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これまでのお話
東洋医学は宗教か。 5 参照
さて、どんどんいきましょう。
◆やれ宗教だの非科学だのと言うが・・・。
まあ、鍼灸や東洋医学に対して批判的な人というのは、大概僕らのことを
「あんなもん宗教だー 非科学だー オカルトだー」
と、侮蔑気味にのたまいます。
(悲しいことですが、実はかつては僕自身がそうでした。)
しかし、そういう人に対して、
「ではあなたの宗教観、科学観に関する基本的な認識を述べて下さい。」
と問うと、ロクな答えが返って来ないことがほとんどでしょう。
(これも、僕自身がそうでした。(笑))
要は、何か怪しい、何となく信じたくない、という”何となし”の感情を、それらしい言葉で表現しているに過ぎない場合がほとんどなんだと思います。
単に人様のことを上から論評したい、よく分からないものをくさしたい、という心理なのか。
だから、本来はとるに足らないのだけれども、意外と多く、しかも鍼灸師の中にも、そういうこと言う人が居たりするので、
「それは良くないよね」と思うところもあり、今回、こんなんを書いてます。(苦笑)
自分だけの価値観でもって、違う価値観の人様をなじるなんてのは、一生懸命、真面目に仕事をしている人に対して、失礼ではないでしょうか。
〇
僕個人は、多くの現代日本人と同様に、何か特定の宗教を信仰しているということはないので、特定の宗教を信仰しておられる方からみたら、
宗教の問題に関しては正直「門外漢」ですので、あまり詳しく、実体験を踏まえて語ることは出来ませんが、最初に書いたように、
僕は本来の宗教というものについては、
「人間を幸せに向かってあまねく教え導くもの、思想、信条。」
であると、ごくごく一般的な理解で認識していますので、それがいかなるものであっても、別に他人に迷惑さえかけなければ、
その人が何を信仰していようとも全然OK、と思っています。
むしろ、信仰によってその人の心が安定するんなら、しといた方がいいんじゃないの?と思っています。
僕の友人、先輩、後輩には、色々な宗教を信仰している人が実際にいますし、宗派や教義が違っても、別にみんな仲良しです。(笑)
普通に平和に一生懸命、仕事して、みんな生きています。
僕も無宗教でありながら、たまにその人の信仰している宗教の考え方を教わったりして、健全に議論したりしています。
まあこういう感じで、東洋医学と西洋医学も、それ以外の考え方も、いい感じで仲良くやれていて、患者さん自身が自由に平等な制度の中で、
治療の方法を選択できるような社会システムになっていれば、別に問題は起こらないのだろうと思いますが、同じ医学医療でありながら、
国民皆保険制度の中で、かなり制度的に不公平になっているのも、一つにはよくないと思いますね。
(東洋医学が受けたくても、普通に保険が使えない、という時点で、国民からしたら相当ハードルが上がりますからね。)
〇
宗教の中には、たまに「邪教」あるいは「悪い信者」とでもいおうか、人様に迷惑をかけるものが時折現れます。
(強引で威圧的、高圧的な勧誘で怖がらせる、信者から不条理なお金を巻き上げる、断定的な負の物言いで、人の心を傷つける、いたずらに不安がらせる、などなど。。)
また、国家レベルでみたら、宗教的な思想信条の対立から、戦争が起こったりします。
歴史的にみれば、戦争の原因はほとんど宗教的対立です。
(・・・まあ、名目上は、かもしれませんが。)
また、近年でも日本国内で、彼らなりの”世直し”を目的として、大規模なテロ事件を起こした新興宗教がありましたね。
(因みにそこの教祖は、熊本の盲学校で免許を取った鍼灸師だったという。。。(苦笑))
思想信条というのも、あまりラディカルになっていくと、善悪が反転することがありますね。
(これは上記の新興宗教の元幹部が、自身の教団を旧日本軍に例えて述懐しています。)
・・・ともかく、どちらかというと、「神仏習合」なんて言って、有史以来、あらゆる宗教に寛容で鷹揚な日本ですが、明治維新(神仏分離)と敗戦(神道指令など)を経て、
現代ではどちらかというと、バブル期以降の新宗教ブームの顛末(といっても収束不全だと思うけど)から、世間一般ではマイナスイメージの方が強いのかもしれません。
(日本の思想的鷹揚性については過去記事 根本思想と鷹揚(おうよう)性 参照)
だから宗教に関しては、義務教育の中で教わることもほとんどないので、自分自身で冷静に正しく勉強して、歴史的変遷を踏まえて正確に認識した上で、
これから東洋医学を勉強しようと思っている人には、宗教とはまずは切り分けて、安心して勉強を始めてほしいし、これから東洋医学にかかろうと思っている人にも、
要らぬ心配をせずに、変な疑念を持たずに、安心してかかってほしい。
市井の一鍼灸臨床家として、そのように思っています。
次回、私が講師を務めさせていただいている(一社)北辰会が理念に掲げる「患者さんの心と体と魂を救う」ということの、
特に”魂”の意味に少し触れておきましょう。
続く
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