東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「浮く」の意味 まとめ

2015.12.12

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これまでのお話

 

「浮く」の意味

「浮く」の意味 2

「浮く」の意味 3

「浮く」の意味 4

 「浮く」の意味 5

「浮く」の意味 6     参照

 

 

 

では続きいきまーす!!!

 

 

 

 というか最後です。

 

 

 

ここまで、東洋医学の中で重要な「浮」という文字に関して諸文献からの字解きを進めてきました。

 

 

 

基本的には、字源から見ても、

 

”水面に浮く”

 

という意味合いが強いようですが、雲の様に、

 

”空間に浮き上がる、漂い動く”

 

という意味も含まれるようであることが分かりました。

 

 

 

東洋医学の原典である『黄帝内経』”霊枢 衛気萹(52)”、”素問 気府論(59)”というところに、”浮気(ふき)”という表現が出てきます。

 

 

気府論の方では頭の方に浮き上がる気、という意味合いで使われていますが、問題は衛気篇の方です。

 

 

 

衛気篇における”浮気”という表現は、我々の治療にとって非常に関係の深い”衛気”のことを指しています。

 

 

 

東洋医学における”衛気”というのは「衛気」って何ですか? その9 でも示したように、経脈の外を巡って、体を防衛する気のことです。

 

 

 

さて、ここでいう”浮気”なるものが、「体の”外”の、空間部分をも巡る存在である。」と言ってしまっていいのか、ここは実はけっこう慎重に検討するべき問題のようです。

 

 

これに関して、歴代医家の注釈や解釈等を調べたりしましたが、体表から離れた部分をも気が巡っており、それを刺さない鍼(翳す鍼や接触鍼)で調整できる、

 

ということを述べた医家はいないようです。

 

(研究家の先生方、もしおられましたら是非ご教示ください。)

 

 

また一方で、気功家の方では「内気」「外気」という考え方があり、患者さんの体に手を翳したりして「外気」を動かす、調整する、という考え方は存在するようです。

 

(また、治療者の内気をコントロールして、外気として放出し、病気を治したりするのが気功家のやり方ですね。)

 

 

私もかつて、とある気功家(鍼灸家でもある)の先生に、この”外気”を操作されて、実際に体が大きく動かされる、という不思議な経験をしたことがあります。

 

 

ここまで書き進めてきたように、”浮”の字解き、”気”の字解きからすれば、「衛気」「浮気」とも考えられ、体表面から離れたところにも流れており、

 

それを刺さない鍼で補瀉(調整)出来る、と言ってしまってもいいように思います。

 

「気」の字解き 9 参照

 

 

これまで、従来からの一般的な東洋医学、鍼灸医学の歴史からすれば、この「衛気」というものは、あくまでも「体内の」「皮膚表面付近の」浅い部分を流れる気、

 

という風に定義されてきたようです。

 

 

多くの臨床事実や、字義解釈、また気功家の考えも参考にしながら、「衛気」「浮気」として解釈し、診察や治療に運用することに、どのような問題があるのか。

 

 

これから、私なりにこの問題をもうちょっと専門的に考究してみたいと思いますが、一般人からすればどうでも良すぎるし、難しすぎる問題ですので、

 

ブログに書くのはここまでにしますね。(笑)

 

 

専門家の先生方は、日本伝統鍼灸学会の学会誌『伝統鍼灸』第45巻第1号(通巻92号)に、拙著の症例報告「乳児のアトピー性皮膚炎の一症例」が掲載されており、

 

その症例報告論文の末尾の考察部分に、この問題についてまとめてありますので、宜しかったらご参照ください。

 

 

 

このシリーズ、おわり。

 

 

 

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