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2010.04.12
これまでのお話・・
「泣く」とはどういうことか(その1)
「泣く」とはどういうことか(その2)
今日は、「感極まる」「感情が高ぶる」ということと、「肝」という臓がどう関わるか、というお話をしようかな、と思います。
以前、東洋医学においては、五臓と感情は関係が深い、というお話をチラッとしました。
(カテゴリ「七情について」の8つのお話参照)
その中で、「肝」という臓は「怒り」という感情と関係が深い、というお話をしました。
しかし、「泣く」という現象は、なにも「怒り」だけで起こってくる訳ではありませんよね?
うれしくて泣く、悲しくて泣く、恐くて泣く等々、「泣く」という行動に移るまでの感情は、実に様々です。
しかも単純に、目に対する物理的な刺激でも、涙が出ることはあります。
それなのに、なんで「泣く」ことと「肝」の関係が深いかというと、感情の過不足、というものは、つまるところ「気の正常な流れ」を障害するからです。
つまり、怒れば気が上がり、喜べば気が緩み、思い患えば気が結び、悲しめば気が消え、恐れれば気が下がる訳です。
(カテゴリ「七情について」参照)
そんで、感情の過不足によって乱れた、これ(気の極端な動き)を正常な状態に戻す、主たる臓こそが「肝」なのです。
ですので、この感情の過不足がきつければきついほど、「肝」の仕事は多くなります。
頑張らなくてはいけなくなります。
こうしたことから、「肝」は五臓の中では、
「将軍の官(しょうぐんのかん)」
とも言われ、外的な刺激(精神的、肉体的両面)に対しての対応を担い、適切な対処を考える臓、と位置付けられています。
この時、この働きがスムーズに、速やかに発揮出来れば、「泣く」という現象は起こりません。
(いわゆる感極まった状態になることはないわけですね)
しかしこれが「肝」にとって許容範囲を超えた、大きな負担になるほどの感情の過不足だと、肝の働きが阻害されます。
この病理的状態を、東洋医学では「肝欝気滞(かんうつきたい)」と言います。
これが長引いたり、あるいは短期的であっても急激に起こったりすると、「気鬱化火(きうつかか)」という状況が起こります。
(なぜ、そうなるのかという細かい話は、話が逸れるので割愛します。)
この「気鬱化火」という病理現象が起こると、気は一気に体の「上」に向かいます。
つまり、体の「上」で「気」が急激に渋滞する訳です。
これが「目」で起こると、目は充血(血も渋滞した状態)して真っ赤になり、熱(鬱熱といいます)を持ちます。
これだけで終わったら、すぐに「目」がカラカラに乾いて、干からびて失明しちゃいますので、何とかこれを冷やそうと、「肝」やそれ以外の臓腑が協調して、
体の中の正常な「水(津液と言います)」が目に「急激に」集まってきます。
そして余剰な分が溢れて、目からその水が流れる、これが東洋医学的な「涙(るい)」です。
ちなみに、目で起こらない場合でも、この病理(気鬱化火)の場合は、頭痛であったり、肩こりであったり、必ず「上」で症状が起こってきます。
(感情が極まっても、泣く人ばっかじゃないもんね)
では物理的な刺激で涙が出るのはどうしてか、次回はそのお話。
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