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前回のお話し
前回述べたように、東洋医学の言う五臓六腑の一つである、小腸の腑、大腸の腑には、「左旋」「十六曲」という形態的特徴が付されている。
(『霊枢』腸胃(31)です。)
カテゴリ 五臓六腑
もちろん、実際に人体を解剖してみれば、小腸は左旋も16曲もしていない訳ですが、現代西洋医学的な現実的、写実的解剖学ではなく、
気一元論、太極陰陽五行論を前提とした、観念論的、機能的解剖学の”より完璧な”構築に腐心した古代中国、あるいは東アジアの医者たちとしては、
ここにどんな意味を込めたのか。
・・・昔から感じるけど、こういう問題に興味を抱き、気にするかどうかっちゅーのも、感性、センスという意味で、この医学を実践、ないし研究していく者にとっては重要かもしれない。
まず「左旋」からだけど、左旋ときたらまず思い浮かぶのが河図洛書の洛書だ。
河図洛書に関して、詳しい説明はここではしない(てか素人なんで出来ない(-_-;))けど、洛書では陰の動きは四隅における左回旋(2→4→8→6)であらわされる。
(アルテミシア『臓腑経絡学』p13)
つまり小腸の腑、大腸の腑における廻腸の「左回り=左旋」という形態的特徴の意味は、「陰の動き(収斂、収蔵、ある意味で成熟)」を表現しているのではないか、と、個人的には愚考している。
つまり形態的に「左旋」であらわされる「陰の場」である小腸大腸において、飲食物(水穀)は収斂、収蔵されていき、ある意味で「人体にとっては使い物にならない」二便が成熟していくわけだ。
(しかも左旋しながら上から下に動くわけだしね。(^^♪)
因みに、五藏六府の中で、奇恒之腑も含めて、回旋、螺旋のイメージであらわされるのは小腸の腑、大腸の腑のみだ。
(そのうち語りたいけど、この東洋医学的人体の”回旋・螺旋”の問題がまた、色々あって楽しい。(*‘∀‘))
カテゴリ 奇恒之腑 参照
・・・ではもう一つの特徴、「十六曲」はどうか。
五臓六腑では他にも、肝の七葉、肺の八葉、心系の四、三焦の三、脾・胃や心・心包や肝・胆や腎のニコイチなど、数字に拘って特徴づけられたような表現が散見される。
因みに、Wikipediaによると16の正の約数は1、2、4、8、16の5つだそうだ。
そして約数を「5つ」持つ数の中では「最小が16」であり、16の次は81だそうだ。
(もうこの、”最小”とか、”次が81”とか出てきただけで、ヨダレが。。。(笑))
また、約数の和と元の数との積が完全数になる3番目の超完全数であるそうで、1つ前は4、次は64だとか。
(これも、4とか64とか出てくるともう。。(゚∀゚))
数字、数術に詳しい読者の方、16そのものの数学的、数術的意味に関しては、まだまだ色々あると思うんで、ぜひ教えてください。<m(__)m>
・・・ともかく、「16」みたいに、易(河図)の言う生数(せいすう:1~5まで)と成数(じょうすう:6~10まで)を超えた二桁の数字が出てきたときは、
『黄帝内経素問 三部九候論(20)』に「天地之至數.始於一.終於九焉.」とあるように、そこに含まれる生数や成数の組み合わせで意味を考えて妄想したりしますが、
今のところ、小腸大腸の場合の「16」に内包されている意味は4✕4じゃないかな、と思っています。(私見)
「4(四)」は古代中国においては、代表的には地(陰)における東西南北の空間や、四時陰陽(四季)を示し、空間的広がりや、時間の循環を意味します。
(青土社『中国神秘数字』参照)
また、易(河図)の生数では「4」は「金」を意味します。
「五行」のはたらき 4 参照
脾の臓と胃の腑の協調共同作業(胃の受納腐熟、脾の運化昇清のコンビネーション)での結果としての未消化物を、正常な脾胃の働きを土台にしながら、
心腎の陽気の扶助、肝肺の疏泄昇発宣発粛降の扶助によって、滞りなく、完璧に近い形で精濁泌別、糟粕の伝導が行われるためには、空間的に十分な広がり(四方)と、
十分な時間的な有余(四時)を必要とし、最終的には魄門(肛門)からの排泄(死と再生)が待っていますので、この流れは陰の場(左旋)において行われないと。
小腸の腑、大腸の腑における「左旋」「16曲」は、あんな、ある意味で稚拙な蔵象図の中に、上記のような深い意味をサラッと込めているモノなのではないかと、今のところ愚考しています。
(読者の方で、これに関して他の御見解がある方、ぜひご教示ください。)
鍼灸臨床で、便秘や下痢を治療するときに、合谷や後渓や上廉や下廉を当たり前に使うことがありますが、上記のようなことを考えながらやると、
診どころや意識に変化が出てくる筈です。
澤田健による
「リウマチは小腸の熱だ。」
という発言の意味や、北辰会が後渓を使ってあらゆる病を治している現実なんかもね。
・・・ま、どうであれ、結果的に、腸の健常な左旋力、消化吸収に必要不可欠な空間と時間を調整するのではないかと思っています。
今のところ、そう考えています。(゚∀゚)
