東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「上熱下寒」という状態

2014.05.14

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今日も東洋鍼灸専門学校にて、「冷えとのぼせ」について講義してきました!!

頭がのぼせて、足が冷えた状態を東洋医学では「上熱下寒」と呼んで問題視したりします。

このことは、このブログでも何度か出てきています。

「上熱下寒」を含む記事 参照

白隠禅師のところに出てきてるのが興味深いですね。

頭に妙な煩悩が上ると、「上熱下寒」になるのかもしれませんな。。。(笑)

・・・いずれにせよ、上下も陰陽。

人間という小宇宙における天地です。

これを、左右や、前後を整えることによって戻す、ということもあり得ます。

この辺が面白いとこ。

カチカチ頭には難しい、東洋医学の醍醐味ですね。

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(一社)北辰会、第5回古典ライブを視聴しました!!

2021.09.17

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9.15(水)の夜は、(一社)北辰会会員限定企画である古典ライブ講義を視聴してきました!!

 

 

水曜日は毎週、東洋鍼灸専門学校での講義なので、21:10まで講義なんですが、学校を出て、21:15くらいからスマホで講義を聴きながら、

 

チャリこいで家に帰り、家で片付けと明日の準備をしながら、講義を聴けるという素晴らしさ。

 

 

もう、オンライン講義なしでは生きていけない。。。笑

 

 

しかも、分かりにくかったところを翌日にOD配信で確認できるというお得さ。。。

 

 

北辰会会員に限らず、対面実技指導が受けられないコロナ禍のうちに、しっかりと学術のレベル、特に「学」のレベルは、最高まで高めましょう。

 

 

臨床家にとって、学と術は両輪の輪です。

 

 

今回の第5回古典ライブのテーマも

 

「古典に学ぶ病因病機 ~万病回春病因指南を題材として~」

 

であり、今回は

 

「内傷(脾胃)」

 

にフォーカスした内容でした!

 

 

奥村学術部長の圧倒的知識量と、新風代表のサクッとしたまとめ、というコンビネーションで語られるこの講義ですが、回を重ねるごとに分かり易さが増している感じがあります。

 

 

今回は、今の晩夏~初秋の時期にタイムリーな「内傷」で、主に金元の4大医家の一人である李東垣(1180-1251)の説を引きながら、

 

内傷のほとんどは中気(中焦の気≒脾胃の働き)が関係している、従って脾胃に着眼した治療は重要、という内容でした。

 

(なかなかの極論ではありますが。。。)

 

 

食欲の秋であり、また、夏の間にした暴飲暴食の影響が悪い面で出てきやすい時期でもありますので、このことについて知っておく、意識するのはとても重要です。

 

 

今回は、なぜか僕だけ(苦笑)画面がフリーズしましたが、どうにかリカバリーできました。(^^;

 

 

まあこういう不具合とか操作上の問題なんかも、今後の5Gの時代ではどんどん改善されてくるのでしょう。

 

 

こうやって何回もやっていくうちに、講師の方も、視聴者の方も、オンライン講義に慣れて、コロナもまだまだ長引きますから、今後は座学はこれが間違いなく主流になることと思います。

 

 

こんな便利なことに慣れたら、もはや以前に戻れるわけないですな。(*‘∀‘)

 

 

今回、印象的だったのは、「補中益気湯の中に柴胡と升麻が入っていることの重要性」というお話。

 

 

金元の4大医家の中でも、特に脾胃の働きを重視し、”補土派”と言われる李東垣(1180-1251)が創方した薬として有名で、現代の臨床でも非常によく使われる「補中益気湯」という薬(補気剤)があります。

 

 

これの中身(構成生薬)は、各古典によって多少の違いはありましょうが、基本的には

 

人参・白朮・黄耆・当帰・柴胡・陳皮・炙甘草・升麻(by『中医臨床のための方剤学』)

 

なのですが、この薬の中に入っている柴胡と升麻は、表証の薬(辛凉解表薬)でありながら、補気剤に配合すると升陽作用を発揮します。

 

 

これを鍼で表現しようとすれば、脾胃を補う配穴に、臨泣などの木気を巡らせる配穴を足すと、補中益気湯のそういう側面が表現できたりします。

 

 

臨床上、上實下虚や上熱下寒、いわゆる冷えのぼせや、人体の上下のアンバランスが起こった状態の患者さんに接する機会は多いですが、

 

意外と中焦脾胃に注目して「補気昇提」という考え方で治療するとうまくいくケースがあります。

 

 

何でも清熱や降気を考えりゃいいってもんじゃない。

 

 

