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これまでのお話し
「芎帰調血飲」というお薬 参照
◆では鍼灸ではどうか。
さて、芎帰調血飲的に、肝気を動かして、結果的に血を動かす、みたいなやり方は、北辰会では非常に得意です。
なんといっても、『黄帝内経霊枢』九鍼十二原(1)の冒頭部分、
「・・・余欲勿使被毒藥.無用砭石.欲以微鍼.通其經脉.調其血氣.營其逆順出入之會.令可傳於後世.必明爲之法.令終而不滅.久而不絶.易用難忘.・・・」
と、江戸期の医家、後藤艮山(1659-1733)の「一気留滞説」を大いに参考にしながら、あらゆる病における「気滞病理学説」を唱え、
”鍼でいかに気の停滞をとるか”
に腐心してきた北辰会。
肝の臓を調整する鍼灸の配穴や手法のバリエーションやその詳細については、日本(世界でも、かな?)で一番提示している流派、と言ってもいいんじゃないでしょうか。
しかし、温経湯に入っている「呉茱萸」という生薬の「暖肝」という方法は、あまりやりません。
(・・・というか、それを意識して治療し、よく効いたという症例の話を寡聞にして聴いたことがありません。。)
「寒滞肝脈」という、寒邪が足厥陰肝経の経脈を阻滞、凝滞させている時に使うわけなので、処方としては大衝や中封にお灸でもするんでしょうか。
(選択肢として、ないなあー)
ですので、実際にやっている、やったことがある、温経湯に一番近い鍼、となれば、打鍼による火曳きの鍼+上腹部への散ずる鍼なんかが相当するかね。
あるいは、ちょっと変則的だけど、照海にお灸をしてから百会を瀉すとかも、これに相当するものかもしれない。
北辰会の場合、四診の結果、虚実錯雑、寒熱錯雑でも、そこから標本主従をさらに細かく分析して、どっちに偏ってるかまで考えて詰めて、
よりウエイトの大きい方を攻めるのが定石なので、温経湯とビッタンコ、て感じの鍼灸治療はあまりやらないのかもしれませんね。
「暖肝」、「温肝」、ここはもう少し、実践を通じて研究した方がいいかもしれません。
漢方の方では、補肝に黄耆、温肝に鹿茸などを使うという考え方もあるようですね。
生理痛で、鎮痛薬が手放せない人で、疏肝理気する治療でなかなかうまくいかない場合に、温経湯的な考え方が突破口になるかもしれません。
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