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2010.01.16
このシリーズはアツいです。まだまだいきましょう。今日は3、についてです。
3、「鍼灸って宗教みたいなもんでしょ?なんか胡散臭い。怖い。」
というご意見です。
こういう意見が出ること自体、日本ぽいですよね?
(僕はそう感じました。)
・・・というのも、日本人は基本的に無宗教と言われ、それぞれが自由気ままに、何も信仰していないか、何かを信仰しているか、です。
よく外国の人から、
「日本人は宗教の素養が無さすぎる!」
と批判されることがあるそうです。
(僕の友人でアメリカに留学したやつも、そんなこと言われたとか言ってたな。。。)
これはもともと「八百万の神様」という、自然界の全てのものに神が宿る、という多神教の考え方の影響なんでしょうかね。
それはともかく、宗教というものに対して胡散臭いとか、怖いという感情が想起されるのはなぜでしょうか。
まず大前提として、知らないものに対する警戒感、みたいなものがあるでしょう。
さらに加えて、一部の新興宗教によるしつこい勧誘だとか、近年の一部のカルト教団による無差別テロ行為や、「修行」と称した異常な行動の報道に対する、
悪い印象、インパクトが大きいからでしょうね。
また、体の不調などを、霊だとか前世のカルマだとかの”せいにして”高額なものを売りつけたりといった、悪徳商法が後を絶たないことも理由の一つでしょう。
・・・困ったもんですネ(ため息)。
ああいったものと、東洋医学、鍼灸治療とは全くの別物です。
何にも胡散臭くないし、怖がる必要もありません。
僕らは超能力者でも何でもないです。
自分でやんなるほど凡人です!(笑)
ただ、東洋医学の言う古典的な理論と手法に則って、日々一生懸命、鍼灸や漢方薬で治療をやっているだけです。
・・・故にもちろん、限界もあります。
そして東洋医学には、その判断基準(その術者による治療の限界)も明確に示されています。
万が一、上記のような不可解な行為を、皆さんがおかかりの治療院で勧められたら、直ちに警察に知らせるべきだと思います。
医療人と、その皮を被った、ただの犯罪者とは違います。
・・・「医療」と「宗教」というものの違いについては、僕も以前から興味を持ちまして、本で調べてみたり、色々な先輩に質問させていただいたことがあります。
その中で得た、僕なりの考え方を簡単に述べてみようと思います。
「医療」と「宗教」というものは、もともと「人を救う」という意味では同じ発想から始まっているのではないでしょうか。
(おそらく釈迦もキリストも、それぞれに個性、特長はあれども最初はこうしたシンプルな発想から始まったのでしょう。)
救わんとする対象物は両者ともに「人間」ですが、医療の場合は「病んだ人間=病人」を対象としていることが、大きな違いといえば違いでしょう。
「宗教」の場合は、その字のごとく、「あまねく教え導く」ですから、「全ての人間」が対象ですし、”病気の治療”以外の内容も大いに含むでしょうね。
そしてその教えを「信じる」というのがポイントですね。
まあ「医療」においても、この「信じる」気持ちというのは、治療効果を左右する面はあります。
僕レベルなんかでも、普段臨床をやっていて、患者さんを心身ともに救おう、と思ったら、患者-術者間の、
この医療(鍼灸)で治る!と「信じる気持ち」
とか、患者―術者間の、
お互いに対する「感謝の気持ち」
というものがどうしても不可欠になってくる、ということをよく感じます。
(要はそういう相互関係が、治療の相乗効果を生む訳です。)
ここら辺が欠けていると、
「体(症状)は治ったけど気持ちが全然楽にならない」
とか、
「症状がなかなか取れないことに苛立ち、しまいには術者を批判する」
とか、
「完全には良くなっていなくても、少し症状が良くなっていることに対する感謝が出来ない、もっともっとと、過剰なまでに要求するのみ」
というようになってしまったりする訳です。
僕はこういう苦い経験をこれまで痛いほどしてきました。
当然、こうなってしまうと、お互いに救われません(苦笑)。
本来の宗教(正教)というのは、医療(東洋医学も西洋医学もその他の民間医療も全て)をすっぽりと包む大きなもの、教え、と理解するのが正しいと思います。
ですので、「医療」は「宗教」の一部と考えたら分かり易いと思うのですが、良くないケースとして、そのように理解せず、「医療」の方が「宗教」よりも大きいぜ!偉大だぜ!とかいう風に考えだすと、
その医療者は最悪、広義の「神」になろうとしだします。
そうなった末路が、怖いとか胡散臭いとか言われるゆえんである、冒頭の犯罪者集団を形成していったりする訳です。
(あの麻原彰晃は元鍼灸師、オウムはこの点で好例かもしれません。)
・・・まあ僕としては、何があろうとも、何と言われようとも、そこはまったくブレずに、僕になし得る「最高の鍼灸」を患者さんに提供し続けるのみです。
自分が持つ鍼と灸を信じ、患者さんに感謝しつつ、です。
ですので鍼灸=宗教っぽい、というのは、メチャ広い意味では、あながち外れてもいませんが、それはどの医療も同じであり、ちゃんとした東洋医学に対して胡散臭い、怖いというのは間違いだと思います。
現代日本で圧倒的マジョリティーである西洋医学とは違う世界観、人体観を持った、伝統医療であるだけです。
ただ、「外見(見た目)」が胡散臭いとか、怖いのは「個性」ということで勘弁して下さいネ(笑)
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なぜ「宗教的」で「胡散臭い」という評価になるのかって、具体的に言葉で表現してもらうとわかりやすいですね。
「宗教」と「医療」って対比させて深く考えたことなかったのですが、いんちょうの考え方を聞くと「ほぉー」と、納得。
人は、鍼灸の効果も含めて、自分の理解を超えていることに出会うと、原理を理解しようとはせず、「怖い」とか「胡散臭い」って表現になってしまうのかもしれませんねぇ。
LEOさん
お久しぶりです。コメントありがとうございます!!
>人は、鍼灸の効果も含めて、自分の理解を超えていることに出会うと、原理を理解しようとはせず、「怖い」とか「胡散臭い」って表現になってしまうのかもしれませんねぇ。
そうですねー。僕もそうだと思います。ただ、そういう人にも是非「聞く耳」は持って欲しいな、と思います。
このシリーズを書くのは正直勇気が要ったんですが、LEOさんのように言っていただけるととても嬉しいです。
またくだらないこととか、賛否両論を呼びそうなこととか、色々書くかもしれませんが、たまには読んでやってください。
またコメントお待ちしております!