東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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脊髄損傷と鍼灸

2019.10.14

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「脊髄損傷」という病気があります。

 

 

これは病気というか、ケガ(外傷)からくるものがほとんどです。

 

 

最近ではプロレスラーの高山善廣さんが試合中の事故で起こしました。

 

 

背骨の中には「脊髄」という、中枢神経の束が入っている訳ですが、これが何らかの外傷によって障害されると、主にその障害部位から下のレベルの筋運動や感覚が機能しなくなってしまうという、大変気の毒な病気です。

 

 

この病気は、以前にもプロレスラーのハヤブサさんなど、有名人に何人か患った方がおられますので、知っている人も多いことと思います。

 

 

・・・で、これに対して、清明院の鍼灸はどうか、というお話。

 

 

僕は20代の前半から、今日に至るまで、ずーっと往診(在宅医療)をやらせていただいておりますので、脊髄損傷の患者さんを診させていただく機会は、これまでにも多々ありました。

 

 

仕事が出来ない、あるいは出来ても大変なハンデの中でおやりになっている方がほとんどですので、自費で継続して治療するのは大変なことですし、

 

外来では正直、あまり診る機会は少ないのですが、これまで、往診の患者さんも入れると、10人以上診ています。

 

 

今現在は、外来でも数名、診させていただいています。

 

 

もちろん普段通り、北辰会方式の弁証論治で対応します。

 

 

臨機応変な少数鍼治療と、養生指導が、僕に出来るすべてです。

 

 

これによって、主に飲食、二便、睡眠の状況を変えていき、リハビリでのストレスの緩和や、QOLの向上に繋げていきます。

 

 

脊髄損傷の患者さんに対する対応として、西洋医学的、リハビリテーション医学的に考えることと言えば、

 

「障害機能の回復」

 

「残存機能の維持・増進・改善」

 

です。

 

 

また現在ではiPS細胞を使った「再生医療」がこれにどこまで出来るのか、ということに期待が高まっています。

 

 

これに対して、我々東洋医学ではあくまでも

 

「一人一人の患者さんに合わせた、陰陽バランスの調整」

 

です。

 

 

・・・まあ、それが結果的に、残存機能の維持増進改善や、障害機能の回復に繋がれば良い、繋がるかどうか、どこまでいけるか、という話であるわけです。

 

 

脊髄損傷の患者さんが日々感じておられるストレスは、我々健常者の想像を絶するものだろうと思います。

 

 

生来の麻痺でなければ、健常であった時(動かせていた時)の記憶があるからこそ、尚更でしょう。

 

 

治療後に起こる変化に関して、こちらが過度な期待をし過ぎるとか、あるいは患者さんに期待させ過ぎるのはちょっと違うと思うし、何人か実際にやってみれば分かると思いますが、

 

患者さんも、術者の側も、実際は非常に根気のいる治療です。

 

 

それでも、密にコミュニケーションをとりながら、コツコツとあきらめずに治療していくと、麻痺までは回復しなくても、色々なポジティブな変化が出ることがあります。

 

 

発汗、排尿、排便、睡眠の状況の良性変化、また、上肢が動く患者さんでは車いすを使うので、肩こりや頭痛、逆上せ感などの不快な不定愁訴の改善

 

何より日々の生活で感じるマイナスな気分の良性変化などなど、鍼灸治療の産物、副産物は枚挙にいとまがないです。

 

 

これは僕自身がこれまでに何度も経験しているところです。

 

 

 

本来は、脊髄損傷専門のリハビリ病院でも、積極的に東洋医学的な鍼灸漢方でのアプローチを採り入れるべきだと思っています。

 

 

 

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声音嘶唖(嗄声・失声)について ③

2019.02.10

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これまでのお話し

 

参照

 

 

◆今回の治療と反省

 

 

今回、見事に立春とともに起こった、一連の症状でした。

 

 

まず時節柄、内傷としての肝胆の異常は頭に置くべきでしょう。

 

