東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「熱があるんですけど…」

2010.01.08

たまーに、治療の予約が入っている患者さんから、その日になって電話がかかってきて、

「ちょっと風邪ひいちゃったみたいで熱があるんですけど、鍼しても大丈夫なんでしょうか?」

と聞かれることがあります。

 

 

僕の答えは当然、

「もちろん大丈夫です。高熱で、歩くのもお辛いような状態じゃないのであればお越しください。鍼にはむしろ熱を早く下げる効果もあります。」

と、答えています。

 

 

ここでもし、

「いやあ、歩くのもつらい状態なんですけど…。」

と言われてしまったら、そのときの状態(症状)を電話で聞ける限り聞き、出来る限りの養生のやり方をお伝えするか、

 

場合によっては救急で病院に行ってもらうのを勧めることもあります。



・・・一般的には、発熱時は鍼灸はやっちゃダメ!という認識が根強くあるようです。

 

 

鍼灸学校で使われる『はりきゅう理論』という教科書では、鍼灸施術の禁忌として「⑤高熱症状を呈している場合」という表現で記載されています。(旧版P28)

 

 

(ある意味、微熱ならいいってことですね。)

 


なぜこうなのかについてはまた今度語ることにして、東洋医学では、数千年も前から、風邪のみならず、熱の出る病気に対しては、あらゆる考え方や方法論が試されています。

 

 

もちろん、古代中国には水銀式の体温計はなかった訳ですから、医者が患者の体を触っての熱感をもって、治療、診断の対象にしています。



そういうものに対して、ちゃんと鍼灸や漢方で対応し、結果を出してきたと、あらゆる文献に残っていますし、現代でも、中国や韓国などでは、

 

風邪をひいて発熱したときに鍼するなんてことは、別に当り前のことだそうです。

 

(韓国では、風邪をひいて発熱した時は、家庭にある鍼で自分で治療を行う、とか、中国でも、高熱を出してぐったりしている状態で中医学の病院に普通に運ばれてくる、なんて話も聞いたことがあります。)

 

 

また、(公社)全日本鍼灸学会の鍼灸論文検索サイト「JACRiD」「発熱」と検索すると、この通り、いくつかの論文が出てきます。

 

 

ここで、

「風邪をひいて熱が上がっている状態」

というのを、東洋医学でどう考えるかというと、外から入ってきた冷えや異物(邪気と呼びます)に対し、患者さんの体の恒常性を保とうとする力(正気)が、

 

邪気を排出しようと一生懸命戦っている状態、と考えます。

 



ということは、体の「陰陽」のアンバランスを整えて、「治る力」を増強する鍼灸治療は、体にしてみたら、この戦いの強い味方なんです。



よって、熱があっても鍼して全然問題ない、むしろやるべき!という風に、僕は考えています。

 


ちなみに、今日来た患者さんでも、風邪をひいて38℃弱発熱している方がおられましたが、治療後体温を計ってみると、多量の発汗とともに36.6℃まで下がっていました。

 


・・・信じられないかもしれませんが、まあ、事実だからしょうがないですね。(笑)

 

 

効くものは効きます。


(ただ、断わっておきますがどんな発熱でも鍼すれば間違いなくその場で下がる訳ではないですよ。誤解なきように!)

 


ですから、最近話題になった新型インフルエンザなんかも、鍼では全くお手上げかというと、学術的には全然そんなことないです。

 


しかし、ああいった感染力の強い、未知の感染症の場合は、保健所への届け出等、法律的な問題も関与してきますので、

 

現状の日本の一般の鍼灸院で診るケース自体が少ない、ない、ということなんです。

 


・・・ちなみに、今日書いたのは、あくまでも僕が思う、「東洋医学的に正しい鍼灸」をやった場合においての話です。

 

 


皆様に、この医学に対する「正しい」認識をどうか持っていただきたい、と思っています。

 

 



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