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最近のお話し
参照
ここまで述べてきた、「桂枝湯」「麻黄湯」、”桂麻の剤”から派生する方剤は非常に多い。
また、『傷寒論』以降に著された様々な方剤の書も、結局は『傷寒論』の処方を基本として、いわば「後出しじゃんけん」的に色々なことを言っているものは多い。
(・・・言い方が悪いか。(苦笑) ”伝統医学の継承と発展”だね。)
なので、『傷寒論』は数千年先まで影響を与える、怪物のような本なのだ。
かつて、とある先生から紹介されて、知る人ぞ知る漢方の大家(故人)の先生にお会いした時、その先生は
「もう60年も毎日『傷寒論』を読み続けているが、それでも分からないところがある。。。」
と仰っていた。(苦笑)
そのぐらい、深遠な世界を表現した本なのだ。
まあ大体、『易経』にせよ『内経』にせよ『論語』にせよ、古代中国の古典というのは、それだからこそ魅力があるんだろう。
・・・話が逸れたが、麻黄湯の加減方として、東洋学術出版社『中国傷寒論解説 続篇』には、「小青龍湯」「大青竜湯」「葛根湯」の3方剤が紹介されている。
このうち、「小青龍湯」と「葛根湯」についてはすでに語ったので、「大青竜湯」だけ語らないのも、なんか気持ち悪い。。。(^^;)
・・ということで、今日は「大青竜湯」のお話。
よく、柴胡剤でも「小柴胡湯」「大柴胡湯」、承気湯類でも「小承気湯」「大承気湯」とあるように、方剤名の前に「大」「小」とついている場合がありますが、
当たり前ながら、これは効果の強弱を示すものではありません。(苦笑)
似ているところがあり、兄弟のようでありながらも、似て非なる方剤を、このように呼び分けています。
大青竜湯も、出典はもちろん『傷寒論』であり、
太陽中風.脉浮緊.發熱惡寒.身疼痛.不汗出而煩躁者.大青龍湯主之.若脉微弱.汗出惡風者.不可服之.服之則厥逆.筋惕肉瞤.此爲逆也.
傷寒脉浮緩.身不疼.但重.乍有輕時.無少陰證者.大青龍湯發之.
とあり、『金匱要略』では
病溢飮者.當發其汗.大青龍湯主之.小青龍湯亦主之.
とあります。
まあ簡単に言うと、大青竜湯の場合は、
「表面が冷えて、結果的に浅いところに熱が籠ってしまったもの」
に使います。
大青竜湯の中に入っている「石膏」という生薬は、浅い部分に籠った熱を取るための非常に重要な生薬です。
ですので、麻黄湯からの加減方をまとめると、
麻黄湯の場合は表面を温めて汗をかかす、
小青竜湯の場合は表面の冷え+水邪の突き上げ、
葛根湯の場合は表面の冷え+うなじのこわばり、
大青竜湯で表面の冷え+それによって籠った浅い部分の熱、
というバリエーションがあることが分かります。
鍼の場合も、カゼひきさんを治療する場合はこのように、
「どういう体質の人に」
「どういう邪気が襲って」
「結果的に表面で何が起きていて」
「深い部分では何が起きているのか」
を考えながら治療していきます。
なので、漢方薬の考え方と、一緒であり、ある意味応用的です。
ですので、鍼灸師にとっても、『傷寒論』理解は非常に大事なのです。
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