東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」って何ですか?

2009.12.09

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今日は、よく言われる「五臓六腑」とは何か、について書いてみたいと思います。

 

 


よく、うまい酒を飲んだ時に

「五臓六腑に染み渡るわ~!」

なんて表現がありますが、これは実はもともと、東洋医学の言葉なんです。

 


このブログの中で、何度も

「人間の陰陽のバランスを調えて病気を治すのが東洋医学です。」

と書いてきました。

 

 

もちろんこれはこれで、すごく大事な、根本的な考え方なんだけど、

「じゃあそうするためには、実際にどうしたらいいの?」

という疑問が当然浮かびます。

 

 


・・・コレに答えるためには、あくまでも
「気」「陰陽」という考え方(根本哲学)に則った、「人間の体のしくみ」をしっかりと理解する必要があります。

 

 


そこで考え出された(想定された)のが、「五臓六腑」という、人間の内臓に対する考え方です。

 

 


コレの内訳は・・・

・五臓:(肝・心・脾・肺・腎(かん・しん・ひ・はい・じん))

・六腑:(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦(たん・しょうちょう・い・だいちょう・ぼうこう・さんしょう))

となります。

 

 


これらの一つ一つに対する解説はいくらでも専門書がありますし、難しくなるので今日は解説しませんが、いずれ簡単に解説出来たら、と思っています。

 

 


この分類に基づいた人間の内臓を図にすると・・・

内景図2


↑こんな感じになっちゃいます(笑)

 

張景岳『類経図翼』より)

 

 


・・・一見、

「は?何コレ?全然実際の人間の内臓と違いますけど・・・?」

と思いますよね?

 

 


・・・江戸時代、日本に蘭学(オランダの学問)が入ってきた時、日本の多くの医者は、西洋の写実的な解剖図(現在でもよく病院の待合室なんかに貼ってあるやつ)を見て驚嘆し、

「我々は間違った理解をしていた、なんてバカだったんだ!」

とか言って変に反省し、今日までの自分たちの医学は間違っていた!と考えてしまったのです。

 

 

そして、それまでの東洋医学独特の五臓六腑の学説の用語を、そのまま西洋医学の解剖学用語に訳語として乗せていきました。

 

 

いわばその延長線上にあるのが、現代の解剖学です。

 

 


しかし、その理解は、果たして良かったでしょうか。

 

 

 

この図は「ある意味においては」間違っておらず、もっと深い意味、意義があるのではないでしょうか。

 

 


・・・大体、中国だって日本だって、ちょっと分かる人にとっては、この図が実際に人体を解剖したものと違うことなんて、百も承知だったはずです。

 



江戸期から、舶来品を無批判に受け入れ、新しモン好きで付和雷同な日本人なんでしょうか。。。(苦笑)

 



まあともかくこの図は、「今まさに、実際に生きて動いている」病人や健常者を、医師が五感をフル活用して徹底的に観察し、数百年、数千年かけて徹底的に臨床レベルで実験しまくった末に考え出された、


「人間の生理機能」

と、

「体の表面に現れる様々な異常」

から類推した、

「“人体の構造と機能”を説明するための解剖図」

と言えます。

 



消毒も麻酔もない時代に、現代ほど外科手術が日常的に行われていたはずはなく、
なるべく人体に負担をかけない方法で「生理機能」を調整して病気を治す、

 

というのが、医者の共通テーマだったはずです。

 

 


そこから編み出されてきたこの図が、江戸期に「実際の見た目と違う=まったく間違っている」と評価されてしまったのは、残念でなりません。

 



これはこれで正しい図なんです!

(写実的でないだけで、“機能”を説明した図である、という意味では)

 

 


ですから本当は、もともと「上の図における内臓の名前」だったはずが、西洋医学の解剖図の翻訳に使われちゃってるんで、結果的に混乱のもとになって、

 

なんか木に竹を接ぐ様なワケ分からんことになっちゃってるのが、日本の東洋医学教育の、一つの問題点だと思います。

(まったく問題にされないけど。)

 

 


患者さんが「胃が痛い」じゃなくて「stomachが痛い」と言えば、変に混同されることもないんだが。。。

 

 


・・・この辺の話題も、話し出すとキリがないんでこのぐらいにしときますが、要は「五臓六腑」とは、

 

・もともと東洋医学独特の、機能面におけるトータルなバランスに調和に着眼した内臓学の言葉で、

 

・東洋医学がこれを考える上で相手にしたのは“形態“じゃなくて、外から人間の五感でうかがうことの出来る“機能”ですよ、

 

ということです。

 

 


西洋医学もいいけど、東洋医学もいい!

 

 

 

とりわけ、東洋人には東洋医学がいい!!

 

 


やっぱりなんだかんだ言って、そもそもの体質や感覚に合ってる!

 

 

 

「伝統」というものをバカにするモンじゃない!

 

 


・・・そのように「強く」思っています。

 

 



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この記事に関するコメント

“「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」って何ですか?” への2件のフィードバック

  1. 通りすがりの若造 より:

    こんにちは。私は近所の鍼灸院に通っているので自分の経験に照らし合わせながら楽しく読ませていただいてます。投稿の中に気になる部分がありましたのでコメントさせていただきます。もし勘違いでしたらご容赦ください。
    本文中
    「ですから本当は、もともと上の図の内臓の名前のはずが、西洋の解剖図の翻訳に使われちゃってるんで、ワケ分からんことになっちゃってるのが日本の東洋医学教育の、一つの問題点だと思います。」
    「西洋医学教育の問題点」ではないかと思ったのですがいかがでしょうか。
    今後のブログの発展の一助となれたら幸いです。

  2. いんちょう より:

    通りすがりの若造さん
    初めまして。コメント、ありがとうございます。
    > 「西洋医学教育の問題点」ではないかと思ったのですがいかがでしょうか。
    御指摘、ありがとうございます。現在の鍼灸学校の教育では、中心的な内容は解剖学、生理学などの西洋医学的な科目が多いのです。東洋医学を中心に教育するなら問題ないと思うのですが、西洋医学的な科目を中心に教えるために、肝や腎など、各臓腑の意味について、学生が東西の医学を混同、混乱しやすいのです。
    そういう意味で、「東洋医学教育の問題点」と書かせていただきました。
    また、そもそも医学部、薬学部などの西洋医学教育では、気血津液や五臓六腑などの東洋医学的な臓腑観については一切教育しない(触れない)でしょうから、西洋医学教育自体には、そういう問題は生じないんじゃないでしょうか。まあ本来なら、全て横文字でやって欲しいですがネ。(苦笑)
    そんな回答で、よろしいでしょうか?

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