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鍼灸には保険が効かない!?(その1)

2010.03.21

この間、いいコメントをいただきましたので、「鍼灸と保険」というテーマで何回かに分けて書こうかな、と思います。

(そういうことにも目を向けていかないとね。現実は大事です。目をそらさずに行きましょう!)

 


まず初めに、今現在、日本は言うまでもなく「国民皆保険制度」というものを採用しています。

 



これのお蔭で、前年の収入に応じて1~3割の負担金で国民誰でもが低額で医療を受けることが出来ます。

(皆さん持ってますよね?保険証。)

 


仮に収入がなくても、生活保護制度、後期高齢者医療制度等によって、その権利は守られますし、病気によっては全額公費負担になる制度もあります。

 



とても弱者思いの、いい制度ですよね。

 


しかしこれは、「保険医療機関」での治療がメイン(というかほとんど)です。

 


つまり、国家資格である「医師免許」「歯科医師免許」を持った医師が営業している、病院、医院、診療所、クリニック、歯科医院での治療に関して、

 

保険者(国や保険組合等)から治療費の大部分(7~9割)が支払われるわけです。

 


あと一部、柔道整復師がやっている接骨院、整骨院でも保険が使える、という認識があります。

 


しかしこれは正確に言うと、接骨院の場合は原則として、一度窓口で治療費を全額(10割分全額)払って、
自分の保険負担割合との差額分を、

 

患者さん自身が、自分で保険者(例えば国保なら区役所)に請求する、という方法をとるものです。


(あくまで「原則」としてね。)

 


しかしそれだと、一時的にでも患者さんの負担が大きくなりますので、多くの(というかほとんど全ての)接骨院では、「受領委任」といって、

 

保険者への差額の請求手続きを接骨院が代行するため、窓口では一部負担金のみをいただく、という形をとっています。

 


接骨院に治療に行ったことのある方は、申請書にサインを求められた経験があると思います。

 


これは、上記の手続きを接骨院さんの方に任せますよ、という確認なんです。

 


これにより、接骨院、整骨院では保険が使える、という認識が国民に浸透しています。

 


もう一つ言うと、接骨院で保険が使えるのは「骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷の5つの外傷(ケガ)のみ」についてです。

 


最近、慢性の腰痛や肩こり、単なる疲労感などに対する不正な保険請求が問題になっていますね・・・。

 

(逮捕者も全国に出ています)

 


ではいよいよ、鍼灸の場合はどうかというと、一応、保険は使えます。

 


・・・が、なぜかほとんど全然、使っている鍼灸院ありませんよね?

 


これはなぜかというと、保険を使って鍼灸を受けるためには、「医師による同意書」というものが必要になることと、保険制度においては、

 

一回の治療費がかなり低く設定されていること(総額でなんと1500円程度!)が理由になると思います。

 



しかも、保険適用になる症状として、「腰痛、頸肩腕症候群、リウマチ、五十肩、神経痛、頸椎捻挫後遺症」という、たった6つの疾病に限定(!)されており、

 

なおかつ、ひと月の治療回数、治療開始から終了の期間に至るまで、全て同意書を書いた医師が決定します。

 


さらには、上記6つの疾病を、病院と鍼灸院で併療(同時に治療)することは認められていません。

 


これまでに、患者さんがそのことを知らずに、同じ疾病で医院と鍼灸院に同時にかかってしまって、鍼灸院に「だけ」保険者から治療費が支払われなかった、

 

なんていう恐ろしい事例もあったようです。

 


しかも、今では撤廃されましたが、つい最近までは、鍼灸の治療回数には、なぜか法的に制限(ひと月10回までだったかな?)があり、

とてもまともに商売できるような仕組みではございませんでした。

 


そのため、保険専門の鍼灸院というものはほとんどなく、積極的に保険を使っている鍼灸院は、単純にすぐ隣にある医院と業務提携していたり、

単純にそこの鍼灸院の院長の親や親戚が医師であったり、という特殊な場合以外は、なかなか導入しにくいのが現状です。


「・・・あのさー、これ、なんか不公平じゃない?」

と思います。

 



さも日本という国に、保険制度に、鍼灸なんて効かない、嫌いじゃ、滅びよ!と言われているような気ィすらします。(苦笑)

 


しかも前回のブログにも書いたように、患者さんからは怪しい、痛そう、熱そう、恐いなんて言われます。(苦笑)

 


なんで、こんなことになるんでしょう。僕ら一生懸命やってるつもりなんだけどなー・・・。

 


毎日毎日、睡眠時間、遊ぶ時間を削って、鍼の本を読み、休日は勉強会にいき、知識、技術を少しでも高め、
患者さんの健康に少しでも寄与しようと頑張っているのは、

 

鍼灸の学術を最大化するためであって、こんな扱いを受けるためじゃない!