(決めつけてはイカんけどね)

 

 

土曜の食事会での緊張からの緩和、東方医学会での緊張からの緩和、この、「緊張からの緩和」「緩和」の際に症状が重くなるようなものは、

 

北辰会では、多くは肝気実型の病変と考えます。

 

 

今回は、最初の段階で、それにさらに外邪が絡んでいるものと考えた。

 

 

日曜の夜の、発熱時の段階での治療が、あまりにもシャープに決まったため、調子に乗って気を抜いたのがミスでした。

 

 

いくら軽くても、風邪気味であった場合、完全に治ってからも1週間、最低でも3日は、重々気を付けて過ごすべきでしたね。

 

 

その意味で、水曜日の午後、いやむしろ朝、咽喉がおかしい、声が出にくいと感じた時に、即座に病理を分析して手を打つべきでした。

 

 

それを放っておいて、講義で喋り、飲み会で喋り・・・、という流れをもって、迂闊にも「嗄声」という病を完成させてしまいました。(苦笑)

 

 

こうなると、邪熱の発生源を「肝の鬱熱」「中焦の湿熱」と考えて、せっせと治療したものの、「排便や排尿、発汗」というイベントを待って、

 

一定の期間を経過しないと、もはや即座には声は戻りません。。。orz

 

 

・・・いやー、いい勉強になりました。

 

 

しかし立春(というか時節の問題)、やはり恐るべし。。。

 

 

来年は健やかに立春を迎えたいなあ・・・。

 

 

 

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暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 5

2018.02.25

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前回のお話

 

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 2

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 3

暈厥(一過性の意識障害)と東洋医学 4   参照

 

 

◆血虚に配慮した、痰濁上擾の鍼灸治療

 

 

前回までで、ザックリではありますが、先日の研修会で先輩が倒れたメカニズムに関して、簡単に仮説を立てました。

 

 

でもまあ、まさにこれが、僕らが頭の中で普段行っていることです。

 

 

痰濁上擾が中心で、背後に血虚もアリ、と考えた場合、どんな鍼灸治療が考えられるでしょうか。

 

 

実際に、今まさに意識不明(人事不省)になっている最中は、まずは意識をつけないといけないので、”気付けの鍼”といわれるやり方がいくつかあります。

 

(専門的には”開竅法”と言ったりします。)

 

 

映画『レッドクリフ』で、気絶した人に対して、鼻の下にある「人中」という経穴をグッと押して意識をつけるやり方が出てきましたが、ああいうのも一つの方法です。

 

 

また、韓国ドラマ『太陽人 イジェマ』なんかでは、麝香の粉末を竹筒で鼻に吹き込んでくしゃみを誘発して意識を付ける、なんていうシーンもありましたね。

 

 

ただ今回の場合は、倒れてすぐに、自然と意識が付きましたから、こういう場合は、再発防止の鍼をすることになります。

 

 

基本的には、このケースで言えば痰濁を下す鍼です。

 

(あえて配穴は言いませんが、『経穴解説』『穴位通鑑』参照です。)

 

 

・・・でも、そこであまりにもキツイ瀉法を加えると、陰血を傷ってしまって、血虚を悪化させてしまう可能性がありますので、陰経の経穴などは極力避けた方がいいとか、

 

血そのものや、血の生成に関与する臓腑と関わる経穴は避けた方がいいとか、選穴にしても補瀉手技にしても、そういった配慮が必要になります。

 

「血」って何ですか?(その10)

補瀉 目次             参照

 

 

・・・で、治療後の排便、排尿、発汗、食欲等の状況に注意を払って、きちんと痰濁が下っているかどうか、血虚が埋まってきているかどうか

 

適宜判断していかなくてはいけません。

 

 

これがうまくいって、その治療を一定期間続けたら、今回と同じような状況にさらされても、暈厥を起こさない体にしていくことが出来るでしょう。

 

 

