東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「四逆散」というお薬 10

2015.06.17

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これまでのお話

 


「四逆散」というお薬
「四逆散」というお薬 2  
「四逆散」というお薬 3
「四逆散」というお薬 4
「四逆散」というお薬 5
「四逆散」というお薬 6
「四逆散」というお薬 7
「四逆散」というお薬 8 
「四逆散」というお薬 9
        参照

 



では続きいきましょう!!

 

 

今日もまた、四逆散に関して、違う先生の意見を考えてみましょう。

 



まあこの辺で、キリがないので、そろそろラストにしましょうかね。(笑)

 



今日は、知る人ぞ知る名医、内藤希哲(1701-1735)先生です。

 



なんとこの先生は、惜しいことに今の僕と同じ年齢、34歳で、急病でこの世を去っています。

(・・・うーん、悔しかったんじゃないかなー。どうかなー。)

 



そしてこの先生はあの吉益東洞と1歳違いなんです。

吉益東洞(よしますとうどう)について 参照


 

まあただ、残念なことに、二人は会いはしなかったようです。

 


もし会って、意見を交換していれば、その後の日本の東洋医学の流れは大きく変わったかもしれません。

 


そのぐらいのレベルの先生です。

 




 


この先生が書いた『医経解惑論(いけいかいわくろん)』という有名な書物の話は、蓮風先生の話の中にも、たまに出てきます。

 



まあ、この先生も特別な先生なんで、あとでまた詳しく紹介しようと思いますが、歴史に「もし」はないけど、この先生が長生きして、

数百人、数千人という数の弟子を育てていたら、もしかしたら現代の病名漢方、症状漢方、病名配穴、症状配穴などの間違った流れは、

キチッと是正されていたかもしれません。

 





 


まあともかく、そんな内藤先生が生前に書きかけていた原稿を、弟子たちが仕上げ、内藤先生が亡くなってから、実に100年後に発刊された『傷寒論類編』という本に、四逆散について書いてあります。

 


「四逆散は、”気滞”が少陰病みたいな症状を生じた場合の薬である。外邪によるものではないけど、四肢逆冷、無熱だから、少陰病のところに書いてある。

脈は結滞して沈実、決して微弱ではない。諸々の本を読むと、四逆散証の時に出る咳や動悸や下痢や腹痛などは、邪熱で説明しているが、違う。陽気の気滞である。」

と、四逆散証で起こる諸現象を、熱で説明している、ほかの先生方をバッサリとやっています。(笑)

 


そして、脈に関する知見を加え、熱は関係ない、外邪も関係ない、あくまでも内傷であり、気の停滞なんだ、と説明しています。

 



内藤先生の本は、他者をコテンパンに批判しているところがあって、読んでいて非常にスリリング、ある意味痛快なんですが、まあ、あまり人のことを悪く言いすぎるのも、ちょっとどうかとも思います。

 



やや、自意識過剰、自信過剰だったのかもしれません。

 

(苦笑・・・まあ若くしてあれだけの内容を書く先生ですから、自惚れるのも分からないでもないです。)

 



でもまあ、他者否定の裏側にある、非常に過剰な自意識(この場合、自分が実際に治すことが出来た経験からくる自信)が、この先生の素晴らしい臨床を生み出し、

 

それが、この先生の存在を唯一無二のものにし、その名前を、現代にまで響かせている面もあるんだろう、とも思いますね。

 



・・・彼は「天才」と評されることも多いのですが、著書に書いてあることとか読むと、天才というよりは、感動的なほどの誠実さを持った、田舎の努力家です。

(特に序文)

 



興味のある人には、ぜひ読んでほしいですね。




「四逆散」というお薬 11  に続く

 

 

 





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