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今日書くような問題は、根本的な哲学的問題として非常に重要なので、思いだしたら何度でも書きます。(笑)
清明院の鍼灸治療理論である北辰会方式が、医学理論と医学用語のベースにおいている「現代中医学」は、唯物論医学です。
「中医学」とは何なのか。 参照
そして現在、世界の一般的な標準となっている西洋医学も、唯物論医学です。
まあ要は「物質を基本にした」医学です。
因みに、「東洋医学」とか、「伝統中医学」とか言われるものと、「現代中医学」というものは違う、という話は以前しました。
各時代の、医学を纏める人も、それを実践する現場の医師も、大天才みたいな人や大秀才みたいな人はたまにいたとしても、神様ではないので、病気をこの世からまったくナシにするような、
生命を完全に差配するような、完全無欠な、完璧な医学なんてのはもちろん存在しない訳だけれど、この唯物論医学というものに、改善すべき問題点はあるでしょうか。
あるとすれば、それはどんなものでしょうか。
〇
よく聞く悪口として、
「西洋医学は、病気を診て病人を診ない。」
というのがあります。
血液検査、尿検査、検便、画像診断等々、徹底的で詳細な西洋医学の検査(物理的異常の発見)をして、異常ナシと言われたけども、明らかに具合が悪い、症状がある、という人は意外といる。
そしてそれを、西洋医学の医師に一生懸命訴えても、医師はPCの画面を見ながら、
「検査上は異常ないので、様子見てください。」
と冷たく返される。
それに対する不満から来るディスですね。
・・・まあ、よくある話かと思います。
じゃあ中医学の方には、そういう問題はないのか。
東洋医学的に考えて、一生懸命「弁証問診」して、「体表観察(四診)」して、「証」をたてて、その「証」に基づいて治療して、結果的に、脈が調い、舌の色が調い、
腹診や背侯診や経穴の病的な反応もゆるんだが、患者さんの症状は全然楽になってない、治っていかない、という状況がもしあったらば、これは西洋医学と同じではないのか。
中医学だって「証」を診て、病人を診てないじゃないか、と言われかねないのではないか。
・・・まあ、言われるかもしれないが、実はこれは違う。
東洋医学的に、もし本当に正確に「証」を立てて、正確に論理的に治療したならば、早いとか遅いとかの時間的な問題や、状況的な得手不得手の問題、
患者さんが治療者からの養生指導をきちんと守ってくれるかの問題とか、術者と患者が人間的、性格的に合う合わないという問題はあれども、
「誤診」や「逆証」でない限り、必ず病は治癒する方向には傾けられる筈です。
(僕はそう思っています。)
東洋医学的な診察の結果、治療時点における「証」や、その症状が出るに至った「病因病機」を捉まえることが出来れば、少なくとも患者さんに起こっている異常はキャッチ出来ています。
どうしても治療直後に症状が少しでも楽になっていないとイヤだとか、お金の問題で治療にたまにしか来れないとか、そういう場合は別の問題です。
主訴が治っていかないのであれば原因は必ずあるので、それを冷静に考えて、修正すべきを修正していくことになります。
しかしそこで、四診上の異常所見と、それが改善したかばかりに目をやって、患者さんの心理状態を無視してしまえば、けっきょくは同じような批判を受けることになるでしょう。
これでは、東洋医学の良さを活かしきれているとは言えないのではないかと思います。
〇
では、両医学の本質的な違いは何か。
そもそも、西洋医学や中医学のベースになっている、この「唯物論」というもの、そのものが抱える問題はないのか。
こないだ書いた、マルクス主義の歴史の流れを学ぶと、唯物論そのものに、なにか大きな問題があるような気がしてなりません。(苦笑)
マルクスの弁証法 5 参照
現在、私が教鞭をとらせて頂いている、東洋鍼灸専門学校の二代目校長である医師、丸山昌朗先生の遺稿集『鍼灸医学と古典の研究』の序文に、
御令息である丸山太郎氏がこう書いています。
「・・・人間不在の現代医学に対し、人間性を基盤とした東洋医学こそ医学の正統であるとの信念をもって父はその生涯を貫きました・・・」
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