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これまでのお話し
『列子』という人物 参照
さて、続きいきましょう!!
◆腹診、腹部刺鍼と太極無極
・・・まあ、ここまでクドクドと述べてきたように、
「太極とはウンチャラカンチャラ・・・」
「無極とはウンチャラカンチャラ・・・・・」
と、古代中国の哲学に思いを馳せたり、勉強するのは結構だけれども、多くの臨床家にとっては、
「・・・で? つーかそれ、臨床に関係あんの??」
「それ覚えたら、なんか治せるようになんの??」
というのが普通のリアクションでしょう。(笑)
江戸期の日本古流派の腹診図や腹診書には、「太極」「無極」という表現が散見されます。
奥村裕一先生論文 参照
・・・まあ、お臍には「神闕」という経穴名が付されているのですが、このお臍のすぐ下の「気海」という経穴に鍼することを、宮脇仲策(江戸中期、生没年不明)の『鍼学発曚訓』では、
「腹根本太極鍼」と呼んでいたり、1679年序の『合類鍼法奇貨』では上腹部を太極、下腹部を無極と呼んでいたり、同年序の『大明琢周鍼法』では左右の天枢穴を太極無極穴と呼んでいたりします。
いずれにせよ、お臍周辺、あるいはお臍のレベルを境界線として、「太極」「無極」と呼び分けている。
まあこれらから分かるのは、要するにお臍、ないしその周辺には、全身(精神も含む)を大きく調整できる経穴がある、という臨床的事実です。
全員の陰陽の気の動きの根本になるのが臍周辺だ、ということですね。
お臍とは、母体と胎児を物理的に繋ぐ臍帯(へその緒)の名残りであり、出生してしまえば、そこを解剖しても特に何もなく、西洋医学では開腹手術をするにあたって、
臍の周辺を大きく切るなんてことは珍しくないですし、人によってはファッションでピアスをする人もいますが、東洋医学的には大問題だと思います。(苦笑)
因みに、近年ではこんな研究もあるようです。
(興味深いですね。)
太極観、無極観それ自体についても、江戸期各流派によってそれぞれ違いがあるようで、であるからして、「太極」「無極」と名付ける部位にも違いがある、ということなんでしょうね。
(実際は、タイムマシンで江戸時代に行って、当時の先生方に直接質問してみないと分かりませんけどね。)
江戸期は、中国(明)からの「儒・道・仏」の三教の影響、また、自国の神道との習合、あるいは、伊藤仁斎に始まる新儒学など、学問上の様々な動きがあり、
面白い反面、じゃっかんワチャワチャしています。(苦笑)
伊藤仁斎という人物 参照
(まあ、今でもそれはそうか。。。)
ただ、いずれにしても医学の分野で「太極」「無極」を語る場合には総じて「お臍(神闕)」にポイントが置かれているのが興味深いですね。
東洋医学では、お臍にはいつの時代も、深い意味が付与されてあります。
続く
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