(因みに今回と前回の話はまったくの私見ですので、悪しからず☆)
2019.06.08
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毎日患者さんの体を診ていると、妙に気になるところがある。
例えば、主に背中に現れる「つむじ(旋毛)」。
督脈上だけでなく、膀胱経上にも確認出来ます。
つむじといえば、頭のてっぺんにあるのはみんなよく知っている。
でも、教科書的な百会穴と一致するかというと、しない。
(広い意味では一致するといってもいいのかな。。。)
中学生の時、おでこの周辺にももう一つつむじのある友達がいて、みんなで不思議がっていた。
・・・あれはいったい何なんだろう。
つむじは一応、医学用語(というほどでもないだろうけど)では「旋毛(せんもう)」とか「毛渦(もうか、けうず)」と呼んだりするらしい。
調べたところ、右回旋のものの方が10%ほど多かったとか、日本人では左回旋が多いとか、人種差があるとか。
(これも興味深い。でも、母集団がどういったものか、よく分からん。。。(苦笑))
胎児の名残りで、皮膚の発生と関与するとか。
つむじから始まる毛の生え方、流れのことを「毛流(もうりゅう)」というらしく、動物を見ると、進む方向に、また雨水を効率的に下に落とし、
体温を守るためか、風と水の流れを邪魔しない方向に沿って生えている。
走っている毛足の長い犬を想像すれば分かるように、進む方向に沿って生えている訳です。
確かに進行方向とは逆に生えてたら、空気抵抗で動きにくくてしゃーないですわな。
水が落ちやすいように、上から下に向かって生えているというのも濡れた動物の姿を想像すれば分かるでしょう。
これも逆に(下から上に)向かって生えてたら、背中に水がたまっちゃって、乾きにくくてしゃーない。
人間は二足歩行で直立するから、頭のてっぺんにつむじが出来て、水が流れ落ちるようになっている、と言えば何となくわかるが、じゃあ背中にあるのはなんでだろう。
胎児の名残り、四足歩行時代の名残りと言うなら、全員の同じ場所に無いのは何で??
で、よく診ると、これが特定の経穴、示唆的な経穴に出ている場合がある。
良くあるのは神堂、筋縮などの督脈上。
督脈からは少しずれて、脾兪に出ているのもあった。
東洋医学的には、それらによっても意味するところが違ってくると思う。
頭のつむじが生まれつきあるところを見ると、その他の部位に出てくるつむじも、生まれつきなのか。
これは、気が散っていく様か。
あるいは流れ込んでくる様か。
あるいは鳴門の渦潮のように、旋毛の付近で相反する方向性の気の流れがぶつかった結果か。
これらが複合している様か。
おおよそ、上記に帰納できそうだが、いずれにせよ、気になる所見。
今後も診ていこう。
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2018.12.30
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こないだの講義で、「要素還元論」について少し喋った。
これ、いつかこのブログに書いたっけ、と思って調べたら、書いてなかったので、ここに書いておく。
まあ、「コトバンク」に書いてあることを引用すると、
まあ要は、生命の複雑な仕組みを理解するのに、そこから一部を取り出してきて、それの仕組みをよーく調べたら、全体の仕組みがわかるよん、
という、生物学上の立場です。
これは、そこに起こる現象を物理化学の法則で理解できるという機械論(生命機械論)とも通じるところがあり、西洋医学が発展したきたのは、
この観点が大きく影響しています。
現代日本人がその恩恵にあやかっているレントゲンやCT、MRI、ワクチン、外科手術、点滴などは、この考え方に基づいて発展してきたものです。
まあ、世界中で大成功を収めたといっていいでしょう。
当然、この考え方からすれば、生命というものは
「DNAを自己複製するシステム」
ということになりますから、今や、再生医療、遺伝子治療に熱い注目が注がれています。
それはそれで、どんどんやりゃあいいです。
要素還元主義、人間機械論が先鋭化すればするほど、東洋医学が持つ生気論的生命観、全体観の存在価値がかえって増すでしょう。
また、医療は、現実問題として簡単で、持続可能でないといかんしね。
俺ら、鍼ともぐさと布団がありゃ、どこでも出来る。
(布団は無くてもいいか)
でけえ機械とか設備とか、要らないのね☆
鍼灸最高!!
生気論と機械論は東洋医学は宗教か。 13参照
この医学の根本哲学は総合と総体 参考文献参照
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2011.09.21
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いや~、今日の台風はなかなかのもんでした。
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