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前回、一貫堂医学の基本中の基本である、「三体質・五処方」を紹介しました。
今日はこのうちの「瘀血体質」なるものについて少し掘り下げましょう。
「瘀血」という病理産物については、東洋医学では誰でも知っているような重要な概念で、このブログでもチョイチョイ登場しています。
まあ要するに、「使いもんにならん、停滞した血(けつ)」のことです。
あらゆる病気、症状に関わり、あらゆる病気、症状を治りにくくする、病理産物であります。
一貫堂医学では、これを叩くことを治療、予防の3本柱の一つとして、非常に重視してるわけです。
一貫堂のいう瘀血体質というのをもう少し詳しく述べると、要は「体内に停滞した血液を持っている者」のことであり、血液の多くは腹部にあることから、
腹部、それも下腹部、骨盤内(それも左側)に瘀血が停滞しやすい、特に閉経後や月経不順のある婦人に多いと考え、皮膚の色、脈診、腹診などで判断するようです。
(皮膚は赤ら顔、爪は暗赤色、あるいは貧血して黄白色、脈は細実、腹は臍周に緊張、腹直筋が緊張など)
瘀血体質の患者がかかり易いのは脳溢血、片麻痺、喘息、胃腸病、肝臓病、肺結核、痔疾、淋疾、精神疾患、婦人病などなど、とのことです。
(幅ひろー(゜o゜))
・・・で、これらを通導散加減で治療します、と。
通導散というのは、中国明代、16~17世紀を生きたと言われる龔廷賢(きょうていけん 生没年不詳)の著作である『万病回春』に所収されている処方で、
現代でも超有名な駆瘀血剤(瘀血を取り去る薬)です。
この『万病回春』は、江戸時代の日本人の医師に広く読まれた古典であり、極めて実践的な内容で、あの和田東郭や、原南陽も高く評価しているそうです。
つい最近、1989年になって、大塚敬節先生の指示を受けた松田邦夫先生が全訳解説本を出版されたことでも知られています。
この通導散は、『傷寒論』の陽明病の薬として有名な大承気湯に当帰、紅花、甘草を加えた加味承気湯に、さらに蘇木、枳殻、陳皮、木通を加えたもので、
気の停滞、瘀血を取り去る力の強い薬です。
(『万病回春』の原文には”童便、黄酒各一鍾で温服すべし”とありますが、”童便”ってまさか。。。( ;∀;))
・・・で、私は鍼師ですので、さてこれを、鍼でやるならどうするか、という問題にぶち当たる訳ですが、北辰会では瘀血証には三陰交、膈兪、血海、臨泣などを瀉法で使いますが、
通導散のイメージに一番近いものとなると、この中では臨泣でしょうかね。。。
ただし「上手にやれば」ですね。(ΦωΦ)
続く
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