・・・まあ、これが鍼灸、東洋医学としてのやり方なんですが、実際に目の前で突然バターンと人が倒れた時に、急場で、すぐに意識が戻るものなのか、

 

このまま何年も昏睡状態になってしまうようなものなのか、あるいはそのまま帰らぬ人になってしまうようなものなのか、適切に判断しなくてはいけませんが、

 

この判断は簡単ではないです。

 

 

北辰会方式では、顔面気色と脈で判断することになっていますが、長くなるし専門的過ぎるので、ここでは詳細は述べません。

 

 

急な意識障害には、他にどんなものがあるのでしょう。

 

 

まずは西洋医学的な分類を見てみましょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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食ってるのに痩せる

2015.07.28

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「太る」ということは、食い過ぎてるということ、と考えるのが普通。

 


だから、痩せようと思ったら、食べる量を減らすこと、と考えるのが、ごく普通。

 


その上、運動量を増やして、消費カロリー数を上げれば、もっと効率的に痩せる筈、と考える。

 

 

一見正しいようだが、これは万人に当てはまるものでもないようだ。

 

先日も、その公式に当てはまらないものがあった。

 


食べまくっているのに、なぜか痩せてきた。

 


これはどういう事か。

 


別に、運動量を増やしたわけでもない。

 

なぜか、よくよく考える。

 

答えが分かった。

 

この場合は、清明院で鍼を始めてからそうなったという。

 

鍼を始めて、消化力、解毒力が上がったのだ。

 

結果的に、少々食い過ぎをしても、痩せやすい身体になった。

 

 

発汗量、排尿量、排便量、また、それらの効率が上がっている訳だ。

 

 

・・・とまあ、このように、清明院は、”中から美容鍼灸”でやっております!(笑)

 

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クーラー病

2014.06.05

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明日から24節気では「芒種(ぼうしゅ)」ですねえ。

芒種とは・・・、

「6月6日頃 芒種とは稲や麦など”穂が出る穀物の種を蒔く”という意味で、この頃は種まきを始め農家の忙しくなる時期で、

ちょうど梅雨に入る頃で、少し蒸し暑くじめじめする時期。」

だそうです。 

 

参考サイト 暦生活

・・・で、今日は東京も大雨。

今日から関東甲信越が梅雨入り。

恐るべし、24節気。

最近気になっているのが、数日前から真夏日が続き、患者さんの職場でも、清明院でも、いよいよ、やだけど観念して、

クーラーを入れました。

クーラーがついてから、体調を崩す人がチラホラ。

いわゆる「クーラー病」ってやつです。

あれを治療するときにうるさいのが、「湿邪」の存在。

「湿邪」を含む記事 参照

クーラーの冷たい風で外から冷やされて、体の中には「湿邪」とか、「湿熱」が発散できずに籠っている場合が多く、

色々な症状に”重だるさ”を伴うのが特徴です。

これは治療しても、”その場で劇的にスッキリ”とはなかなかいかず、治療後、少し時間が経ってから、排便、排尿、発汗等の、

”湿邪が排出された”

というイベントを経て、治っていくケースが多いようです。

患者さんによって出方が違うので、なかなか興味深い。

・・・まあでも、気をつけましょうね、クーラー病。(笑)

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深在の熱邪をおびき出す

2013.11.18

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東洋医学的に診て、重症、難病の場合、「熱邪」というものが、患体の奥深くに沈んでしまっていることがある。

 

