東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「尺膚診」について 6

2015.09.14

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これまでのお話

 


「尺膚診(しゃくふしん)」について 
「尺膚診」について 2                     
「尺膚診」について 3          
「尺膚診」について 4

「尺膚診」について 5       参照


 

では続きいきます!

 

 

◆『黄帝内経霊枢』論疾診尺篇(74)における尺膚診の記載

 


黄帝内経には、それ以外にもまだ尺膚診に関する記載があります。

 



霊枢の中の”論疾診尺篇(ろんしつしんしゃくへん)”というところにも、尺膚診の記載があります。

 


まあここが一番、尺膚診について集中的に述べている篇、と言っていいでしょう。

 


まさにタイトル通り、疾病と尺(前腕部分の皮膚の状態)との関わりを論じた篇です。

 


黄帝内経の中の、尺膚診についての記載は、ここにしか書かれてないと思ってない人もいるぐらいです。(笑)

 


ここに、

 

黄帝が岐伯(医師)に問いました。

「色を望診したり、脈診せずに、尺膚診だけで診断し、外から内を知るにはどうすればいいの?」

岐伯が答えて、

「その尺の緩急小大滑渋と肉の堅脆を細かく見極めれば、診断できますよ。」

 

と、いきなり冒頭に出てきて、そこからさらに、

 

尺の膚が滑で、光沢があるのは風です。

尺の肉が弱は、解㑊の病です。

 

尺の膚が滑で油のようにつややかなものは風なり。

 

 尺の膚が渋は、血虚の風痺病です。

 

 尺の膚が粗く、魚の干物の鱗のようなものは溢飮(水の停滞)の病です。

 

 尺の膚の熱が甚しく、脈が盛大で落ち着きがないのは温病です。

尺の膚が寒、其の脈が小なものは下痢で気虚です。

 

 尺の膚が燃えるような熱で、先に発熱して後に冷えるのは往来寒熱です。

 

 尺の膚が先に冷えていて、しばらくして熱感を感じるのも往来寒熱です。

 

肘の所のみ熱があるのは腰より上に熱がある。

 

手の所のみ熱があるのは腰より下に熱がある。

 

肘の前(内側)のみ熱があるのは胸の前に熱がある。

 

 肘の後(外側)のみ熱があるのは肩背に熱がある。

 

 前腕の内側のみ熱があるのは腰腹に熱がある。

 

 肘頭より下の三から四寸に熱があるのは、腸中に虫がある。

 

 掌中に熱があるのは腹中に熱がある。

掌中に冷えがあるのは腹中に冷えがある。

 

 母子球に青い毛細血管が有るのは胃中に冷えがある。

 

 尺が燃えるように熱く、人迎(頚動脈の拍動)が大は、多量の出血。

 

 尺が堅で大、脈が甚しく小さいものは、気虚であり、これに煩悶が加われば死ぬ場合がある。

 

と続きます。

(なげえー(@_@))


 

・・・まあ要は、前腕の皮膚を見るだけで、これだけ色々なことが分かるわけです。

 


古代人の大いなる知恵だと思います。

 



なお、この篇で括目するべきは、前腕の皮膚の異常(特に寒熱)と、体幹部の異常を対応させて診ているところです。

 



前腕で全身を診る、という時に、深さ(深浅)だけでなく、高さ(高低)も意識している、というのがポイントであります。

 



深さも陰陽、高さも陰陽であります。

 



続く

 




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