まあ、これを一つのオマケとしまして、「膀胱の腑」シリーズ、いったん終了でございます!!
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