東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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タバコと東洋医学(その7)

2012.09.06

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これまでのお話・・・

タバコと東洋医学
タバコと東洋医学(その2)

タバコと東洋医学(その3)
タバコと東洋医学(その4)
タバコと東洋医学(その5)
タバコと東洋医学(その6)

 


では、続きいきます!!

 


前回、禁煙した時に僕自身の身に起こった、様々な症状について書きました。


・・・で、なぜ、それらの症状が起こったのか、というお話です。

1.イライラ感

これについては、「肝の臓」のところでよく出てきましたが、伸び伸びとした自由な状態を好む「肝の臓」が、タバコという嗜好品を奪われたことにより、

欲求不満がたまって、機能失調を起こしたことが、一番大きいと思います。

肝の臓が機能失調を起こすと「易怒(いど)」といって、些細なことで怒りっぽくなったり、イライラしたりするようになります。

「肝」って何ですか?(その13) 参照


2.のぼせ感、頭に汗が出る、鼻血

コレは、タバコによって、深い呼吸をすることで、無理やり下げていた気が、下げられなくなったことによって、上半身に気が鬱滞して、

熱をこもらせ、これらの症状が出たものだと思います。

3.口内炎の多発

これも、2.と同じように、上半身(上焦)に気が鬱滞し、熱がこもった結果であろうと思います。


現代医学的には、唾液に含まれる抗菌物質の濃度が、喫煙者は煙の毒で刺激されるせいか、非喫煙者よりも高いようで、

このせいで口内炎が出来にくいという説もあるようです。

この論から言えば、煙を肺まで入れないのであれば、タバコはむしろ健康にいい、とも取れますが、この論には異論もあるようです。


4.痰が絡む

タバコをやめて、余計に痰が絡むなんて、信じられないようですが、ホントの話です。

実際に経験した人が言うんだから間違いない。苦笑

コレはタバコと東洋医学(その2)で述べた内容そのものです。


5.体重の増加

これについては、スススーッと、これまでにないペースで一気に増えてきたので、このまま80㎏、90㎏の、

メタボ中年のだらしない体になっていくんではないかと、正直焦りました。

人からは、タバコを吸えないストレスから、暴飲暴食になっているんじゃない?とか、よく言われましたが、僕はかつては、これを暴飲暴食と言わなかったら、

 

何を暴飲暴食というのか、という食生活でしたから、食生活自体は、以前よりも全然マシになっていると思います。

・・・にも関わらず、なぜ太るのか。

コレは、上記のように「肝の臓」の機能失調や、「痰」という邪気が助長されたことで、結果的に消化吸収機能が煙草をやめる前よりも、

 

うまく働かなくなった結果だと思います。


ですので、鍼灸と養生で、「肝の臓」を調整しつつ、「痰」「のぼせ」を根気よく除去していくことで、徐々に徐々に普通の状態に戻ってきた、という印象です。

(これ正直、2年近くかかりました・・・。)


・・・まあこのように、長く続けてきたことを急にやめたら、色んなことが起こるというのは、タバコに限らず、よくある話です。


よく、痛み止めやステロイドで、何年も症状をごまかし続けていた患者さんが、一念発起して、急に廃薬しようとすると、一気に色んな症状が噴出することがありますが、

 

それと似たような現象なのかもしれません。


でも、その辛いリバウンドを乗り越えることが出来れば、次に進めるワケですから、やってみた方がいいとは思います。

タバコと東洋医学、ひとまず終わり。

これについてはまだ色々あるので、また気が向いたら、書き足すかもしれません♪

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タバコと東洋医学(その5)

2012.08.26

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これまでのお話・・・

タバコと東洋医学
タバコと東洋医学(その2)
タバコと東洋医学(その3)
タバコと東洋医学(その4)

 


では、続きいきます!!

今日は、東洋医学の考える”ため息”について触れます。

清明院が使用している、「北辰会専用カルテ」の予診票の項目には、

「ため息がよく出る」

〇か☓か△か、という問診項目があるぐらい、”ため息がよく出るかどうか”については、東洋医学的には注目します。

よく、クラ~イ顔して、

「ハァ~・・・。。」

ってやってる人、見かけますよね。(苦笑)

このため息のことを、東洋医学では「太息(たいそく)」といい、その意味づけは、ざっくり言うと胸の周辺部分の「気の停滞の除去」です。

肝の臓、胆の腑、心の臓、肺の臓の働きが主に関わります。

主にこれらの臓腑の働きが、何らかの原因によって失調しているときに、生理的にそれを是正しようとするため、

”ため息”が出やすい、ということになろうかと思います。

(太息については、『黄帝内経』『素問 五常政大論(70)』『素問 至真要大論(74)』『素問 平人気象論(18)』『霊枢 口問篇(28)』『霊枢 邪気蔵府病形篇(4)』

