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これまでのお話・・・
前回、三大体質の最後である「解毒証体質」について簡単に説明しました。
前回書き忘れましたが、一貫堂では、この解毒証体質というのは、遺伝的要素も多分にあると考えているようです。
(だから幼児期に治療に着手することを重視してる訳ね)
まあよく言われる、「胎毒※」ってやつですね。
※胎児の間に母体から受けるあらゆる毒(病理)の総称
・・・で、実際に解毒証体質であることの診断は、基本としては望診において
浅黒い(くすんだ)皮膚の色
であり、
体格はやせ型か筋肉質、
腹診において
腹筋の緊張強く、過敏であり、特に肝経上の緊張と、肝臓部(右季肋部)の腫大があること
が重要だそうです。
さらに、小児期の「柴胡清肝散」がフィットするパターンであれば、脈診では緊脈が中心で、頚が細く、胸が狭い、腹診ではくすぐったがる、などの所見が顕著であり、
青年期の「荊芥連翹湯」がフィットするパターンであれば、望診での皮膚の色はよりどす黒く、腹診では肝経上に加えて陽明経上~心窩部にも緊張がきつく、
「竜胆瀉肝湯」のパターンでは脈診上、緊脈の他に”中湿の脈”と言われる、”ボカリボカリ”とした脈を打つ、と言われており(まあこれは難しく考えず、普通に「滑脈」のことじゃないかな、という気がしますが)、
腹証では肝経上の緊張以外に臍周~下腹部の緊張を認めるそうです。
・・・で、これを鍼灸で考えるとどうか、という話ですが、そもそも「解毒証体質」では大枠として「肝の臓の解毒の力」に着眼し、これを高める訳ですから、
治療方針は「肝の臓を上手に調整すること」に他なりません。
ただ、東洋医学のいう「肝の臓」に、生理作用としての「解毒」は特に謳われていません。
しかも東洋医学の概念には「結核毒」なんていう考え方もありません。
(そもそも”細菌”という考え方がない訳ですからね。)
東洋医学では、感染性の強い病原菌に関しては「疫癘(えきれい)の邪気※」という考え方をします。
※感染力や毒性が極端に強い病邪のこと
このように、このブログ上で、かつて再三再四に渡って述べまくったように、東洋医学の言う「肝の臓」と、西洋医学の言う「肝臓(liver)」はまったく違うもの、
と考えた方がいいので、ここを混同しないように、厳に注意したいですが、東洋医学的な「肝の臓」には「疏泄、蔵血」という重要な生理作用があり、
これが失調すれば、要するに西洋医学の言う「免疫力が低下した」状態になりますので、結核その他の感染症には罹患しやすくなるでしょうし、
逆に「肝の臓」の機能を上手に賦活化することが出来れば、結果的に体内の毒素(病理産物)を排出しやすくなりますので、まあ、東洋医学のいう肝の臓には、
「疫癘の邪気」を無害化、無毒化するような、一定の「解毒能」があると言っても、過言ではないと思います。
ただ、何度も言うけどこの辺の、概念の混同には、ホント注意した方がいいです。
(双方の意味をキチンと分かった上で、方便として運用するならいいけども)
かつて『あはきワールド』にも書きましたが、「肝の臓の機能調整」は臨床上、北辰会が最も重要視するところです。
北辰会方式では、肝の臓を調整するには数多くのパターンを持っていますが、まあそれについては、
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一貫堂の言う「解毒証体質」へのアプローチでは、北辰会が持つ肝病治療の多くのパターンのうちから、温清飲的なアプローチ、つまり、肝血の不足に配慮しながら、
肝気実、肝の実熱を捌くように配穴処置をする、ということですね。
(まあ北辰会の先生でなくても、プロの鍼灸師であれば色々な配穴が思いつくでしょう)
・・・ところで、現代では結核の患者を東洋医学で診る機会はほとんどなく、温清飲にしても、そのもとになっている黄連解毒湯にしても、現代では
慢性で難治性の「アトピー性皮膚炎」の患者さんで使用している患者さんが少なくありません。
これが上手くフィットせずに、あるいは、最初は良かったけど、ある段階から全然効かない、または悪化する、という患者さんが清明院にチラホラ見えますので、
これに関しても、重要なことなので少し解説しておこうと思います。
続く
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