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これまでのお話し
「五行」のはたらき 2 参照
◆従革とは。
さて今日は、これも聞きなれない金の性質、「従革」を説明します。
「金は従革」と定義したのも、紀元前5世紀ごろの書とされる『書経(尚書)』の洪範です。
これは、中国隋代の蕭吉(しょうきつ)によって撰述された『五行大義』によれば、
「従」・・・範(のり)に従い
「革」・・・更(あらた)まる
という意味だそうで、金属が溶けて容器や刃物など、様々な形に姿を変えることからこの性質が言われるようになったそうです。
また、後漢の許慎の『説文解字』では、「金は禁」といわれ、金の時季である秋になると、自然界の陰気が盛んになりだし、万物の成長が止まる(ある意味で成熟する)、と説明します。
それを「粛殺の気」と言います。
これは、以前にも書いていますが、8月の立秋の頃になると、朝晩の空気、風に微妙に出てくる、あの感じのことです。
秋燥の気 参照
また「金」という漢字の中には「土」が隠れており、間にある「' '」は、金属が土の中で光っているさまを示す、と説明します。
「金」は方位(空間)では西方、季節では秋です。
西方は日が沈む方角、死の世界ですね。
しかしこれも大事な自然の摂理です。
天の道理に順う粛殺は、新しいものを生み、発展の方向に向かうのですが、天の道理に従わない粛殺は、かえって新しいものを生まなくなり、
衰退を招くという、重要な教えが含まれています。
「金」は臓腑経絡では肺の臓(手太陰肺経)と大腸の腑(手陽明大腸経)、経穴では陽経の井穴と陰経の経穴です。
肺・大腸 参照
臓腑では稼穡の土は脾胃で、従革の金たる肺大腸とはいわゆる相生関係にある訳ですが、これが経絡的には太陰経と陽明経で手足一対になっていることも興味深く、
流注の順序からしても肺→大腸→胃→脾と密接であり、陰陽ともに気血が旺盛(太陰と陽明)、というのも意味深いですね。
十二経の流れの順調度合いは、胃の気の充実(一つには稼穡力)からの肺金の従革力(死と再生)ありきな訳です。
また、金(従革力)に関与する経穴を実際に動かす時は上記のような考えを持つと、診どころが変わってくると思います。
例えばよく使う陽経の井穴刺絡とか、霊道穴とかね。(゚∀゚)
続く。
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