東洋医学 伝統鍼灸 清明院

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食後困頓(しょくごこんとん)とは

 

 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「食後困頓(しょくごこんとん)」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
食後困頓(しょくごこんとん)とは、食後に身体が怠く、眠くなったり、食事中に疲労困憊して身体を支えていられず、食事を止めて眠ってしまう状態のことを指します。
 
 
 
他にも「穀労」、「飯酔」とも呼ばれています。
 
 
 
また、「多寝症(嗜睡症)」との区別が必要であり、多寝症の特徴は、昼夜関係なく眠りたがり、起こせば目覚めるものの、またすぐに眠りこんでしまい、自身での制御出来ない状態を指します。
 
 
 
食後困頓は、食後あるいは食事中であることが誘因であり、身体が怠くなり、眠気を訴えることが特徴であるため、どのような条件下で眠気を感じるかを聞いていくことが必要となります。
 
 
 
弁証分類は主に2つあり、次の通りです。
 
 
 
 
1.脾気虚の食後困頓
 
 
2.痰湿困脾の食後困頓
 
 
 
まずは脾気虚の食後困頓についてです。
 
 
 
飲食の不節制により、脾胃虚弱となり、運化が低下して食物が消化されず、脾陽がますます虚して、清陽が昇らなくなって発生します。
 
 
 
この場合、食後に身体が怠く眠くなり、程度が重いと食事を止めて眠ることもあります。
 
 
 
また、倦怠無力感、少食、軟便などの脾気虚の症候を伴います。
 
 
 
治法は、健脾益気・消食を用います。
 
 
 
痰湿困脾の食後困頓は、長期間湿地で生活したり、暑い気候によって湿邪に侵襲されたり、もともと痰湿が盛んな体質のために中焦を阻害して、脾陽が清気を昇らせて神を養うことが出来なくなり、発生します。
 
 
 
特徴は、痰飲湿濁に障害されるため、食後に疲れきって身体を支えることが難しく、肢体が重怠い、上腹部のつかえといった症状、舌苔膩、脈濡などの痰湿の症候を伴うことです。
 
 
 
治法は、健脾燥湿・化痰を用います。
 
 
 
どちらの分類も病位は脾にあり、病因は脾虚と湿証の違いがあります。
 
 
 
脾虚は正気不足であるため、治法は補益、湿証は湿濁(湿邪)によるものであるため、治法は利湿通陽を用います。
 
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 
 
 

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こんばんは!樫部です。
 
 
 
本日は「腹瀉」の続きのお話で、「食積と肝脾不和の腹瀉」について、お話していきたいと思います。
 
 
 
前回のお話はこちら!
 
 
 
いずれも実証の腹瀉であり、腹痛して瀉下しますが、病因病理がそれぞれ異なります。
 
 
 
食積の腹瀉は、脂っこいもの、生もの、冷たいもの等を食べて、脾胃の運化機能が失調し、宿食が中焦に停滞すると発生します。
 
 
 
この場合、腹満して痛み、排便後に腹痛は軽減するものの再度腹痛と排便を繰り返します、便は水様で腐卵臭があり、未消化の食物残渣が混じります。
 
 
 
他にも腐臭のある噯気、呑酸、厭食、舌苔垢膩などの食滞の症候がみられます。
 
 
 
治法は、消食導滞・健脾和胃を用います。
 
 
 
肝脾不和の泄瀉は、肝気が脾に横逆した為に生じ、気滞が中心であり、精神的刺激や緊張により誘発されます。
 
 
 
『景岳全書・泄瀉』に「およそ怒気に週えばすなわち泄瀉をなすは、必ずまず怒時に食を挟むをもって脾胃を傷るを致す、ゆえにただ犯す所あればすなわち触に随いて発す、これ肝脾二臓の病なり、肝木は土を克するをもって、脾気受傷して然り」と述べられています。
 
 
 
特徴は、腹鳴に続いて水様便が出て、その後も腹鳴が軽減しないか増強します。
 
 
 
また、脇胸部の脹痛や遊走痛があり、同時に食欲不振、口酸、噯気、失気などの症候がみられます。
 
 
 
治法は、疏肝健脾を用います。
 
 
 
つづく
 
 
 
 
【参考文献】
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 理論篇 』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『鍼灸臨床能力 北辰会方式 実践篇』
藤本蓮風 監修、(一社)北辰会 学術 編著、緑書房
 
『症状による中医診断と治療 上』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
『基礎中医学』
神戸中医学研究会、燎原書店
 
 
 
 
 

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