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「風」「火」について

2010.01.23

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「寒燥」、「湿熱」について書いてきたので、せっかくだから「風(ふう)」、「火(か)」についても書いておこうと思います。

 

 


「風」と「火」については、「寒燥」「湿熱」の時のように陰陽一対になっている訳ではありません。

 

 


風も火も、どちらも性質の上から「陽」に分類され、「陽邪(ようじゃ)」と呼ばれます。

 

 


◆「風」について

 


まず「風邪」ですが、これは自然界に吹く風(かぜ)を想像すれば分かりやすいと思います。

 


気圧の高いところから低いところに向かって大気が移動する、あれのことです。

 


これが冷たいところから吹くと寒く、暖かいところから吹けば暖かい気候を形成します。

 


それが極端だったり、季節はずれだったりすると、人体に悪影響を与えやすく、病因になる場合がある訳ですね。

 


ここ何日か、季節外れの南風が吹いて、妙に暖かくなりましたね。

 


皆さん体調は崩していませんでしょうか?

 


古代、この働きをみた東洋医学の医者達は、

「風は百病の長たり」

と言いました。

 

(『黄帝内経素問』玉機真蔵論(19))

 

 



これは要するに「風邪」が他の邪気(寒邪や熱邪など)と合わさって、いろんな病気を連れてくることがある、と考えた訳です。

 


・・・ということは、「風」は自然界(外界)にはあるけど、人間の体内にはないかと言うと、東洋医学では「ある」と考えています。

 


例えば、緊張すると手が震える、ピクピクと筋肉が痙攣する、などの症状を「内風(ないふう)」と考え、人間の体の中に吹く「風」に相当する現象だ、と考えました。

 


手が震えていたり、筋肉が痙攣しているのを見て、風が木々を揺らしている現象と重ね合わせたんでしょうか。

 


おもしろいですね。(^v^)

 


このように、自然現象をそのまま人体に置き換えて考える考え方は、この医学の言う「天人合一思想」に基づいている、という話は以前このブログに書いた通りです。

 


まあ、この見方考え方をして、そのつもりで治療を考えた結果、何の効果も得られなかったら、まったくの机上の空論、ゼロ意味になってしまいますが、

それで効果が得られる、という事実があることは、そこに何らかの真実がある証拠だと思います。

 

 


◆「火」について

 


次に「火」ですが、自然界の「火」は分かりやすいですよね?

 


燃えさかる炎です。

 


山火事、噴火など、太古の昔から「火」が人間に与えるインパクトのすごさは今と変わらなかったでしょうし、人間が生活する上でも、火は欠かせませんよね。

 


・・・この「火」も、東洋医学では人体の中でおこる現象のひとつ、と考えます。

 


詳しい説明は難しくなるので避けますが、これはいわゆる”人体発火現象”みたいなもののことを言っている訳では無く(笑)、人体をめぐる正常な「気」が滞り、

 

鬱滞が長引いたりした時に起こる病理現象の一つとして考えています。

 

 

急激に熱症状が上半身や皮膚に出て、痛みや痒みを引き起こす、非常に激しい邪気、と考えております。

 

 


東洋医学ではこのように、自然現象が時に起こす特徴的な現象を、人体でも同じように置き換えて考え、さらに自然の異常と人体の異常との微妙な関係性にまで注目して、

 

独特の優れた医学体系を構築してきました。

 

 


「じゃあ、近年問題になっているウイルスだとか、新手のばい菌とか、その他のあらゆる病原体については、東洋医学では想定していなかったんだから、対応できないんでしょうか?」

というと、僕はそう思っておらず、

「出来る可能性は大いにあるのではないでしょうか。」

となります。

 


確かに、東洋医学には病原体の構造や種類を細かく分析する、という考え方はありません。

 

(顕微鏡や血液成分の分析など、技術的に出来なかったわけです。)

 

 

しかし、原因はどうあれ、結果的に人体に起こった異常を正常に調える、あるいは近づける方法は、これでもかと言うぐらい考え尽くしています。

 


