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2020.01.09
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北辰会方式では、その基本の一つである「体表観察学」の中に「原穴診」というものを置いて重視しており、全身に360以上ある経穴の中でも、
この「原穴」について特別視して、とりわけ重要視している。
・・・なぜ、重要視するのか。
もちろん根拠は『黄帝内経』『難経』などの代表古典にもあり、日本では「杉山流」の書にもあるが、やはり一番は、臨床経験からだ。
現実の臨床で確かに効くし、病体において有意な変化を見せるから、診断にも治療にも使っている。
いくら大古典に書いてあったって、現代の臨床で実際に使えないなら、臨床家としては価値薄だ。
北辰会方式の鍼灸治療において、原穴は、重大な診察点であり治療点として、使わない日はない。
・・・ところで、手少陰心経の原穴に「神門」という経穴がある。
この年末年始も、ずいぶん世話になった。
北辰会ではこの「神門」の代用として、すぐ近くにある「霊道」という経穴を使うことがある、と説明している。
これもまあ、実際によく反応が出ているからだ。
そんな訳で「霊道」にも、ずいぶんお世話になっている。
・・・さてこの二穴、どう違うのか。
「神門」は、言わずと知れた兪土原穴。
興味深いことに、別名を「中都」という。
(by『甲乙経』)
「中都」という正式名を持つ経穴は、別に下腿にあり、これは足厥陰肝経の郄穴だ。
さてここで、「中都」の”中”は、中焦を示唆するか、という問題もある。
(小田規矩之助『経穴名辞攷』では”大都”に対して”中都”、”都”は天子のいるところ、という解釈を述べている。)
しかし、中華思想の中国人が「中」の字を使う時は特別だろう。
話は飛ぶけど、「中極」が膀胱の募穴であり、「気原」という別名を持っていることも興味深い。
これについても、いつか語ろう。
ちなみに李東垣は、胃の気が下がって停滞して五臓の気が乱れ、しかも気(停滞?)が心にある時には神門穴が使える、と言っている。
↑↑これ、出典分からなかったんですが、お世話になっている「鍼道 一の会」の永松先生が教えて下さいました。
東垣十書 脾胃論二・三 巻三 三項
胃気下溜五臓氣皆亂。其為病互相出見論
・・・(中略)・・・
岐伯曰、氣在于心者、取之手少陰心主之輸[神門 大陵]
・・・まあ、詳細は省きますが、要は何らかの原因で、結果的に上下の気のアンバランスが起こり、上焦(心)に濁気がある時に、神門や大陵が使えるよ、
という李東垣の指摘です。(゚∀゚)
ここでは”原穴で上下の気の調整が出来る”というのがポイントかと思います。
臨床的に、「あるある、確かに!!」って感じです。
そして、「霊道」は要穴表では経金穴。
臨床上は、心の病態に脾胃、腎(下焦)が絡んでいる時に神門が使える(というか神門に反応が出ている)という印象。
これはストレートに、兪土原穴の魅力だよなあ、と思いながら、いつも使っている。
霊道の場合は、心肺、あるいは心小腸、という病理パターン>腎虚、血虚、って感じの時に出てくる印象。
(魄気、衛気の異常も含めて)
これは通里に近いせいもあるだろう。
霊道から神門までがわずか2寸、経穴の間隔が5分ずつで表現されていることにも注意を払いたい。
因みに手少陰心経の郄穴たる陰郄に出ているようなものは、慢性雑病ではほとんど診ない、というのが僕の印象。
これを散らさないとならないような時って、実型の眞心痛、厥心痛の時とかなんじゃないか・・・??
(しかし、これをやるとしたら実に怖いね。そうかな、と思っても、陽池にいってしまいそう。。。(苦笑))
あの手関節付近の手少陰陰経の要穴4穴並びに対する、現時点での僕なりの簡単な印象。
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