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前回のお話
『素問』脉要精微論(17)における「脈の内外上下」 1 参照
◆脈の内外上下
前回、「気口九道脈診」というものを少し紹介しました。
↑↑この図は、私が尊敬する李時珍(1518-1593)『奇経八脈考』の最後の方に、こんな図で描かれ、説明されている脈診法であります。
(岡本一抱(1655-1716)『経穴密語集』より)
患者さんや、西洋医学の医療者の方など、東洋医学のまったくの素人の方も多く読んで下さっているこのブログですから、この脈診法の専門的で詳細な解説はしませんが、
最近になって、中国の明代に李時珍(1518-1593)が唱えた、この脈診法を、現代の日本の鍼灸臨床で実践しよう、という先生方が出てきているようです。
今年の11月に大阪で行われる日本伝統鍼灸学会の学術大会では、この脈診法に関して、シンポジウムが行われるとか・・・。
実は、この脈診法を、昭和の時代にすでに日本鍼灸界で臨床実践していた鏑矢は、蓮風先生のご尊父である藤本和風先生です。
和風先生以外の有名な先生で、この脈診法を臨床実践していた先生がいたという話は、僕は聞いたことがありません。
(もし誰か知っていたら、教えて下さい。<m(__)m>)
最近になって、「気口九道脈診」を臨床で実践しておられる先生方も、もともとは和風先生自身や、和風先生の主宰していた「無極会」という勉強会で教わっていた先生方の影響を受けているのではないかと思います。
・・・で、この脈診法はどういうものかというのを、ここに簡単に述べますと、他の脈診法と同じように、手首にある橈骨動脈の拍動部位を診るのですが、
拍動部位を外側から診るのと、内側から診るのと、真上から診るのとで、
橈骨動脈を3方向から診て、それぞれの部位で、十二経絡と奇経八脈の変動を同時に窺うという、ちょっと変わった脈診法なのです。
経絡(奇経八脈) 参照
この脈診法は、十二経絡はともかくとして、同時に奇経八脉の変動をも窺うことが出来ると言われる、貴重な脈診法であります。
「奇経八脈が病んでいるのかどうかを窺い知る簡便な方法」というのは、古典の中には、意外とないのです。
(いや、あるぞ!!という方、おられましたらぜひ教えて下さい。<m(__)m>)
まあ、この脈診のルーツは、李時珍が急に言い出したというよりは、その親父さんの李言聞が書いた『四言挙要』という著書の中に出てくるようで、
そのさらに淵源は、そこからさらに1000年ほど遡って、有名な王叔和(3世紀)の『脈経』にあると言われます。
そもそも、あんなに小さい部位である、手首の橈骨動脈の拍動部位を、寸関尺、浮中沈の三部九候に分けて診るのすら十分細かいのに、さらに外側、内側、真上と3つに分けて診るだなんて、
細かすぎるよそんなん・・・、と思う人が多いかもしれません。
でもこういう考え方は、すでに『黄帝内経』にあります。
ふう、やっと今回のタイトルに寄ってきた。。。
脈診の話をし出すと、取っ散らかっちゃって、キリがない。(苦笑)
言いたいことが色々あり過ぎる。(*‘∀‘)
【参考文献】
『埋もれている脈診の技術 気口九道』平口昌幹 燎原
『現代語訳 奇経八脈考』李時珍著 勝田正泰訳 東洋学術出版社
『奇経八脈攷全釈』李時珍著 小林次郎訳 燎原
『経穴密語集』岡本一抱
続く
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