東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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鍼灸には保険がきかない!?(その3)

2010.03.24

これまでのお話



鍼灸には保険が効かない!?(その1)

鍼灸には保険が効かない!?(その2)

 



鍼灸治療に、病院と変わらない方法で、保険が使えるようになる、こんな日が来たら、僕らにとっても、患者さんにとっても、こんなに嬉しいことはありません。

 


しかしこれには、実に様々な問題が重層的に立ちふさがっており、正直、はたして我々が生きているうちに実現するだろうか、と思ってしまうほど、

 

実現は至難の業だと思います。

 


まず、鍼灸、東洋医学の有効性をアピールするにあたっての問題です。

 


清明院HPにも書いてある通り、鍼灸はあらゆる病気に有効だと思います。

 


近年、WHO(世界保健機構)が、鍼灸治療の有効性あり、とした疾患を、具体名をあげて発表しました。

(社)日本鍼灸師会HP参照

 

これを見ますと、前々回に挙げた、日本政府が保険適応と認めた6疾患以外にも、実に様々な病気に、鍼灸が有効であることが分かります。

 


僕個人的には、さらにこれら以外にも、まだまだ鍼灸治療が有効な疾患はある、と思っています。

 


僕の短い臨床経験からも、尊敬する先輩たちの仕事を見ても、それは明らかです。

 


日本政府がなぜこれ(WHOの定義)に保険適用化、という対応をしないのか、という問題はここでは一先ずさておいて、WHOが掲げた病気「以外」のモノに対する有効性をアピールする上では、

 

一応色々な方法が考えられます。

 


まずは実際に治った症例を公の場(学会等)で発表することが出来ます。

 


しかしこれは学会発表の分類としては単発の「症例報告」という扱いになり、多くのデータを集積したものに比べると相対的に評価は低くなります。

 


ということで、いくつかの同じような症例を集積して発表する、という方法が考えられますが、
全国の大学病院の患者数と、鍼灸院の患者数を比較すれば、

 

圧倒的に数で劣ることは自明の理です。


(つまり、良い内容を書いたとしても、結局は評価が、説得力が相対的に劣る、ということです)

 


しかも、現状、日本の鍼灸業界と言うのは、治療する上での方法論が全く統一されておらず、各鍼灸院がそれぞれに全く違うやり方、理論で治療を行っています。

 


つまり、例えばリウマチの患者さんを1000人集めて、鍼で治療して、90%有効だった、と言っても、

「それはあなた(の流派)の場合は、の話ですよね?」

と言われちゃいます。

 



なるほど、鍼灸師同士の各流派で全然、足並みが揃ってない訳ね、と思いますよね??

 


しかも、じゃあそれらの流派が喧々諤々やって、よりよい治療法を真剣に、患者さんのために模索しているかと言うと、それも現在はほとんどやっていません・・・。

 


一応、昭和の時代に、それをやっていた時代はあったんですが、結局お互いに譲れない部分が勝ってしまい、話にならない、まとまらない、

 

というのが実情だったようです。

 


そうして、今では「変な住み分け」みたいなものが成立していて、一見安定しているように見えますが、どうやら「一丸となる」という空気が、

 

今のこの業界にはほとんど皆無、と言っていいようです。

(現状を見れば、結果として、という意味で、です。)

 


・・・ということは当然、傍から見たら、残念なことに、個人個人が好き勝手なことを言って、自分の周りにフォロアーを集めて、まるでドングリの背比べをやっているような滑稽な業界、

 

という心無い(しかしある意味冷静な)評価が、実際にあります。

 


しかしながら、この「流派」というものに属している先生方に実際にお会いして話を聞くと、「自分良ければすべて良し」と思っている先生はほとんどいません。

 


みんな潜在的には、

「みんなで協力して、いい知恵出しあって、業界を良くしていこうぜ!」

という思いはあります。

 

しかしあまりにもそういう流れがないもんだから、

「じゃあ俺は俺なりに最大限、出来ることをやるわ。」

となってしまいます。

 



それが現状の「変な住み分け」みたいなものに繋がります。

 


しかも、そういった「流派」に所属することを嫌って、一匹狼とでもいうべきか、自分の治療所をもって、弟子もとらず、自分の患者さんのみを淡々と治療しておられる先生も多いです。

(実は何気にこのパターンが一番多いんじゃないでしょうか。まあそれがその先生にとっての、鍼灸師としての自己実現であるならば、そのスタイルも十分理解は出来ます。)



・・・で、結局こうなると、一部の先生のみが、各種のメディア(TV、新聞、雑誌、書籍、インターネットetc..)を利用して、出来るだけ説得力のある理論に基づく症例や、

 

理論そのものを数多くアピールする、とか、公的な学会発表、研究活動を続ける、という方法しかなくなります。

 


それを個々が手探りで、勝手気ままに、バラバラにやり続けている、というのが、現在の鍼灸業界の姿でしょう。



これでは、一部の、縁があった患者さんの心を動かすことは出来ても、国家を動かすことは出来なそうですよね?

 


(次回に続く)

 



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関連記事: 鍼灸と保険・業界のお話

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この記事に関するコメント

“鍼灸には保険がきかない!?(その3)” への2件のフィードバック

  1. ぷらら より:

    国が、お医者さんもスケートみたく技術点(わかりやすいとこ)と芸術点(人によって違うかもなとこ)と演技構成(治すまでの道のり?)とかを合わせて点数で評価してくれれば東洋医学は西洋医学と同じリンクで競えるのかしらん…
    ホントに良ければ審査員がみんなそろって高得点をつけるスケートみたく、鍼、金メダル目指して!
    キム・ヨナたんサイコー!

  2. いんちょう より:

    ぷららさん
    コメントありがとうございます
    >鍼、金メダル目指して!
    そうですね(笑)頑張ります!

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