中焦を補気し、清陽を押し上げることで、かえって邪気が降りる、足が温もる。

 

 

ここもなかなか、東洋医学の臨床家の腕の見せ所でしょう。

 

 

改めて、よくよく考えておくべきだと思いましたね。

 

 

また、以前から奥村先生が深く研究されている腹診論に関して、先天易と後天易と境界と、木土の五行の相生相剋の話、また、味岡三伯門下で岡本一抱(1655-1716)の同期で、

 

弟子の中の四傑といわれる浅井周伯(1643-1705)の子孫が記したと言われる「五蔵決用圖」の話など、今回もなかなか含蓄のあるお話を頂きました。

 

 

まあ簡単にいうと、江戸期の医家は腹部に宇宙を見て、治療をやっていた、ということですね。

 

 

これを壮大で、スケールが違う!美しい!!と取るか、Primitiveととるか、非科学的でとるに足らない、思弁的であり、観念論では病気は治らない、と斬るか。

 

 

・・・とまあこのように、2000円では安すぎる、非常に学びのあるこの講座、会員の先生方限定の講座ですが、これを機に入会の方はぜひ☆

 

 

 

「なんちゃって」じゃない、本気の東洋医学の素晴らしい世界が、待っていますよ☆

 

 

 

 

 

 

 

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日本東方医学会、次のステップを目指す中医学研修講座を視聴しました!!

2021.08.02

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多忙により少し時間が経ってしまいましたが、7.24(土)に配信された日本東方医学会次のステップを目指す中医学研修講座を視聴しました!!

 

 

当日聴けなくても、あとから追っかけ視聴できる素晴らしさ、有り難さ。

 

 

オンライン講義最高!!(*‘∀‘)

 

 

今回のテーマは小林瑞(みずほ)先生「厥陰病を考える」

 

 

私は傷寒論と言えば、古くは蓮風先生のほくと誌上での『傷寒論講義訳考』、最近では水本先生のシリーズ講義で学ばせていただいている訳ですが、

 

色々な講義の中でも、あまり「厥陰病」に光が当たることはなく、今回とても楽しみにしていました。

 

 

小林先生の所属されている藤門会(とうもんかい)という漢方の研究会は、東洋医学の業界では大変有名で、創始者の藤平健先生は、医大生時代(1939年)に、

 

現在も続く千葉大医学部の東医研を創部された先生です。

 

 

藤門会は、現会長の頼建守先生は清明院のすぐ近くでクリニックをやっておられるので、大変お世話になっております。

 

 

小林先生も、清明院から徒歩2分の位置にある、つるかめクリニックに勤務されているようです。

 

(恥ずかしながら存じませんでした。。。)

 

 

今回の講義は、非常に素晴らしかったです。

 

 

まず、小林先生の声がハキハキしており、非常に聞き取りやすい。

 

 

また、「厥陰病」というテーマで資料を調べていくときに、まずは自身の所属している会の見解から始まって、次に日本漢方全体の見解、中医学の見解、

 

さらには江戸期の医家、とりわけみんな大好き内藤希哲(1701-1735)、宇津木昆台(1779-1848)、浅田宗伯(1815-1894)などの幅広い医家の見解を集めておられ、

 

さらにその上で、近現代の発表も踏まえ、さらに自身の症例(経験)を重ねて考える、という、臨床家としてお手本となるような調査研究の進め方だと思いました。

 

 

小柄な女性の先生なのですが、すごいパワーを感じました。

 

 

質疑応答の際の、長瀬先生とのやり取りも仲良さげな感じで微笑ましかったですね。

 

 

日本漢方と中医学は仲が悪い、とか、相容れない、とかいう声を聞くこともあるんですが、それは一部の話で、両先生のやり取りから、お互いに学ぶところがあるということがよく伝わりました。

 

 

まああまり詳しく書くときりがないので、細かくは書きませんが、北辰会では、諸説ある六経弁証の伝変法則に関して、

 

太陽病→陽明病→少陽病→太陰病→厥陰病→少陰病

 

と教えています。

 

 

ここで、陰証における厥陰病→少陰病に関してはいくつかの説明があるのですが、その一つに、

 

「厥陰はまだ少陽に転化できる可能性がある」

 

というのがあり、今回はその話がたくさん出てきたのが非常に印象的で、勉強になりました。

 

 

他にも寒熱錯雑のメカニズムにおいて少陽病と厥陰病の違いや日本漢方の認識と中医学の認識の違いとか、厥陰病における上熱下寒の「上下」の位置についてなど、

 

痒い所に手が届く内容だったと思います。

 

 

 

 

 

 