なので、現代の様々な病気にも、東洋医学の考え方を応用すると、あっけなく治ったりするものが多くあります。

 


病原菌を顕微鏡的に明らかにして、殺してしまうのがいいか、病原菌によって起こった体の異常を調え、結果として病原菌を体から追い出すのがいいか、というアプローチの違いがあります。

 


・・・実際は、どちらがいいかはケースバイケースですので、方法論自体に
優劣はないと思っています。

 


でも、実はこういう分野(東西の医学どちらが適応する病気か)の研究って、全然進んでいないという現実があります。

 


僕らとしては、東洋医学の言う判断基準に従って治療にあたるのみですが、ここら辺(どのタイミングなら東洋医学的手法の方が良いのか)がもっともっと明確になると、

 

患者さんのためにとてもいいことだと思っています。

(今の日本の医療体制じゃ難しいでしょうが・・・。)

 

 


東洋医学と西洋医学が、いつか「患者さんのために」手を組む日が来ることを祈っています・・・。

 

 



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関連記事: 中医学邪気(発病因子)

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この記事に関するコメント

“「風」「火」について” への2件のフィードバック

  1. しむしむ より:

    >「風」に関して
    言われてみれば、気圧の高い所から低い所に流れる「アレ」ですねぇ…
    つまり、体内にも気圧の差(?)みたいなのがあれば風が吹くし、雨も降ると言うわけですね…。
    これからの季節は体内と体外の差もありなん…。
    風の生成を「血虚生風」「陰虚生熱化風」だけに考えがちでしたが、なるほど、気圧の差によって生じるという風本来の性質が関係しそうな事を忘れてましたね…。
    また、最近では気圧の大きな変化で、炎症(虫垂炎とか)がひどくなるという報告があるのも見逃せません。
    (ウチの弟に見せてもらった、「自律神経免疫学」で有名な福田稔先生の報告です)
    ゴルフ日和な日に限って虫垂炎の急患が入るという(笑)
    一気圧(1013mb)から急激に上がる際(1025以上)に、交感神経が活発化して、アドレナリン受容体を持つ顆粒球が増えるのが炎症の原因とか言うものです。
    また面白いことに、それらの急性炎症は細菌などの浸潤によってでなく、粘膜層下で顆粒球が自己免疫疾患を起こしているからだという電顕写真も見せてもらいました。
    そう考えると、炎症一般に大椎や手陽明経を使う「去風清熱」という処方も、何となくですが、延髄や胸腺の血流増加と結びつけて考えられるのではないかな?…などと考えたりもします。
    ま、そっから先は解剖生理が得意な方に委ねるとして…ですが(笑)

  2. いんちょう より:

    しむしむさん
    いつもコメントありがとうございます
    > つまり、体内にも気圧の差(?)みたいなのがあれば風が吹くし、雨も降ると言うわけですね…。
    その通りでございます。
    > 風の生成を「血虚生風」「陰虚生熱化風」だけに考えがちでしたが、なるほど、気圧の差によって生じるという風本来の性質が関係しそうな事を忘れてましたね…。
    「風」については、「百病の長」としての「風」と運気論における「風木」の「風」との解釈をキチっとしておくことが重要かと思います。この辺は『内経気象学入門』に詳しいですよ(^O^)/
    > そう考えると、炎症一般に大椎や手陽明経を使う「去風清熱」という処方も、何となくですが、延髄や胸腺の血流増加と結びつけて考えられるのではないかな?…などと考えたりもします。
    面白い観点だと思います。これからはそういう、西洋医学と東洋医学のオーバーラップする部分と、しない部分の研究なんかもどんどん進んで、新見解も出てくることでしょうね。
    しかし、その分野は「木に竹を接ぐ」おかしな論理になる可能性も多分に孕んでいますので、注意が必要かとは思いますが・・・。
    まあ、あらゆる形で、もっと東洋医学が盛り上がることが、患者さんのためだと思います。またコメントの方、お待ちしております

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