あたりに記載があり、特に『霊枢 口問篇(28)』の記載が非常に参考になります。)



患者さんが呈する、あらゆる症状というのは、何気ないものでも、その一つ一つが、その人の中身(五臓六腑の状態)を反映してくれる鏡なのです。

「表を以て裏を知る」 参照

ここまでをまとめると、「タバコを吸う」ということは、

1.胸部に絡んだ痰の邪気を乾かしつつ、

2.深い呼吸により、上った気を下げ、

3.自分好みの香りで気を巡らせ、脾の臓の働きを鼓舞し、

4.「ため息」によっても胸部の気を巡らせ、胸部周辺の緊張を緩め、様々な臓腑の失調をフォローしようとする

行為である、ということなのです。


逆に言えば、

 

「そうする必要があるような体の状態である」

 

ということです。

 

これはもちろん、喫煙習慣を肯定しているわけではなく、この対処法は、非常に不健康な対処法だ、という指摘です。

だから、東洋医学的には、「タバコを吸う習慣がある」という時点で、様々な臓腑の機能失調や、胸部を中心に、痰の邪気を持っている可能性が高い、と考えます。


また、タバコの葉に含まれるニコチンの毒性を考えると、上記のような”いい側面”というのはあくまでも一時的、対症的なものに過ぎず、

東洋医学的には徐々に胸部を中心に「熱毒」を籠もらせる結果になるので、ほどほどにしないといけないし、出来れば吸わない方がいい、

 

ということになります。

(今の時代、他人様に迷惑をかける可能性も高いし。。。)

ただ、あまり患者さんを脅かして、無理やり、急に止めさせたりすると、上記のような、

”タバコを吸うことによって抑え込んでいた異常”

が一気に表面化して、様々な症状を呈することがあります。


僕のように。(^^;)

 

次回こそいよいよ、その話が出来そうですな。(笑)

 

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タバコと東洋医学(その4)

2012.08.25

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これまでのお話・・・

タバコと東洋医学
タバコと東洋医学(その2)
タバコと東洋医学(その3)

 


では、続きいきます!!

 

前回、タバコの持つ「いい側面」として、あの独特の香り以外にも、深呼吸、ため息によるリラックス効果を挙げました。

「・・・てか、別にそれなら普通に深呼吸すりゃいいじゃん。。。」

と思う人が大勢を占めるでしょうが(苦笑)、そこはさておき、そういう効果、側面もあるよ、というお話でした。(爆)


喫煙することにより、自分の好きな香りでもって理気化湿醒脾しつつ、普段よりも深く吸い込み、普段よりも多く吐く、つまり胸膈や横隔膜を大きく動かす、

 

このことに意味があるのだと思います。


現代は「ストレス社会」と言われます。


患者さんを見ていると、ほぼ全員、なんと呼吸の浅いことか。


緊張すると、上半身全体が堅くなり、呼吸が浅くなります。

全身が緊張しますが、呼吸に関係する、上半身の筋肉が、特に柔軟性を失うわけです。

呼吸が浅くなって、胸式呼吸になると、精神的にもどんどん冷静さを失って、安定的な冷静な思考がしにくくなりますし、

身体的にも、上下の気血のバランスが崩れ、頭や首肩の異常、腰から下の異常の原因になります。

また、たくさん吐き、たくさん吸うことは、横隔膜という筋肉をストレッチする効果があります。

あそこがストレッチされると、胸部も上腹部も、非常に血行がよくなることは、よく知られています。

たいがいの喫煙者は、仕事等々で、神経を使って、緊張し、頭に気血が上ったのを、タバコで「無理やり」深呼吸と、

リラックス効果によって緩め、「無理やり」引き下げるのです。

不健康な方法だけど、仕方ないからそうしてる、という感じではないでしょうか。

以前、「三焦」「道教」、「気功」について書いた時、「丹田(たんでん)」という言葉が出てきました。

「丹田」を含む記事 参照

ここは、東洋医学が非常に重視する場所です。

深呼吸すると、丹田、特に下丹田に気を集めやすくなります。

ここに気が集まると、精神は安定し、上下左右前後の気の偏在のバランスのとれた、心身ともに「いい状態」になります。

ここに気を集めるように意識した呼吸を「丹田呼吸」なんて呼んで、東洋医学、特に気功の分野では、非常に勧めております。

僕自身も臨床で、呼吸の浅さが顕著な患者さんには、よく勧めております。

あと、「ため息」についてですが、このため息のことを東洋医学では「太息(たいそく)」といいます。

これは次回。


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