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2010.06.23
今日、患者さんからこんな質問をいただきました。
その内容が、今つづっている「脾って何ですか?」にもちょっと関わるので、紹介します。
・・・その患者さんは、お酒をよく飲まれる、坐骨神経痛の男性です。
初診時から、経過は良好なのですが、たまにお酒を飲み過ぎると、症状が出てくることがあります。
今日も、前日にお酒を飲み過ぎたことによって、若干症状が出た、とおっしゃいました。
しかし、いつもの、飲み過ぎた時の症状とは若干違います。
体表観察してみると、今日の場合は「酒のせい」というよりも、
お酒というより、全体的に水分全般を取り過ぎてること+体の外からの冷え
によって症状が出ている、と判断しました。
そこで患者さんに再度確認してみると、
「自分では飲み過ぎたような印象があったんだけど、よく思い返してみると、量的にはいつもと変わらないか、少し少ないぐらいだった。」
と言いました。また、
「昨日仕事中にエアコンがきつすぎて寒かった。」
ともおっしゃいました。
・・・で、
”あー、ヤッパリネ”
ということで、治療が終わり、治療後に、
竹「お酒も含めて、少しお水の取り過ぎに注意して下さいね~。」
と声をかけると、
患「先生、体に余分なお水が多い時、お酒の量は変えずに、他の水分の量”だけ”減らしたら、それでも症状軽くなるの?」
と聞かれました。
僕は即答で、
竹「なります。この場合はね。酒がたくさん飲みたいんなら、酒以外の水分を極端に減らせば、ある程度の量飲んでも症状が悪化しにくいですよ。」
患「なるほど。へへへ・・・。(笑)」
竹「ただ、”今日みたいな場合は”ですよ!!いつもそうとは限らんよ!」
・・・という会話でした。専門家の先生方なら、この会話の時点で大体どういう患者さんかお分かりになるかと思いますが(笑)、今日はこの会話から、
一つの問題を取り出して解説してみようと思います。
☆お酒とその他の水分の違い
清明院で使用している(一社)北辰会専用カルテの問診事項には、飲酒の頻度と一回量を記載してもらう欄があります。
ここに問題がありそうな患者さんであれば、そこからさらにお酒の種類は何か、ペースはどうか、酔うとどういう状態になるかなどなど、
さらに突っ込んで問診していきます。
・・・なぜこのように、”お酒”を医学的に特別視するんでしょうか。
酒のことを東洋医学では、
”大辛大熱(だいしんたいねつ)”
と言って、適量であれば、大いに気血を巡らせる作用があるが、過度になれば体内に余分な熱を生じる飲み物、と考えています。
また発泡酒(炭酸が入ったお酒)の場合は、
上記の作用+気血を体の上(つまり頭部、胸部)に持ち上げる作用がある、
と考えます。
よく、「酒は百薬の長」と言われますが、これはお酒が持つ”気血の巡りをよくする”作用のことを指して言っているのであって、過度に飲んで、
結果的に体内に”余分な熱”や”余分な水分”を生じることを指して言っているのではありません。
よく西洋医学で、酒は利尿作用があり、呑んだ量よりも出ていく量の方が多いから、結果的に脱水状態になり、水分補給にはならない、と説かれますが、
酒を呑んでいる人をよく観察していると、かえってトイレに行かなくなる人もいます。
そういう人の場合は浮腫みます。
このように、「どういう人が」「どういう酒を」「どの程度の量」呑んだかによって、その後起こる現象は一様でなく、これをよくよく聴取して、
酒がその患者さんに何をもたらしているか、個別に考えるべきです。
(因みにあの、”チェイサー”というのはとてもいい方法だと思います。)
こうしたことから、日頃よくお酒を飲む、という初診の患者さんには、量、頻度、種類、ペース等々、詳しく聞いておくことが、「正しい」東洋医学的な診断をする上ではとても大事になります。
冒頭の患者さんも、こうした「お酒」というものの特徴から考えると、ちょっと考えにくい症状、所見を呈していたので、冒頭のようなやり取りになった訳です。
お酒以外の嗜好品では「カフェイン類」というのも見逃せませんが、それはまた今度語ることにします。(笑)
まあ、いずれにしても最近のようなジメジメした時期を快適に過ごそうと思ったら、酒だろうがカフェインだろうがジュースだろうが、
お茶やお水であっても、過度に飲まないことです!
「脾」は湿気(余分なお水)を嫌いますのでネ・・・。
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