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これまでのお話
「四逆散」というお薬
「四逆散」というお薬 2
「四逆散」というお薬 3
「四逆散」というお薬 4 参照
では続きいきます!
今日もまた、違う先生の見解を見てみましょう。
近代の有名な漢方家の一人である奥田謙蔵先生(1884-1961)の『傷寒論講義』には、
「四逆散証のメカニズムは、もともと湿邪を持っている人が病に侵されて熱を生じ、その熱が内に籠って、気が四肢に達さないので四肢が冷える。
だから、四逆散の場合の下痢は、臭いの無い水様の下痢ではなく、脈が弱々しくて途切れそうということもない。
咳、動悸、小便出にくい、腹痛、下痢、渋り腹などの症状は、うちに水邪が停滞し、上下に動揺していることから起こる。
陽気が弱って四肢が冷える四逆湯とは真逆だよ。」
と書いてあります。
(抜粋要約 by 竹下)
奥田謙蔵先生は、もともと四国(徳島)の先生で、吉益流の古方派の考え方をベースにした先生です。
奥田先生は、傷寒論を非常に細かく読み込んだ先生として有名です。
8歳年上に湯本求真(1876-1941)先生という、超ビッグな先生がおりまして、この湯本先生と、ずいぶん親しかったようです。
(湯本求真先生については、和田啓十郎先生とともに、特別な人物なんで、いずれ書きましょう。)
まあ、この先生のように、明治政府が叩き潰した漢方医学の流れを、どうにかこうにか途絶えさせずに継続させた功労者たちが、歴史の陰にはちゃーんとおります。
東洋医学が古臭い、迷信めいたものと言われてバカにされ、国にまで保護、重用されない立場となり、一番厳しい時代だったはずです。
その時代の先生たちが、現場で、肌感覚として感じていたであろう、悔しさとか、そういう思いを想像すると、心、動かされますね。
〇
・・・まあともかく、ここでは、四逆散に関して、奥田先生は四逆散証になる人がもともと持っている「湿邪」に着眼しているようです。
面白い、そして重要な観点だと思います。
体質素因としての湿邪が無いと、同じように肝鬱と言っても、四逆散のような形をとりにくい、という指摘でしょう。
「四逆散」というお薬 6 に続く
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