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2010.01.20
前回は、「寒燥」についてのお話をしました。
今回はその逆の「湿熱(しつねつ)」について書いてみようと思います。
最近の気候は、前回述べたように、まさに「寒燥」という感じであります。
それとまったく逆なので、時期外れのように感じますが、日々、患者さんを診ていますと、今の「寒燥」の時期であっても、この「湿熱」という邪気が問題になることがあります。
・・・コレ、なぜでしょうか?
これは、現代の食生活と、発達した空調機器に、問題の中心があるのではないかと愚考しています。
◆「湿」について
「湿邪(しつじゃ)」というのは、外界では湿度の高さ、人体内では水分の停滞が過剰に存在することで、人体に病的な異常を起こす「邪気」の一つであり、
性質の上から「陰邪」に分類されます。
つまり、「湿邪」というのは、平た~く言うと、
「余分なお水」
を意味しますので、単純に水分(お酒も含む)の摂り過ぎ、あるいは食べすぎで胃腸が弱った場合にも、水分がうまく捌けなくなって、結果として体内に「湿邪」が生じます。
体外の「余分なお水」は、というと梅雨時期や夏場のムシムシ、ジメジメした時期に湿度が高くなる、まさにあれのことです。
(もちろんそれが人体に悪影響を及ぼした時に、”湿邪”という邪気として認識する訳ですね)
◆「熱」について
それに対して「熱邪(ねつじゃ)」というのは性質的には「陽邪」に分類され、からだの内外に存在する”余分な熱”のことを言います。
ここで勘違いしてほしくないのは、現代人は「熱」と聞けばすぐ体温の「発熱」を想像しますが、東洋医学の言う「熱」というのはそれだけではなく、
ある種の咽喉の渇きや便秘、過食傾向、またカゼや感染症の原因などになるもの(邪気)として「熱邪」というものを位置づけています。
こういう、東洋医学と西洋医学の概念の混同が、東洋医学が正確に理解されにくい原因の一つだったりします。
前もこんなようなこと言ったかもしんないけど、カゼひいて熱がある人をみた時に、「すごい熱だね~」ではなく、
「体温がHOTだね~。」
とか、
「HEATだね~。」
とか言ってくれれば、混同されにくいのにな~・・と思います。(笑)
体外の「熱邪」は、というと、夏場の暑い時期や、冬場でも過剰な暖房などで不快なほど熱すぎる状況の時に、人体に悪影響を及ぼした時に「熱邪」と考えます。
(分かりやすく言うとね。)
この2つ、「湿邪」と「熱邪」が合体したものを、東洋医学では「湿熱の邪気」と呼び、「寒燥」と同じように、陰邪と陽邪ががうまいことバランスをとっている、邪気の中でも「手強い奴」な訳です。
現代は、外が寒くて乾燥していれば、家の中は暖房と加湿器を使って快適を得ようとします。
しかしやりすぎれば、秋冬なのに「ムシ熱い室内」になってしまいかねません。
そうなれば「寒燥」ではなく、季節外れの「湿熱」の病になりやすくなります。
また冬場は、寒いからと、あまり外に出歩くことも少ない人が多く、運動不足になりやすく、忘年会や新年会などで、暴飲暴食、過食傾向になりやすいです。
こうなると胃腸は弱り、水分が捌き切れず、体内に余分なお水である「湿邪」が増えます。
さらに、汗もかきにくい時期ですので、体内の余分な「熱邪」を汗によってうまく排出(発散)することも出来ず、結果、体内に「湿熱の邪気」が生じてしまう場合があります。
こうして現代では、冬場なのに「湿熱」の病が問題になることがある訳です。
「湿熱」については、大変面白い部分でもありますので、もっと細かく書こうかなとも思うのですが、時期的に梅雨時期とかの方が実感しやすいかな、
と思うので、その頃になったら、また詳しく述べてみようかなー、と思っています。
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