東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「肝」って何ですか?(その9)

2010.05.20

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これまでのお話・・・


「肝(かん)」って何ですか?(その1)

「肝」って何ですか?(その2)
「肝」って何ですか?(その3)
「肝」って何ですか?(その4)
「肝」って何ですか?(その5)
「肝」って何ですか?(その6)
「肝」って何ですか?(その7)
「肝」って何ですか?(その8)

 



・・・ではでは、楽しい楽しい「肝」のお話を続いてまいりましょう。

 



◆肝は将軍

 


東洋医学の古典では、

「肝は臓腑の中では”将軍”のような役目を果たすよ。」

と言っています。

 

『黄帝内経素問』霊蘭秘典論(8) 参照)

 


コレ、面白い例えだと思います。

 



将軍の役目と言えば、戦いの時に作戦を考え、自らも動き、自分の軍を勝利に導く、言わば、

”勝敗を分ける、戦のかなめ”

ですよね。

 



・・・これを人間の日常生活で考えると、「戦(いくさ)」というのは、要するに”外界からの刺激に対する対応”です。

(物理的、精神的、両面含めた、です。)

 


人間は”オギャー”と生まれたその日から、最後亡くなるその日まで、実に様々な刺激にさらされ続けます。

(まあ、生まれる前からもだけどネ。)

 


その刺激に対して、上手に、適切に対応できれば、精神的にも肉体的にも、理論上は何も異常を起こさず、快適な日々を送ることが出来ます。

 



「肝」の働きが異常を起こすと、本来耐えられるはずの些細な刺激でも、体が異常を起こしたり、緊張とリラックスのアンバランスが生じたりします。

 


清明院の患者さんでも、別に仕事で緊張し過ぎている、という自覚はないけれど、家に帰ってホッとする、あるいは休日でホッとする、そうすると、

 

急に色々な症状が出る、とおっしゃる患者さんがおられます。

(皆さんこういうこと、ないですか?)

 



こういった場合、臓腑では「肝」を中心に病んでいて、

”緊張とリラックスのアンバランス”

が起こっていることが少なくありません。

 


つまり、将軍である肝が、平素から「余分に」力み過ぎちゃってる訳です。

 



プロスポーツの試合なんかを観ているとよく分かると思いますが、やっぱり選手が力み過ぎていると、たいがい負けますよね。

 


余分な緊張、というのは、かえってパフォーマンスを下げてしまうのです。

 



これは何もスポーツの世界だけではなく、我々の社会生活においてもしかりであります。

 



そういう患者さんを治療していくと、ある程度治療が進んだ段階で、

「今まで余分な緊張をしていたことがよく分かりました・・。」

なんて言われることが多いです。

 

 

患者さんからこの言葉が出たら僕は、

「お、肝の働きが大分立ち直ってきたな。ヨシヨシ・・・。」

と理解します。

 



「ストレス社会」、「うつ病の時代」と言われる現代、肝を中心に病んでおられる患者さんは、非常に多いと思います。

 



続く

 




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