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外邪っちゃ外邪

2020.01.11

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ドライヤーやファンヒーターから出てくる熱風や、クーラーから出てくる冷風は、外邪たりうるか。

 

 

答えは「たりうる」

 

(と思っています。)

 

 

しかしそれはあくまでも、外邪として感受すれば、の話だ。

 

 

こういった空調機器、冷暖房すべてが人体に害になる訳では無い。

 

 

むしろ益になることが多いから、これだけ普及している訳で。

 

 

今の時期、風呂上りに脱衣所が寒いところで、濡れ髪のままにしていたら、その方が外邪としての寒邪、寒湿邪を受ける。

 

 

ドライヤーでしっかりと乾かすこと、湯冷めしないように気を付けることで、外邪としての侵襲をかなり回避できる。

 

 

この場合は、ドライヤーの熱風は「生理的陽気」を扶助する役割を果たす。

 

 

また、ドライヤーを当てたら悪化した、イコール風熱邪を感受した、と即断するのも違う。

 

 

体表面(経絡経筋、皮毛レベル)の急激な温度変化から、気(主に衛気)の停滞を起こした、というケースもある。

 

 

もともと上熱下寒傾向のある人であれば、ドライヤーを使うと逆上せると仰る人もいる。

 

 

何でも

 

「どういう体質素因の人に」

 

「どういう刺激(条件)が加わり」

 

「結果的に何が起こったのか」

 

をしっかりと聴取し、考えうる可能性を絞り込み、なおかつ現時点での体表情報と合わせて、動かぬ証拠をつかまえた上で、臨機応変に考えるのが、弁証論治の世界。

 

 

杓子定規的にやったら、必ず間違う。

 

 

 

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「温経湯」と「芎帰調血飲」と鍼灸と。

2019.07.06

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ここまでのお話し

 

 

「温経湯」というお薬

「芎帰調血飲」というお薬      参照

 

 

 

◆では、使い分けはどうする??

 

 

あくまでも、私は湯液に関しては専門家ではないので、実際に使ってみての印象は語れませんが、何人かの専門家にも質問させていただいたので、ここに簡単にまとめてみます。

 

 

『中医臨床のための方剤学』では、温経湯芎帰調血飲は、「理血剤」のグループです。

 

 

「理血」とは、”血の病変を治す薬”という意味であり、「活血袪瘀剤」「止血剤」に分けられます。

 

 

「活血袪瘀剤」の代表選手は、有名な桃核承気湯、血府逐瘀湯、桂枝茯苓丸あたりでしょう。

 

 

「止血剤」にはマニアックな処方が多いのですが、『金匱要略』にも出てくる芎帰膠艾湯は有名ですね。

 

(ここにも”芎帰”が!(゜o゜))

 

 

このうちの、「活血祛瘀剤」の中に出てくるのが、温経湯芎帰調血飲であります。

 

 

温経湯は下焦(足厥陰肝経、場合によっては肝の臓まで)を温め、血流を改善し、瘀血を去って新血を作ります。

 

 

芎帰調血飲は、気血の巡りをよくすることに主眼が置かれていますが、出典である『万病回春』にあるように、患者さんの状態に合わせて、約30パターンにもわたって、臨機応変に加減して使う薬です。

 

(そういう汎用性のある処方だからこそ、龔廷賢”産後一切の諸病”とまで言いきっているのでしょう。)

 

 

温経湯では冷え(下焦の寒邪の邪実による気血の停滞)が中心になりますから、例えば月経痛なんかの下腹部痛はさすったくらいでは引かない、きついものです。

 

 

しかも口唇が乾燥したり、手が火照ったりと、上焦には熱も持ちます。

 

 

このような上熱下寒のバランスを調えつつ、血の流れをよくして瘀血を去り、新血を作るのが温経湯

 

 

それに対して、肝気を巡らせて、結果的に血を巡らせるのが芎帰調血飲

 

 

・・・さてこれ、鍼灸ではどうやるか。

 

 

長くなったので続く。。。

 

 

 

 

 

 

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ファッションと病治し

2013.03.24

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清明院では、患者さんの「衣・食・住」に注目します。

先日みえた、若い女性患者さん。

上半身にのぼせがきつい。

そして、膝から下がかなり冷えている。

分かりやすい「上熱下寒(じょうねつげかん)」てやつです。

花粉症、肩こりがある。

春先というのは、ただでさえのぼせ易い時期。

のぼせを下げ、足が温まるように治療。

しかし、ショートパンツにストッキングのみ、といういで立ち。

そりゃあ確かに、気候が温かくなってきたから、細長い、美しい脚を出したいかもしれないが、それはちょっと待ってくれ、治ってからにしてくれ、とお願いした。(苦笑)