地中奥深くにあるマグマのようなイメージか。

生きてれば、熱が発生するのが普通。

飲食物を消化吸収するため、全身に巡る気血を産生するため、一定の熱(陽気)は必要です。

これが体内に籠らないように、発汗(不感蒸泄も含む)、排尿、排便、月経、その他の排出物などの排泄行為が、日々行われているわけです。

・・・で、これらがうまく行われずに、熱が籠ると問題発生。

すぐに改善すればいいけど、この状況が長期にわたると、徐々に内臓にキツイ病変が形成されることがあります。

キホン、熱は発散されてればOK。

発散されないと問題が起こる。

・・・で、治療する場合は、「どこに」「どの程度」籠ったかが問題になる。

籠った熱邪を、すぐにガーンと散らすことが出来れば、苦労はない。

場合によっては、籠った熱邪を根気良く、ちょっとづつちょっとづつ浮かせて、徐々に徐々に散らせていかないとしょうがないことがある。

この場合は、なかなか症状も動かないし、患者さんもこっちもやきもきするけど、そういう病理なんだから仕方ない。

慌てて、下手に手を出すと、症状悪化することもある。

きれいにおびき出して、散らしていかないといけない。

だからおびき出し方が重要なんだけど、これがなかなか難しい。。。

患者によって違い、決め手がない。

同じ患者でも、その時によって違う。

臨機応変性と、集中力が要求される。

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「胆」って何ですか?(その8)

2013.02.10

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これまでのお話・・・

 

「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1) 
「胆」って何ですか?(その2)        
「胆」って何ですか?(その3)

「胆」って何ですか?(その4)
「胆」って何ですか?(その5)
「胆」って何ですか?(その6)
「胆」って何ですか?(その7)

 

 

では、続きいきます!!

 

 

◆「胆汁」ってナニ??(その2)

 

では今日は、東洋医学の言う「精汁(胆汁)」というものがいかなるものなのか、もう少し僕なりに愚考してみたいと思います。

 

確かに、現代の一般的な中医学の教科書なんかによく書いてあるように、胆汁は「肝の臓」の気血(余気)が変化して出来た、黄色くて苦い液体であり、

 

胆から「小腸の腑」に出ていって、脾胃の消化吸収を助けるモノである、という考えは、別に否定はしません。

 

それも確かなことだと思います。

(ちなみに、そもそも”中医学”がなんだか分からない方は過去記事 東洋医学と中医学 参照)

 

また、なぜ胆汁のことを、”精汁”と呼ぶのかについては、「肝の臓」の精気が濃縮された汁、という意味だと思います。

 

また、これが清らかであるのは、「胆の腑」が飲食物を通さない、しかも肝の精気を濃縮して溜めている、極めて清潔な腑だから、とも言えるでしょう。

 

因みに、面白いことに、「肝の臓」の働きが亢進している人は、妙に潔癖症になったりすると、東洋医学では考えたりします。

 

『難経』16難「・・假令得肝脉.其外證.善潔.面青善怒.・・」参照)

 

 


こういった考え方と、もう一点、これは前回チラッと書いた私見なんですが、やはり胆汁は全身の「枢(とぼそ、くるる)」に関わるのだと思います。

 


門扉の蝶つがいの中心軸を滑らかに動かすには、潤滑油が必要ですよね?

 


その潤滑油になるのが、「胆の腑」に貯蔵されている「精汁」なんじゃないか、と愚考しています。

 

つまり、「胆の腑」が大事に貯蔵する「精汁(胆汁)」というのは、一つにはそのまま「小腸の腑」にドロリと出てきて、

飲食物の消化吸収を助ける面と、もう一つには霧のように自由に全身を伸び伸びと巡り、全身の「枢」部分に行きわたり、

各所で”開閉”を調整し、発汗、排尿、排便などのスムーズな働きを助けているんじゃないか、と思っています。

 


そう考えると、臨床的につじつまが合うことが多い、と思うからです。

 

ちょっと難しくなるけど、「胆の腑」は、その気が流れる経絡である「足少陽胆経」と、この「胆汁」を介して、全身の「枢」の働きにコミットしている、

大変重要な腑である、と「僕は」考えています。

(違うよ、と思われる方は、是非ご意見聞かせて下さいネ☆)

 

また、このシリーズの(その1)で、『淮南子(えなんじ)』という書物に、面白い言説が載っている、という話をしました。

 

 

長くなりそうなんで、それは次回。

 

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「胆」って何ですか?(その4)

2013.02.03

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これまでのお話・・・

「肝」って何ですか?(その13)
「胆(たん)」って何ですか??(その1) 
「胆」って何ですか?(その2)        
「胆」って何ですか?(その3)

 

では、続きいきます!!

