東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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一貫堂医学について 6(温清飲について)

2018.09.14

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これまでのお話・・・

 

墓マイラー 52 森道伯先生

森道伯という人物

一貫堂医学について 1(三大体質五大処方)

一貫堂医学について 2(瘀血証体質について)

一貫堂医学について 3(臓毒証体質について)     

一貫堂医学について 4(解毒証体質について)

一貫堂医学について 5(解毒証体質の続き)   参照

 

 

 

さて、ここまでで、森道伯先生を創始者とする「一貫堂医学」が提唱する「三大体質・五大処方」なるものの基本を説明してきました。

 

 

一応断っておきますが、私は鍼灸家であって漢方家ではないので、漢方薬の処方解説はあくまでも理論面しか出来ませんし、鍼灸臨床に置き換えて説明することしかできません。

 

 

これまでに出てきた漢方薬それぞれ、実際の実践面、臨床面でどうか、というのは、漢方家の先生方にお任せ致します。<m(__)m>

 

 

僕のすべての言説は、あくまでも市井の一鍼灸臨床家の視点からのものであります。

 

 

・・・しかしまあ、いつものことなんですが、こうやって東洋医学の真面目な内容を書いていると、アクセス数が減りますなあ~~。(~_~;)

 

(苦笑・・・みんな、勉強嫌いなのね。)

 

 

・・・でもいいです、めげずに書きます!!<(`^´)>

 

 

書きたいから書く、言いたいこと言う!!(゚∀゚)

 

 

五大処方のうち、前回述べた「解毒証体質」に使われる3つの方剤(柴胡清肝散、荊芥連翹湯、竜胆瀉肝湯)は全て、「温清飲」という薬をベースにしています。

 

 

この温清飲は、現代では「アトピー性皮膚炎」の患者さんに使用されていることが多いようです。

 

 

・・・ところが、最初から単純に効いていなかったり、ある程度までは効いていても、途中で効かなくなったり、あるいは途中から悪化していったり、

 

と仰って、清明院にみえる患者さんがチラホラいます。

 

 

これについて、どういうことか考えてみましょう。

 

 

まず温清飲の中身は、当帰・地黄・芍薬・川芎各3.0g、黄連・黄芩・梔子・黄柏各1.5g、だそうです。

 

 

上記の当帰~川芎の部分が四物湯の内容、黄連~黄柏の部分が黄連解毒湯の内容です。

 

 

配合の分量の比率を単純に見れば、「四物湯>黄連解毒湯」と読めます。

 

 

四物湯とは、補血剤(血を補う薬)の代表格で、主に肝の臓の血(肝血)を補う薬だそうです。

 

 

黄連解毒湯は清熱剤(熱を冷ます薬)の代表格で、上焦~下焦まで、三焦に瀰漫した邪熱(実熱)を取り去る薬だそうです。

 

 

ということは、温清飲「肝血虚>邪熱」の虚実挟雑証の場合に使える薬、と考えていいのでしょう。

 

(・・・まあ、そう一概に言えない面もあるかもしれないが)

 

 

だとすると、経過中に「肝血虚<邪熱」のように、主従が入れ替わった時、あるいは「血虚」「邪熱」が解決して、どちらか一方のみの問題になった時、

 

あるいは「陰虚」「気虚」「陽虚」「湿熱」「湿痰」などの、肝血虚や邪熱とは別の病理が主になった時には、サッと方剤をチェンジ(変方)しないと、

 

効かない、あるいは悪化する、という流れになるのは自明です。

 

(または、そもそも最初からこういう診立て自体が出来ておらず、病名や症状のみからテキトーに処方したのであれば、最初からいきなり悪化することもありえます。)

 

 

まあ、臨床上よく見かけるのは、四物湯の成分が中焦を余計に重たくしたり、黄連解毒湯の成分が脾気や腎気を奪ったり、裏の水滞がきつくなって、

 

肌膚に津液が行き渡らなくなり、そのせいで見かけ上は余計に皮膚が乾燥して悪化したり、というようなケースが多いように思います。

 

(熱が取れるはずが、余計に皮膚が乾燥して「なんで??」ってやつね。)

 

 

病気、それも慢性で難治性の病気となれば、こういう、その時々での変化流転は当たり前なので、鍼灸でも、このような失敗をしないために、初診時にキッチリと問診を取っておき、

 

治療に来た現時点での「証」のみでなく、現症に至った「病因病理」をキチンと意識しておくことが大事なのです。

 

「弁証論治」って何ですか?  

再分析(病因病理について)   参照

 

 

とりわけ、皮膚科疾患の場合、中医学でよくいう「皮損弁証」というような、皮膚の状態(乾燥、熱感、発赤、腫脹等々の有無)を意識した診察ももちろん大事ですが、

 

かといって皮膚の状態「のみ」から診たてただけの、場当たり的な処方、処置は実に危険です。

 

 

要は皮膚が「何で」そんな状態になったのか、というメカニズムを考え、時々刻々と変化する患者さんの状態に合わせて、臨機応変に処方、処置を変えていかないと、

 

とてもついていけません。

 

 

アトピーや喘息なんかの場合、そうやって常に先手先手が打てなかったら、普通に負けます。。。(苦笑)

 

 

患者さんから、ヤブ医者!ヘタクソ!アホ!ボケ!カス!!です。。。(苦笑)

 

 

また、この辺の詳しい話は、山口の村田先生のブログが非常に参考になります。

 

(膨大な内容ですが、単語で検索ができるので、漢方薬名や病名で色々検索してみて下さい。あっという間に朝になりますよ。(笑))

 

 

ドラッグストアで簡単に漢方薬が手に入る昨今、ネットで得た情報から、素人考えでサプリメント感覚で服用して大失敗をしていたり、知ったかぶりの西洋医学のドクターから、

 

いい加減な処方を繰り返されて、かえって悪化している患者さんを診ると、実に残念な気持ちになります。

 

 

東洋医学(鍼灸漢方)は医学ですので、それ専門に何年も、何十年も学び、経験を積んだ先生にしか、本当の意味では使いこなせません。

 

 

まずは、せめてそこんところをよくよく理解しましょう。

 

 

 

続く

 

 

 

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