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前回のお話
「肺胃不和」という証 2 参照
◆「肺胃不和」は証ではなく病理?
FBの方で、専門家の先生方から質問がチラホラ出ているこのシリーズ。。。(笑)
おもしろいから、もうチョイ引っ張りましょう。(゚∀゚)
ただ、ちょっと今日の話は専門的になっちゃうので、患者さんや一般の方はつまんないかもしれません。。。
そもそも、「肺胃不和」という熟語は、『中医病因病機学』という本の中に、「肺胃の”病理”を示す言葉」として出てきます。
そこだけ見ると、「肺胃不和」という言葉は、「証」ではなくって「病理」じゃないか!と思う人もいるかもしれません。
・・・そこで、『中医弁証学』という本に目をやると、肺と胃が同時に病む病証としては「肺胃陰虚」という証のみが紹介されています。
つまり、『中医病因病理学』と『中医弁証学』では、細かく言うと「肺胃陰虚」という病証が形成される病理過程のことを「肺胃不和」と呼んでいる、
という理解になるのでしょうが、僕は個人的に、治療時点では必ずしも陰虚だけではない気がしています。
どういうことかと言うと、治療時点では「肺胃気滞」「肺胃気逆」あるいは「肺胃熱結」「肺胃気分熱盛」とでも呼びたくなるような病証が、
臨床的にはあるんじゃないか、と思っています。
このように、TCMの成書については、もちろん参考にはするけれども、「TCMの成書が100ゼロで正しい」とするような、教条主義的な取り扱い方はしない、
というのが北辰会のスタンスです。
「実践から理論へ」ですね。
(ただもちろん、今回の話は私の私見であり、北辰会の公式見解とかではないと断っておきます。)
前回書いたように、肺の臓と胃の腑の力の源の中心は「陰液(津液)」です。
十二臓腑というのはこのように、それぞれの特徴に従って、活動の源泉とする精微物質に若干の違いがあります。
例えば肝の臓や心の臓であれば、その活力の源は「津液」よりもどっちかと言うと「血」、腎の臓であれば「精」、ということになるわけです。
このように、TCMの言う、人体を構成する「気・血・津・液・精」それぞれの精微物質が、もちろん全体としては混然一体となりつつも、
各臓腑に適度にバランスよく割り振られて、十二臓腑の生理活性や動的平衡が保たれているのです。
その中で、何らかの原因で「陰液が不足する」という病証があるならば、ある時点では気の停滞や邪熱がメインになる病証だってある筈でしょう。
個人的には、TCMの考え方は、現場ではそうやって融通無碍、臨機応変に運用しないと、単なる言葉遊びや暗記大会や牽強付会になってしまって、
結果的に成果があがらず、行き詰まってしまうように思っています。
続く
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