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これまでのお話
「気」の字解き
「気」の字解き 2
「気」の字解き 3
「気」の字解き 4
「気」の字解き 5
「気」の字解き 6
「気」の字解き 7
「気」の字解き 8 参照
では続きいきます。
さて、長々と書いてきた「気」の字解きシリーズも、今回でいったん区切りにします。
今回はちょっと番外編的な感じです。
◆「炁」という文字について
ここまで、あーだこーだと「気」という文字について解説してきましたが、その中で、この「炁」という文字だけは、毛色が違いました。
・・・で、今日は、
”何なんだ、この字は!?”
というお話です。
この字は、「気」と同じ意味なんだけども、とりわけ「道教」の世界で用いられる字、とされております。
道教についてはカテゴリ 道教・道家思想 参照
これは、何故なんでしょうか。
・・・で、手持ちの道教関係の本や、「気」に関して研究されてる本や論文やネットをザーッとあさってみたんですが、なんと、ハッキリしたことは分かりませんでした!!(*‘∀‘)
誰か詳しい人、教えてください!!<m(__)m>
〇
・・・で、このまま引き下がるのも悔しいので、とりあえずこういう場合は、「炁」を「旡」と「灬」に分解して意味を考え、なぜ道教においてはこっちの字を使うのか、
自分なりに考察してみるしかないです。
「旡」の意味は、人が後ろを向いて口を開いている様子が元々の字源なんだそうで、字源的には「欠」と非常に似ているのですが、顔の向きが「欠」と反対になっているんだそうです。
これに関して、黒田源次氏は著書『氣の研究』の中で、「満腹の後のあくびと解釈できなくもない。」と述べております。
欠伸(あくび)という現象は、覚醒と睡眠の境界から覚醒に向かう時に出やすく、ハッキリとしたメカニズムは分かっていないものの、肺での酸素と二酸化炭素の交換を高める、
顔面のストレッチ、内耳の圧力を外気と調整する、などの仮説が提案されてきました。
より最近の学説としては、あくびは体温の調節に使われるという説もあり、オルバニー大学の Gordon G. Gallup らによれば、あくびは脳の温度を調節する働きがあるかもしれない、というそうです。
東洋医学では、あくびは主に肺の臓の働きを活性化するために起こる現象、とされています。
「肺」って何ですか?(その12) 参照
そして「灬(れっか、れんが)」の意味ですが、これは主に「火」を示すものだそうです。
・・・ということは、「炁」という字が、上が飲食、あくび(呼吸の活性化)の形象、そして下が火、という意味を持つ、ということになると、
まさに飲食物と呼吸と、下焦からの陽火によって”気”を作り出すという、道教の生命観と一致しているのが分かります。
因みに余談ですが、「气(きがまえ)」の中に「火」という文字を入れて「キ」と読ませる漢字もあったようです。
清明院に飾ってあるこの図は、もともと中国の道教の寺院にある図で、道教の身体観に則って人体を模式的に図示した、ものなのですが、
下半身を示す下の方に、炎があるのが見えます。
(↑↑下の方にいる牛さんの右の方、4つの太極図の下の方ね。)
しかし、後代になって結局、「炁」ではなく「気」という文字が用いられるようになったのは、「炁」という文字では表現しきれない、とてつもなく広範な意味を、
「気」という概念が含んでいったからではないかと思います。
まあこのように、非常に広くて深い意味を持つ「気」なんですが、東洋医学はその「気」を動かし、病を治す医学です。
東洋医学の医者たるもの、「気」に対する理解は、深いほどいい。
・・・まあ、長々と書いてきましたが、「気」の字解きシリーズ、ここまででいったん終わり。
また勉強が進んだら、書き足すかもしれません。
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