 


◆「胆の腑」と枢(くるる、とぼそ)

 

胆の腑を考える上で、臨床的に大事なのが、この「枢(くるる、とぼそ)」に関わる、という考え方です。

 

どういう考え方かというと、まずこの聞き慣れない”とぼそ、くるる”というのは、ドアを開閉する際に使う”蝶つがい”の真ん中に通す棒のことです。
↓↓

枢(くるる、とぼそ)


↑↑外からは見えないけど、コレの真ん中の、回転する部分に差し込んである棒のことネ。

 

(清明院の初診室の扉です☆ よく動きまっせ―!!)

 

これは要は扉の「回転軸」のことです。

 

門扉は、開くにも閉じるにも、回転軸がないと上手く出来ません。

 


人間の機能にも、扉を開閉するがごとき機能が、いくつもありますよね?

 

汗をかく時に、皮膚表面にある汗が出る穴(汗腺)が開閉しますし、排尿する時は膀胱~尿道が開閉しますし、排便する時は肛門の開閉、

 

飲食物の飲み込みから消化の、咽喉、食道、胃腸の開閉なんかがそうです。

 

これらの扉がもし開きっぱなし、閉まりっぱなしだったら、色々な障害が生じるということは、簡単に想像が出来るでしょう。

 

 

そういう病気もたくさんありますね。

 

東洋医学では、その全身各所の開閉の調整をし、開閉の「スムーズさ」に大きく関わるのが、回転軸をつかさどる「胆の腑」だというのです。

(もちろん、発汗、排尿、排便は他の臓腑も複雑に関連しあって、成り立っていますがネ。)

 

ですから胆が異常を起こすと、開閉がうまくいかなくなる症状が出ることがあります。

 


コレは実は、大変な問題に繋がることがあります。

 


アトピー性皮膚炎、糖尿病、ガンなどの重大な病は、ここがおかしくなっていることが少なくありません。

 

・・・ところでなぜ、開閉をつかさどるのが胆の腑なのか、実はこれには深い意味があると思います。

 

まあ、古典にそう書いてあるから、と言ってしまえば簡単ですが、それだけではイマイチ納得できません。(苦笑)

 

・・・で、色々と妄想するワケですが(笑)、一つには、胆の腑というのは、それ以外の五腑と比較して、非常に特殊な腑でして、

独特の特徴を持っていることと関係しているんじゃないかと思っています。

 

 


その話は次回。

 

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「疲労」によって籠った熱

2011.09.28

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半年ほど診ているアトピーの患者さん。

皮膚の方は、パッと見、まったくアトピーとは分からないぐらいに改善しています。

随伴症状としてあった、喘息の方も、薬を飲まなくてもいられるほどに改善。

今では、2週間に1回くらいのペースで、健康管理目的で来院されております。

そんな訳で、バリバリと仕事しておられるのはいいのですが、ここ最近、ちょっと気になる所見が・・・。

仕事で、睡眠時間や趣味の時間を削って働いて、へとへとになって来るわけですが、いつも、お腹の「とあるところ」に熱が籠っております。

ここに直接鍼をしますと、脈や舌の状態、本人の疲労感そのものなどが、非常によくなります。

人間には、主に発汗、排便、排尿という、強力な「余分な熱排出機構」が整っております。

それらの細かい仕組みは、これまでに五臓六腑シリーズに書いてきた通りです。

興味のある方は、右のカテゴリ一覧から、ぜひお読みください。(笑)