なんか、若い子の服装を注意する、乱れた風紀を正す、ジーサンになった気分。(苦笑)

でも仕方ない。

治療のためです。

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「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方(その3)

2011.06.08

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これまでのお話・・・

「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方
「錯雑証(さくざつしょう)」という考え方(その2)

 

・・・ここまでのお話で、病気の中には、

・「性質」が冷えか熱か、

・「趨勢」が虚か実か、

・「位置」が表か裏か、

スッキリと分けられない、ハッキリしないものがある、そういう病気を東洋医学では「錯雑証(さくざつしょう)」などと呼び、非常に注意を払っている、というお話をさせていただきました。

 

 

まあ、あまり難しく考えないでほしいけど、これはつまり、

 

1.表裏、

2.寒熱、

3.虚実

 

の病変が、一つの体に「両方同時に」存在している場合のことをいいます。

 


具体的に言うと、

1.「表裏が同時に存在」というのは、一つには病が、浅い位置と深い位置のちょうど中間ぐらいの、中途半端な深さにあることを言い、これを専門用語では「半表半裏証(はんぴょうはんりしょう)」なんて言ったりします。

(これを初めて聞いた時、なんちゅ~そのまんまなネーミングなんだ!と思いました・・・。(笑))

 

もう一つは、浅い部分である表の部位と、深い部分である裏の部位が同時に病んでいて、甲乙つけがたい状態にある場合も、臨床的にはあります。

 

2.「寒熱が同時に存在」というのは、一つの体に、”冷えによる病”と”余分な熱による病”とが同居している状態を言います。

いつかこのブログにも書いた、頭がカッカのぼせて、足が冷える、「上熱下寒(じょうねつげかん:いわゆる冷えのぼせ)」なんていうのは、コレの典型例です。

「上熱下寒」を含む記事 参照

3.「虚実が同時に存在」というのは、「虚(きょ)・・・つまり治る力の衰え」と、「実(じつ)・・・つまり発病因子の侵襲」が、”同程度”存在するものを言います。

 

この”同程度”の中にも、

 

A.「虚」が主体のもの、

 

B.「実」が主体のもの、

 

C.「虚実」ともに明明白白のもの、

 

と、3パターンあるのですが、この「虚」「実」ともに明明白白なパターンは、陰陽のバランスが大きく崩れているものと考え、中医学ではかなり重症、と位置付けています。

 


これをうまく調整できるのは相当な腕達者、ということです。

 

・・・では、これら錯雑証に出会ってしまった場合の、治療はどうしたらよいのでしょうか。

 

 


次回に続く

 

 

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「腎」って何ですか?(その3)

2010.12.17

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これまでのお話・・・


「腎(じん)」ってなんですか?(その1)

「腎」って何ですか?(その2)

 

さあさあ、どんどんいきましょう!!

 



☆「腎の臓」の形と位置(その2)

「腎」の形と位置については、もう少し書きたいことがありますので、書きます。(笑)

 


・・・前回、「腎」は腰椎(ようつい)の2番に付着している、と東洋医学では説く、というお話をしました。

 


この位置というのは、人体を上、中、下の3つに区切った場合、「下」にあたる部分です。

 


東洋医学ではこのように、人体を上中下の3つに区分する考え方を、よく用います。

 


その、”上”の部分のことを「上焦(じょうしょう)」と呼び、みぞおちよりも上の部分を指し、ここには「心の臓」と「肺の臓」が存在している、と説き、

”中”の部分はみぞおちからおへその高さで、ここを「中焦(ちゅうしょう)」と呼び、ここには「脾の臓」と「胃の腑」、それから「肝の臓」の一部分と、

 

「胆の腑」が存在すると説き、”下”の部分はおへそから下の部分で、ここを「下焦(げしょう)」と呼び、ここには「腎の臓」「肝の臓」、

それから「大腸の腑」「小腸の腑」「膀胱の腑」などが存在する、と説きます。

 


そしてこの「腎の臓」というのは、この”下焦”における中心的な存在、言わば主役、と考えられています。

 


なぜ主役なのかは、また後ほど解説していこうと思います。

 

・・・東洋医学に、理想的な体の状況を示す言葉で「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」という言葉があります。

 


これは、頭は涼やか、足は温かい、という、体の”上下”のバランスがキチッと取れた状態を指す言葉です。

 


病的な状態になると、これが逆転してしまいます。

 


これを、

「上熱下寒(じょうねつげかん)」

あるいは

「上実下虚(じょうじつかきょ)」

と呼びます。

 