 


・・・とかって、卑屈になったこともあります。でも冷静に考えれば、こうなるには、それなりの理由、いきさつがあったはずです。


(次回に続く)

 



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この記事に関するコメント

“鍼灸には保険が効かない!?(その1)” への6件のフィードバック

  1. しむしむ より:

    おお
    続きが気になる
    奈良からおつかれさんです。

  2. いんちょう より:

    しむしむさん
    いつもコメント、ありがとうございますm(__)m
    …たまにはこういうのもいいでしょ?
    このテーマは何回かに分けて書きます。
    また感想、聞かせてください。

  3. tekkan より:

    有先生
    お約束の通り初投稿しました。
    大阪のtekkanです。
    昨日、今日と研修に懇親会、
    ホントに、ホントに、ホント~~~に
    お疲れ様でした!
    (何がお疲れ様でしたかは、
    ここだけのお話ということにしておきましょう)
    あのお疲れの状況の中でブログ更新とは、
    さては鉄人・アニキ金本もビックリ!!の
    連続記録を狙うつもり?
    それはともかく、保険治療の件、
    以前、保険治療をした経験がある鍼灸師として、
    私も有先生と同意見です。
    鍼灸がファーストチョイスとなる医療となるためにも、患者さんにとって保健が効くというのは大変魅力的だと思います。
    しかし、その前に
    ・適応疾患の数が少なく、いずれも運動器疾患
    ・整形外科の医師は同意書を発行すると、
    自分が治せないことを認めることになり、
    自分で治療院を経営していない限り、
    同意書を発行することが少ない
    ・治療費の設定
    ・患者さんにとっては、鍼灸の保険制度の仕組みが理解しがたい(医療機関と同じものと考えている)
    など、制度面において数々の問題が多く存在します。
    この鍼灸の保険制度という難題に切り込む、
    有先生
    この後の続きも、楽しみにしております。

  4. ぷらら より:

    いんちょうさま、保険の詳しいお話ありがとぅございます。
    >さも日本という国に、保険制度に、鍼灸なんて効かない、嫌いじゃ、滅びよ!と言われているような気ィすらします。
    JINってマンガで、幕末の江戸時代の西洋医術が「怪しい」とか、「メスで切るなんて怖い」とか言われて、イジメられるるシーンがありますけど、現代では鍼灸や漢方のお医者さんはその時の逆襲されてるんですかね。
    明治時代は、新劇は良くて、歌舞伎はダメ。神様は良くて仏像はダメ。・・・だけど現代のブームはその真逆だから、これから鍼、いけるんじゃないっすか?
    ついでにハリーポッターって和訳だと鍼師じゃないっすか??鍼 ツボ太郎

  5. いんちょう より:

    tekkan先生
    おお!!初のコメント、ありがとうございます!!m(__)m
    > (何がお疲れ様でしたかは、ここだけのお話ということにしておきましょう)
    ・・・ホントにねえ、あれはなかなかのモンでしたね。正直夢に出ますよあれは。(苦笑)
    > ・適応疾患の数が少なく、いずれも運動器疾患
    > ・整形外科の医師は同意書を発行すると、自分が治せないことを認めることになり、自分で治療院を経営していない限り、同意書を発行することが少ない
    > ・治療費の設定
    > ・患者さんにとっては、鍼灸の保険制度の仕組みが理解しがたい(医療機関と同じものと考えている)
    上記の問題点、まさにそうですね。これらにまつわる様々な問題点を、これから一つ一つ明確にして、その中で僕らに何が出来るのか、という話をしようと思っています。
    また読んでやってくださいm(__)m

  6. いんちょう より:

    ぷららさん
    いえいえ!こちらこそ、いいきっかけを作ってくださってありがとうございますm(__)m
    > JINってマンガで、幕末の江戸時代の西洋医術が「怪しい」とか、「メスで切るなんて怖い」とか言われて、イジメられるるシーンがありますけど、現代では鍼灸や漢方のお医者さんはその時の逆襲されてるんですかね。
    はは(笑)当事者に「逆襲」という意識はないにせよ、現状をみるとそう思える面が多々あります。時代は繰り返すモンだと思います。『JIN』、チェックしておきます。
    > これから鍼、いけるんじゃないっすか?
    その通りです。絶対にイケます。絶対にです。これはカッコつけて言えば僕の「信念」です。・・ただ、そう考えたときに再び多くの問題が浮上します。それもまた書こうと思います。
    > ついでにハリーポッターって和訳だと鍼師じゃないっすか??鍼 ツボ太郎
    ・・・はい。(苦笑)

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