ハードな仕事で肉体的、精神的に「疲労」した結果、体内の「余分な熱」を排出する機構が徐々に徐々に機能不全に陥り、

結局は気の動きの「弱い部分」や「停滞している部分」に余分な熱が鬱積してくるのです。

これ、マメに取っとかないと、コワいんです。

東洋医学では、癌などの非常に頑固な病気を、このメカニズムで考えます。

何年、何十年もかけて鬱積した余分な熱が、他の「余分なもの(血とか水とか)」と結びついて、非常に頑固な塊になったモノ、

それがおおよそ西洋医学の言う「癌」というものだ、という考え方があります。

(もちろんこれが全てではありませんが。)

この患者さんは、そのことをよく分かって下さっていて、定期的に「疲労によって籠った熱」を取りに来ております。

上記の話は、東洋医学的な考え方で、毎回毎回患者さんの生活状況を聞いて、お腹を診ているから分かることだし、患者さん自身も実感できることなのです。

病院の診療体制への批判としてよく言われるように、電子カルテのPC画面ばかり見て、患者さんの顔すら見ない、検査数値ばかり気にして、

 

実際の患者さんの訴えには耳を貸さない、こういう医療の現実がまだまだまかり通っている日本の世の中で、こういう診方、考え方には非常に

 

「重い価値を置くべき」だと”僕は”思っています。

 

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「三焦」って何ですか?(その3)

2011.07.11

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これまでのお話・・・

「心包」って何ですか?(その6)
「三焦」って何ですか?
「三焦」って何ですか?(その2)

 

さあどんどんいきます!!

 

☆「三焦」は”気血水”、特に”気と水”が移動するスペースである

三焦(類経図翼)

(中国明代、張景岳『類経図翼』より)

 


図にすると、こんなことになっております。


図で見たら、まさに「三焦」=「全身」であります。


またこの図は、「三焦」が皮膚と臓腑をつないでいること、形のはっきりしない膜状の組織だ、ということも表現しようとしている図、と考えて下さい。

 


この図から、三焦は「気・血・水」の流れるスペースそのものである、と考えることが出来ます。

 


・・・しかし、”三焦は全身です。”と頭ごなしに言われましても、具体的に何をしてるのか、もうちょっと細かく分からないと、イマイチ手の出しようがありません。

 

この図の中で興味深いのは、「中焦」の部分に何やら最も多くの文字がツラツラ書いてあり、上焦、中焦、下焦の中では、特に「中焦」との関わりが重要っぽい、ということが分かるのが一つ、

 

また、背中側の意味深い位置に「腎の臓」だけが記載されていて、「三焦」と「腎」の関わりが強調されているということが、興味を引きます。


 


これらのことは、「三焦の腑」とは全身である、と言いつつも、特に「脾胃」、それから「腎」と深く関わる事を暗示しています。

 

・・・以前説明したように、「脾胃」の働きといえば、消化吸収の要として、飲食物から”気と血のもと”を取り出し、全身を栄養することがメインテーマでした。

カテゴリ 「脾・胃」 参照

 

そして、「腎の臓」の働きと言ったら、「尿」を中心として、発汗、排便といった、人体の「余分な水分排出機構」に大きく関わりつつ、

親からもらった先天的な生命力を秘めた「生殖」「成長」に関わる重要な臓だ、というお話もさせていただきました。

カテゴリ 「腎・膀胱」 参照

 

そして「三焦の腑」はこの「脾胃」「腎」と大きく関わりながら、皮膚における汗腺と臓腑をつなぎ、「気、血、水」、とりわけ「気と水の通り道」として、

発汗、排便、排尿がスムーズに行われるための”大前提(インフラ)”となっているのです。

 

 

上下水道がなかったら、トイレも台所もないですからね。

 

・・・私の知り合いの信頼できる漢方薬の先生に言わせると、この「三焦の腑」のことを「三焦空間」と呼び、このスペースをしっかりと広げ、

スムーズに流通させてやることによって、体内の余分な水分や滞った気血を「より」速やかに除去できる、という考え方もあるそうで、

これは我々鍼灸師にとっても、大変参考になる考え方だと思います。

 

・・・長くなっちゃったんで、次回に続く。

 

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