そして、”下焦”の主役である「腎の臓」が何らかの原因で弱った時、こういう状態になりやすい、という考え方があります。

(もちろんそれが全てではありませんが。)

 


よく話題になる、更年期障害の代表的な症状に、”ホットフラッシュ(急激な顔面のほてり感、胸から上での発汗、動悸etc..)”というものがありますが、

コレなんかはまさに東洋医学の言う、「上熱下寒」の状態になっていることが多く、その根本原因に、「腎の臓の弱り」が見られることが少なくありません。

 

 


そして「腎の臓」の働きを助け、機能が最大限発揮できるように治療していくと、症状が改善することが多いです。

 


・・・また、話がそれましたネ。(笑)

 

続きは次回。

 

 

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「逆子」と鍼灸

2010.04.02

こないだ患者さんから、

「逆子って何で鍼灸で治るんですか?」

という質問を受けました。

「逆子が鍼灸で治る」っていう事実、ウワサは、けっこう一般の患者さんでも知っている方が多いように思います。

足の「至陰(しいん)」というツボにお灸を据えると治る!なんていう話が有名ですね。

(もちろんそれ以外にもやり方は無数にありますが・・・。)


最近では、「不妊症専門」「婦人科疾患専門」、「女性・小児専門」、と看板を出している鍼灸院も少なくありません。


僕の知り合いの先生にも何人かおられます。

そういう先生方や、これまで逆子や婦人科疾患に鍼灸で対応してきた先輩たちのご努力が、近頃ようやっと実を結んできた、というところではないでしょうか。


これは、大変喜ばしいことだと思っています。


逆子のメカニズムについては、僕は患者さんに説明する時はいつも、

「赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる時は、お母さんの真似をしたがるんですよ~。だからお母さんの上下のバランスが逆になっていると、赤ちゃんも真似して上下逆になっちゃうんです~。(笑)」

な~んて、荒唐無稽、意味不明な説明をさせていただくことが多いです。(笑)

でも、コレは完全にふざけてる訳でもなくて、実は意外と本当のことを言っていて、お母さんが精神的にイライラしてたり、肉体的に疲れてたりすると、

いわゆる「冷えのぼせ」「上實下虚」「上熱下寒」という状態になることが多く、これを東洋医学では非常に問題視します。

・・・これは要するに、「足が冷えて、頭に血が上った」状態です。

この状態は正常、健常な状態とは上下が逆になっちゃってます。


それに対して、東洋医学では正常な(というか理想的な)人体の状態を「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」と表現します。


これはつまり、足が温かくて頭が涼やか、という状態のことを言っています。


最近は、出産ギリギリまで仕事をなさる女性も多く、体は「身重(みおも)」と言われるぐらい重くなっているにもかかわらず、神経を使う、

 

色んなことを、ド根性で頑張ってらっしゃる妊婦さんも少なくありません。


結局、そういう無理、余分な緊張がお母さんの体に「上熱下寒=上下のアンバランス」という状況を作り出します。


その結果、ある意味赤ちゃんはその真似をして、「逆子」になってしまう訳です。(苦笑)

 


・・・ということは、色んな方法でお母さんの体の「上下のバランス」を整えてあげれば、逆子が治るのではないか!?という訳です。

 


僕の知り合いの整体(手技療法)の先生も、骨盤の歪みをとることで何人となく逆子を治したことがある、と言っておりました。


コレも結局、「骨盤」という「下」の状況を改善したことによって、結果、母体の上下のバランスがとれて、逆子が治った、とも理解出来ます。

(・・・まあもちろん、彼ら(手技療法家)には彼らなりの理論もありますけど。)

要は、お母さんの体の状態が正常な状態に改善し、赤ちゃんにとって居心地のいい環境になれば、自然と正常な位置に戻ってくる、という訳です。


ただ、臍帯(へその緒)が極端に短くて、赤ちゃんが動けない、とか、あるいは逆に長過ぎて赤ちゃんの首や体に巻きついてしまっている場合は、

 

残念ながら帝王切開せざるを得ないケースもあります。

妊娠中に産科で「逆子」の診断を受けて、上記のような特殊なケースでないことが分かれば、慌てず騒がず鍼灸院に直行、でいいと思います。(笑)

普通に東洋医学を勉強しておられる先生であれば、必ず治して下さる筈です。

 

 

ただしかし、何でもかんでも考えなしに「至陰のお灸」という先生は怪しいですぞ!!

 

 

全く東洋医学的な診たてに基づいていない可能性があります。

 

こんな風に、徐々に徐々に東洋医学の守備範囲が広い、という認識が広がることは、とてもイイことですね。

 

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