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これまでのお話
長くなってきましたが、ここらでいったん締めましょう。
◆我々が動かしているのは、本当に衛気か?
伝統的な東洋医学の理論に基づき、精密に四診合参して弁証論治を行う、北辰会方式の枠組みの中に、
「手を翳して」
行う体表観察(東洋医学的診察術)のことを
「衛気診」
と位置付けて採り入れ、その観察結果に基づいて、
「鍼を翳して」
補瀉(※)を行い、東洋医学的に
「治る力を最大化する」
治療を行う、という診察術、治療術は今後、北辰会を超えて、鍼灸界のメジャーになるか。
(※)補瀉については 補瀉 目次 参照
・・・正直、微妙かも。(苦笑)
でもまあ、キチッと理解、習得し、方法論の一つとして持っておくと、臨床レベルで武器になることは間違いないと思います。
あと、もっと位置付けを明確にするなら、実際に
「どういう場合に」
衛気診と、衛気に対する治療を選択するべきか、という問題において、単純に
「小児などの敏感、過敏な患者」
という以外の、明確な診断学的な位置付けも必要ですね。
・・・ということで、まだまだ解決するべき問題は多くあると思います。
〇
ところで、我々が動かしているのは、本当に衛気なんでしょうか?
実際にやってみると、時になぜ、あそこまで大きな変化が起こるのか、という問題については、
にいくつか仮説を挙げましたが、それ以外には何か考えられないか。
一つには、
「人体内外の世界の境界」
なんですよね、衛気の層は。
北辰会方式では、
「枢(すう、とぼそ)(※)」
つまり腹部や奇経、少陽枢機、少陰枢機を巧みに動かすことによって、一本の鍼で気を大きく動かす、という理論、手法をよく使います。
(もちろん、中途半端に配穴のみ真似すれば非常に危険です。)
(※)「枢」については 「三陰三陽」という考え方 8 参照
この考え方からすれば、衛気の層というのは、内外の気の境界線であり、一種の「枢」とも考えられます。
空気も飲食物も、人体の「外」、気一元論からすれば、外界にある「気」です。
人間は外界にある「気」を体内(ここでは外界に対して”内界”とでも言いましょう。)に採り込むことでしか生命を維持できません。
その、外界の外気と、内界の内気のバランスの調整を行うのが衛気の操作なのかもしれない、と考えると、色々と面白いことが妄想できます。(笑)
・・・まあ、僕ごとき青二才が、ここであまり迷言妄説を吐いても仕方ないので、この妄想は今後、臨床しながら、古典にも照らし合わせつつ、よーく検討していきたいと思います。
気が向いたら続く
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