統合失調症に伴う諸症状 (抑うつ的な気分、不安感、引きこもりetc..)
30代 女性
私は統合失調症という病気にかかっています。
2006年に発症し、それから薬物療法をずっと続けています。
一時はひどくなって入院も経験しましたが、薬物療法でなんとか持ち直し、今は専門学校に通いつつ、社会復帰に向けて生活訓練をしています。
しかし、薬物療法だけでは、漠然とした不安感が消えることはありませんでした。
薬で幻覚や幻聴などの陽性症状はほとんどなくなっていますが、落ち込みや無気力といった陰性症状はずっと続いていました。
また統合失調症には認知機能障害といった随伴症状があり、物忘れや物覚えの悪さなどの症状があるため、専門学校の勉強に大変苦労していました。
なんとかしなければと思い、様々な本を読みました。そんな中『鍼灸の挑戦』(岩波新書)という本に出会いました。
全国の第一線で活躍する鍼灸師の先生方の、興味深いエピソードが多数収録されていますが、すべてに共通しているのは、 「治してあげるのではなく、はり・きゅうはその人が本来持つ自然治癒力を引き出すきっかけなのだ」ということでした。
鍼灸治療を含めた東洋医学は「人間」そのものを見ますが、西洋医学は「病気」しか見ていないということもわかりました。
私が受けてきた、西洋医学の精神科の治療もまさにそういう印象でした。
『鍼灸の挑戦』の中でとくに気になった人物が、藤本蓮風先生です。
先生は鍼灸の学術研究団体である社団法人、北辰会の代表理事でもあります。
左足の腫れの患者さんにヘソの横のツボに一本だけはりをして「十回以内で治りますよ」と言ってのけるところに驚きました。
「からだに起きている気の歪みがどこで是正できるかを正確につかめば、患部にこだわらず、そこに一本はりをするだけで効く。」という藤本先生のお考えに大変興味を覚えました。
そこで藤本先生の著書『鍼1本で病気がよくなる』を読みました。
その中に、うつ病の記述のところで、「体の状態によって心を病むこともある」とありました。
「思いっきり食べたり飲んだりしていると、胃のあたりから重苦しい感じが広がり、やがてぐったりした感じになります。
そして、次第に心が不安定になっていきます」というのが体から心を病むことの始まりだそうです。
そこで、とらえどころの無い心を治療するよりも、体から治してもらったら良いのではと思い、はり治療を受ける気になりました。
藤本先生は奈良にいらっしゃるので、都内でどうにか藤本先生流の治療は受けられないものかと思い、北辰会の先生を探してたどり着いたのが、竹下先生の清明院でした。
竹下先生の治療も、ひとつのツボにはりを刺すだけですが、体から治して心も治っていくのが実感できます。
薬のせいもあり便秘や下痢で悩んでいましたが、お通じは段々と良くなっています。
また食欲不振も良くなり食事がおいしく感じられるようになりました。
わずか1本のはりですが、確実に生活の質が上がっていることを実感できます。
そして何よりも精神的な不安感が徐々に減ってきています。
治療を受ける前は生きていくこと自体辛く感じていましたが、今は毎日を前向きに生きています。
あせりは禁物です。
少しずつで良いと思います。
病気ではなく人間そのものを見る東洋医学に興味を持たれたなら、ぜひ竹下先生の治療を受けて見られたらいかがでしょうか?
清明院からのコメント
大変熱のこもった「患者さまの声」をいただき、ありがたく思います。
この方は初診時、何となくさえない、暗い表情をされて来院されました。
問診させていただくと、5年ほど前、様々な重度のストレスから、心身に異常をきたし、入院生活を送るようになってしまったとのこと。
以来、何とか普通の生活が出来るまでには持ち直したものの、上記のような様々な症状に苦しめられておりました。
この方がおっしゃるように、東洋医学では、「心身一如(しんしんいちにょ)」と言って、精神と肉体を分けて考えません。
体を調整すれば、精神もおのずから整う、という風に考えますので、カウンセリングや心理ケアをするのではなく、 体の異常を徹底的に是正する、という方法を取ります。
(ただもちろん、問診したり、経過中に患者さんを励ましたりはしますが。)
ですので、精神疾患だからと言って特別なことをする訳ではなく、日常生活で何を気をつけたらいいか、を患者さんと共に考えながら、 鍼で体のアンバランスを整えるのみであります。
この方の場合、「肝脾同病(かんひどうびょう)」と証を立て、治療を開始すると、1回目から良好な変化を実感され、 5回目くらいで、全体的に体の調子が変わってきたことをさらに実感され、現在では精神面、身体面ともに以前よりも全然安定しております。
今では治療中にアホな冗談でも言いながら、僕もこの患者さんも、二人して笑顔で、治療を続行しております。(笑)
この患者さんも、初診の時のさえない表情はどこかへ行き、今では入口の時点から、含み笑いを浮かべて入ってくるようになりました。(笑)
この患者さん自身がよく理解しておられるように、こういう慢性の病気の治療に「あせり」は禁物だと思います。
中には劇的に治っていくものもないことはないですが、多くは少しづつ少しづつ、体をいい方向に傾けて傾けて、気が付いたら治っていた、
というような経過をたどることが多いように思います。
…たまに、「鍼では精神疾患なんて治りませんよね?」
という質問をいただくことがありますが、この症例の「患者さまの声」は、その疑問に対する一つの回答だと思います。
今後も、ますますの改善を目指して、治療を続行していくつもりであります!