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以前、東洋医学の言う「血」について書きました。
「血」って何ですか?(その10) 参照
人間の健康にとって、欠かすことの出来ない、正常なる「血」というもの・・・。
これが病むと、非常に様々な症状が出ます。
また、一口に”病む”といっても、その”病みかた”には、実に色々なパターンがあり、それを考えて、的確に治療しないと、上手くいかないものです。
最近、知り合いの先生とのメールのやり取りの中に、注目に値するものがあったので、ここに備忘録として書き留めておこうと思います。
以下に書く内容は、一般の方には少々難しいかもしれませんが、まあ、いつも冗談言いつつも、我々は頭の中では、こういうことを考えながら、鍼灸しています。
〇
何度かこのブログにも出てきていますが、「血」の病変で有名なのは、「瘀血(おけつ)」と「血虚(けっきょ)」です。
「瘀血」は、「血」が滞ったパターン、「血虚」は、「血」が不足したパターンですが、これらにも、実は色々なバリエーションがあります。
部分的なものや、全身的なもの、また、これらが成立するにあたって、どの臓腑の異常が関与しているか、等々、よくよく見極めないとダメです。
失敗します。
治せません。
治せないのは精神論じゃない、診立てが違っているのです。
〇
また、あまり聞き慣れないものに「血痺(けっぴ)」というものがあります。
これは、「血虚」的な性質と、「瘀血」的な性質を合わせ持ったような概念であり、「血」の状態を示すもの、というよりは、示す内容は割と限定的で、
いわば”病名”に近く、いくつかの専門書には、
”気血が不足しているところに外邪を受け、血が滞った結果、麻痺がおこるもの”
だとか、
”血の流れが悪くなって知覚が麻痺してくるもの”
だとか、
”浅い部分の血が滞って、水と気が調和しないもので、痛みや熱はなく、ただ麻痺するもの”
などと書いてあり、とある漢方の先生の本には、顔面神経麻痺や、皮膚の知覚異常なんかを、この考え方を応用して治した、という症例が紹介されたりしております。
ちなみにこの言葉(血痺)は我々のバイブル、『黄帝内経霊枢 九鍼論(78)』の中にも出てきます。
また、黄帝内経と肩を並べるぐらい重要な古典である『金匱要略』の中にも、『血痺虚労病脈證併治』という章があり、ここにも「血痺」について詳しく書かれています。
「血」の病変一つとっても、このようにパターンは多岐に渡り、ある程度熟知していないと、的確な治療は出来ません。
一生勉強。
寝ても覚めても、勉強です。
まーそういうこと言うと、
「勉強好きだねー!」
とか、茶化す奴がいるけど、別に勉強が好きとか、そういう訳じゃなくて、そういう職業なんだ、と思っています。
また、僕の場合は、勉強というより、子どもがポケモンの名前覚える感覚に近い。
そりゃーめんどくさい時もあるけど、別に苦ではない。
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血痺とは、血が卑しい(いやしい)ということ。
瘀血とは、停滞した血(すなわち汚い血)が滞り、生じるモノ
一方、血痺の場合、血が卑しいということから、キレイな血が流れないということ。
血痺虚労病の基本処方である小建中湯は桂枝湯→桂枝加芍薬湯の流れ。
しかも陽病の初めである太陽病の基本方剤は桂枝湯。
陰病の初めである太陰病の基本方剤は桂枝加芍薬湯。
さてさて、これが何を意味しているのか?
現代生理学に照らし合わせてみるとこれまた面白く、桂枝は血分に入るのは周知の事実。そしてその血分とは現代医学的には動脈系だと推測される。
一方、芍薬は静脈系に入る。
桂枝と芍薬を併用することで、動脈から静脈の血液還流を改善し、芍薬の血痺を取り除く力によって、正常な血液をしっかりと流すための土台を作ることができる。
太陰病で大実痛には桂枝加芍薬大黄湯が使われるが、なぜ大黄を入れるのか?
大黄にはどういう働きがあるのか?
を考えるとさらに理論が深くなるのです。。。
店長さん”血閉”についても、そのうち書きますね♪
コメント、ありがとうございます!(*^_^*)
> 桂枝と芍薬を併用することで、動脈から静脈の血液還流を改善し、芍薬の血痺を取り除く力によって、正常な血液をしっかりと流すための土台を作ることができる。
なるほど、面白い考え方だと思います。そう考えることで、桂枝と芍薬を理解しやすい医師、薬剤師は多いでしょうね。。。
> 大黄にはどういう働きがあるのか?
ありがとうございます